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マーケティングの教科書 #5 消費者のニーズやその動向を調査しよう!市場調査と標的市場の設定

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本記事のポイント

  • 市場調査には、質問法、観察法、実験法、パネル調査法、動機調査法があります。

  • 市場の細分化を行い、標的市場の設定を行います。

最初に本記事で押さえておきたいポイントだけ記載するようしています。
詳細についてはこの後の記事に記載してあります。

市場調査と標的市場の設定

 マクロ環境や市場環境あるいは社内環境など広い視野で行う調査・分析によって企業理念を形成し目標を掲げたならば、次に行うのが消費者のニーズやその動向についての調査であり、その調査から得られた情報を分析する「市場調査」です。市場調査から得られた情報をもとに、標的とする顧客や顧客層あるいはエリアなどの標的市場を設定し、マーケティング戦術の4Pのひとつひとつについて具体的方針や内容が決定されます。

(1)市場調査の目的

 「マーケティングは、市場調査に始まり市場調査に終わる」と言われているように、市場調査はマーケティングの原点といっても過言ではありません。市場調査はどの商品に需要があり(売れ筋商品)、どの商品には需要がないのか(死に筋商品)という「需要の分析」と、販売効率の良いチャネルやプロモーションあるいは広告・宣伝の効果などを測定する「販売効率の分析」が中心となります。

(2)市場調査の方法

 市場調査を効率よく実施するためには、その調査目的に適応した調査方法を実施することです。例えば、一般の消費者の購買動向を調査する場合には、あらかじめ問題点と目的を明確にし、実態調査(本調査)に先立って事前調査やプリテストなどによって調査仮説を立てておく必要があります。次に、調査対象をどの地域のどのような消費者に対して行えば平均的購買志向がキャッチできるのかを検討し、予算や時間あるいはサンプル数などを考慮して調査方法が選択されます。調査範囲としては「全数調査」と「標本調査」とに分類されるが、企業として行う範囲は限られた範囲の中からサンプリングする「標本調査」が中心となります。サンプリングには顧客の平均像の仮説をもとに作為的に抽出する「有意抽出法」と、まったくの無作為に抽出する「無作為抽出法」とがあり、実態調査には次の方法があります。

① 質問法

面接調査、郵送調査、電話調査、留置調査など

② 観察法

被調査者の行動観察記録、動線観察記録、追尾調査など

③ 実験法

実際に現場にいくつかの状況を設定しておこなう、観察・比較調査

④ パネル調査法

パネラーの購買行動を継続観察し、行動や意識の変化を捉える

⑤ 動機調査法

 質問や面談による深層面接法、グループのフリートーキングによる集団面接法。連想ゲーム的あるいは心理テスト的な方法による投影技法、回答項目を点数化した物差しにプロットするアンケート方式の尺度法など)

(3)市場情報の分析

 市場調査によって得られた情報を集計する場合、一般的に集計の手法として「クロス集計」が採用されます。クロス集計は、異なる調査項目間の相関関係を見出そうとする集計方法です。例えば、消費者の年齢や性別、職業、居住形態、所得などと、購入する商品の価格帯、機能、デザインなどの商品特性との因果関係を知ることができます。さらに、多数の項目の相関を分析しようとする場合には「多変量解析法」が用いられます。

 これらの手法による分析結果は、調査目的や調査仮説を満たすものなのかどうか解釈を加えて、最終的な報告書としてまとめられます。

顧客購買行動調査票(記入例)

(4)市場の細分化

 市場調査の報告書をもとに対象とする市場を絞り込み(細分化:セグメント)、狙い撃つ市場(標的市場:ターゲット・マーケット)を選別して、細分化され選別された顧客クループのニーズに適合した商品を提供することで顧客満足度を高めることができます。

 市場を細分化する基準として、P・コトラーは次のような説を掲げている。

① 地理的基準

 行政区画、人口密度、気候、交通アクセス、地域産業など

② 人口統計的基準

 性別、年齢、家族構成、職業、所得、居住スタイルなど

③ 行動基準

 購買頻度、購買量・額、使用頻度、ブランドやメーカーなどのロイヤルティヘの意識度、広告への反応度など

④ サイコグラフ基準

 ライフスタイル、パーソナリティ、価値観、性格など

市場細分化基準の例

(5)標的市場の設定

 経済成長期には、企業は市場全体を画一的な市場とした「マス・マーケティング」を展開しても売れた時代でしたが、市場が成熟していくにつれ消費者は自らのライフスタイルやパーソナリティに合った商品を選択するようになりました。さらに、デフレが進行している現在は、必要なものにはお金を支払うが不必要なものには一切お金を使わないという個客(顧客)満足時代だともいえます。したがって、このようなきめの細かい戦略をとらないと企業や商品は顧客に支持されない状況にあります。
 市場を細分化し、その一つひとつのセグメントに対し顧客ニーズを満足させるマーケティングを展開するマーケティング戦略を「差別化マーケティング」といわれますが、細分化された市場一つひとつに異なる製品を提供するとなると、極端な多品種少量生産もしくは個別生産という極めて生産効率や販売効率の悪い形態となりQ・C・Dのバランスを崩す結果となってしまいます。

標的市場の選別

 一般的には、競争環境などの外部環境や自社の内部環境とのバランスの中で、マーケティング活動が最も効果的に作用するセグメントに集中してマーケティング活動を展開する「集中化マーケティング」の形態がとられる。
 前述のP・コトラーによると、標的市場となりうる効果的な市場細分化を行うためには次のような条件を備えていることが望ましいとしている。

① 測定可能性

 消費者情報がリアルタイムに入手できること

② 接近可能性

 選別されたセグメントに対して、マーケティング・フォースを集中できること

③ 実効性

 標的となる市場において、セグメントがマーケティング努力を集中するに見合う価値を持っていること

 集中化マーケティングで企業が目指すものは、その標的市場におけるシェアがナンバー・ワンであるか、もしくはオンリー・ワンであることです。

以上、#5はここまでです。
今回もお読みくださりがとうございました。


次回もぜひ読んでください。
次回 マーケティングの教科書 #6
準備中

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