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洞窟の奥はお子様ランチ #毎週ショートショートnote

いつからか帰り道に洞窟が現れるようになった。
奥にはレストランがある。

「お待たせしました!」

僕はいつもお子様ランチを頼む。
誰もいない洞窟にテーブルが1つ。店員は小さな少年が1人。
恥ずかしがることもなく思う存分味わう幸せ。

小さい頃からずっと憧れだった。
旗のついたチキンライス、列車型のプレート、オレンジジュースにデザート。これぞ幸せの象徴だ。


しかし洞窟に通い始めて1ヶ月。僕は気づいてしまった。
だから今日で洞窟に行くのは最後だ。

「いらっしゃいませ。今日もお子様ランチですね?」

「うん、でもこれで最後にするよ」

「どうして?まだ食べてないものいっぱいありますよ。エビフライもプリンも!」

「明日は友達とラーメンを食べに行くんだ」


僕が少年に微笑みかけると、少年も何かを察したようだった。

「そうですか。本当に欲しかったものがわかったんですね」

「うん、今までありがとう。もう君は寂しくないよ。大人になって一緒にごはんを食べてくれる人がいっぱいできたんだ」

それを聞いた少年はにっこり笑いながら消えていった。
その日から洞窟は現れなくなった。

(460字)


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