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メイクは魔法、でも呪文はちゃんと唱えよう。 -『メイクがなんとなく変なので友達の美容部員にコツを全部聞いてみた』読書感想文-

こんな〇〇が欲しかった!
なんてキャッチコピーはよく見たり聞いたりするものの、なんか煽り文句っぽいなぁなんていつもは思ってしまう私なのだが、今の私の気持ちを言葉にするとまさにそんな感じだ。
こんな本が、こんな漫画が読みかった!

私がこの秋読んだ3冊目の本はこちら。



今までそのようなハウツー本や雑誌をたいして読んだこともなかったくせに、メイクについて書いてある本ってもう最初から応用編というか、ある程度わかっている人がさらに技術を磨いたりするものだとなんとなく思っていた私。

ところがこの本は違った。
もう筆者とハグして友達になりたいくらい「そう、私もそういう感じなんです…!」みたいな共感が次から次へと溢れてくる。
これを読んでわかる〜!と思った人はみんな友達だと言っても過言ではないだろう。


本書は私にメイクの「いろは」の前の「そもそも」を教えてくれるような本だった。
「なぜそのアイテムをそこに使うのか」という理由が、筆者のトライアンドエラーと共にとても丁寧に描かれているのだ。
そしてそのノリがいちいち面白い。(褒めている)
学ぶことが多いのはもちろん、筆者のメイクの悩みや奮闘の流れ、そして現役美容部員であるBAパンダさんとのやり取りが漫画としてしっかり面白くて勢いよく読み切れてしまう。

「いつも心にガイコツを」
「アイライナー、テメーはダメだ…」
「まつげがあきらめる」
「ビューラーは自転車」
「ノーモア漠然」

コミカルでキャッチーなワードセンス。
ノーモア漠然なんて、NO MORE RULES.のキャッチコピーを掲げるKATEもびっくりの名言ではないだろうか。

「のぺたす」「どすん」「ボーン」など、要所要所で出てくる楽しい響きの擬音語も秀逸だ。そしてその表現がなによりわかりやすい。
「平面的で全体として変化の乏しい印象になり…」なんて言われるより、まんべんなくファンデーションを塗った筆者の顔の後ろに「のぺたす」と書いてある方がよっぽど状況が伝わってくる。


"キレイなのはプロだから、得意だから当たり前。"

美容部員の人やメイクが上手な人に、確かに今までそう思っていたかもしれない。そしてそれは、自分には到底できないことなんだとどこかで思っていた。

しかし本書を読みながら思った。
そうか、全部一緒なのかもしれないと。
言葉の選び方や、服装、人と話す内容や所作。その時々でそれを選ぶ理由があったり、よりマッチするように自分の中で些細な変化をつけるように、メイクも適材適所、そのツールを使う理由やそれを施す意味を考えながら手段ややり方を変えていく。そこには「言われてみると確かに...」と思えるような極めてシンプルなロジックがある。


特殊な技術が必要だったりセンスがある人が上手いのだと思っていたメイクが、今までより少し身近に感じられて(もちろんプロの技術やセンスもあるだろうけど)、「これなら私もできそう」と普段の生活の中に落とし込むヒントのようなものを教わった気がした。

なにより「メイクって面白い」と、メイクに自信や興味が少なめだった私でも、うわぁそうだったのかぁと驚いたり、単純にわくわくしてもっと色々試してみたいかもと思えるような本だった。

「だってずっとこうしてきたし…」とか「今の流行りなんてわかんないし」とか「別に流行りのメイクがしたいわけじゃないし」とか、一歩踏み出さない理由を探してないで、どうすると自分がどんな風に変わるかを知り、どうすると自分がわくわくするかを楽しむのがメイクなのかもしれないと感じた一冊だった。


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