イライラする挨拶代わり　#毎週ショートショートnote

「荷物届いた？あんたの好きなタルトと一緒にお素麺も送ったからちゃんとお隣に渡すのよ！」

田舎と違って今は挨拶回りはしないと何度言っても母は私が引っ越すと地元の名産である素麺を送ってくる。

「電話終わった？ちょうどお義母さんから届いたよ」

彼が玄関から荷物を持って来た。

「また素麺だって。いらないって言ってるのに」

「まぁまぁ。ここ隣は一軒だけだし近所付き合いも大事かもよ。今から行ってみようか」

彼の言葉に、荷物を開けて準備する。

「あれ？タルト用のフォーク入ってない。ここの、形が可愛くて好きなのにな…」

「家の使えばいいじゃない。さ、早く帰ってきてタルト食べよう」

「うん」

ついイライラしたりマイナスに考えがちな私。
いつも穏やかな彼と過ごしたら私も少しは変われるだろうか。

その日の夜

「お母さーん！これホントに食べ方あってる？全っ然取れないんだけど！」

「だってお隣さんがそうやってくれたのよ〜？名物なんだって」

「フォークで食べる素麺が？」

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