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『カラフル』を読んだ感想
カラフル 森絵都
ぽんぽん文章が入ってきて久しぶりにほぼ一日で最後まで読み切った小説。
序盤で感じた言葉の可愛さとポップな感じ。
堅苦しくなく、現実離れした詩的でもないその文体が私にとっては新鮮で、そしてとても好みだった。
カラフル。
人はたくさんの絵の具を持っていて、人によって使う絵の具を変えたり、気分によって水を足したりする。
いろんな色がある中で、相手は自分の何色かしか知らないし、自分も相手の数色しか知らない。
別の色が現れたときに、思い描いていた色と違って、誤解を生んでしまったり、勝手に悲しんでしまったりする。
それまで知っていた色を全て飲み込むかのようにその現れた色が全部を濁らせて、汚く見えてしまう。
相手に見せてなかった色を見せたとき、周りからは裏のある人だと思われるかもしれない。
自分自身でさえ、どれが本当の自分なのか分からなくなって、自分は裏表のある悪い人間なんじゃないかと思い込んでしまうこともある。
でもそれはみんな同じで、たくさんの人やものや環境に影響されて色は増えるし、使わない色も出てくる。
期待していた色や今まで使っていた色と違っても、みんなきっと自分なりに良いものを描こうとしている。
色は変わってしまっても、好みの色でなくても、描きたいものは変わっていなくて、自分の素敵な作品を完成させようとしている。
私もあまり人付き合いが得意ではなく、自分自身も含め、人が怖いと思っていた時期もあった。
人って残酷なようで意外とすっごく温かいものだと感じさせてくれた作品だった。
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