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【2】生卵を踏み潰した私は、MRIを取りに行った。 -全3編-


「うーん、小指薬指の方から痺れてるってことはこの辺なんですけどねぇ、これで見る限りはそこまで問題なさそうだなぁ。まぁギリギリかなぁ。」

レントゲンを見ながらなんともはっきりしないことを医師は言った。
何がギリギリなのか。

「握力図ってみましょうか。これ握って。」

左手に力を入れる。が、力が入らない。
入らないというか入れ方がわからないような感覚だった。

「うーん、左手握力2ですね。」

握力が2...?
2ってことは、2kgということだろうか。
そんなことありえるのか。私の握力は乳幼児のそれだった。
信じられない。本当はきっと物が握れるくらいはあるのだと思う。
だって納豆のパックを持っていた。
しかし、痺れのせいもあってか、私の左手はなんだか自分のものではなくなってしまったような、どこをどのように動かせば「強く握る」ということができるのかわからない状態だった。

「いずれにしても尺骨神経を損傷しているかもしれないので、ちょっとレントゲンではわからない為、MRIを取ってきて下さい。」

そう言われた。
MRI。耳にしたことはある。
あの白いドームみたいなのに入るやつだ。
え、私、そんなに...やばいの?
いきなり現れたゴツそうな医療機器の名前にちょっとたじろぐ私。

なんとなく自覚症状はあったものの、その医師のなんとも落ち着いた物言いに、未だにこれがどのくらい深刻なレベルなのかが掴みきれなかった。
受診した病院ではMRI検査ができないと言われ、私はその紹介された検査・診断専門のクリニックへ向かうことになった。

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