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【風呂酒日和2-2】ネクストバッターズサークル

【風呂酒日和(フロサケびより)とは】
どこかで銭湯を見つけると、つい寄り道したくなる。
銭湯から出ると、つい一杯飲みたくなる。
そんな私がふらりと立ち寄った心と体とお腹を満たす、銭湯と居酒屋を勝手にまとめたマガジン。


八幡湯を出た後、店を決めるのにかなりてこずった。
だって至るところに居酒屋がある。
銭湯を出て目の前にもすでに数件、Google Mapは他にも点々と「居酒屋」を示している。
時間にも余裕があったので、ぐるりと街を歩きながらこれだと思うところを探すことにした。


こうやって歩いていると、”ここはなんだか身内っぽい人で賑わってるからやめとこう”とか、”次の通りにあるこっちの方がいいかも”なんて思ってしまい、結局決まらなくなる。
一通り回って店の前をちらちら見てきたが、なんだかどれでもないような気がしてきてしまった。

余計な欲を出さずに最初の方の店にさらっと入っておけばよかったかもと後悔しながら悩んでいると、首をかしげるような名前が目に入った。

“ネクストバッターズサークル”

スポーツには詳しくないが、なんとなく野球の用語だというのは知っている。店主は野球好きなのだろうか。
逃しに逃していたピーンという感じが再び降りてきた。なんとなく美味しい気配がする。もうこれしかないと、私はさながらホームランを打つ気持ちでそこへ向かった。


階段を上がって2階に行くと予想外にもおしゃれなレトロな扉と控えめなロゴサインが目に入る。
中も見えないので混み具合も店の大きさもわからなかったが、とりあえず、私の想像していた野球好きのおっちゃんが中継を見ながらやっているようなネクストバッターズサークル感とは全然違って、ちょっと尻込みする。
それでも今日、私にはここしかないのだ。

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