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給料はあなたの価値なのか


こんにちは。Hinaです。
突然ですが、あなたの給料はいくらですか?

そして考えてみてください。
なぜ、その給料なのでしょうか?

私は今まで自分の給料に対して、不満を持ったことはあっても何を基準に決められているのか考えたことはありませんでした。
そんな中、この本に出会ったので紹介します。

◇その給料の基準は何?

本の見開きに書かれていた冒頭を引用します。

私たちが労働の対価として受け取る給料。
では、その額はあなたの市場価値なのだろうか。
私たちは自らの生産性と職種によって給料の額は客観的に決まると考えがちだ。
だが、果たしてそれは本当だろうか。
弁護士の方が教師より価値ある仕事なのか。
景観や大学教授、貴社の仕事を客観的な基準で正しく評価できるのだろうか。

給料はあなたの価値なのか

この文を読んで、あなたは何を考えますか?

私が最初に働いたのは、高校生の頃。
近所のコンビニで、時給700円台で働いていました。
その後、結婚式場でのアルバイトでは、時給1200円前後で働きました。
では、コンビニの店員よりも結婚式場のスタッフは価値が高いのでしょうか?

また本の中では、現代の建設労働者は1970年代の建設労働者よりも10,000ドルも年収が低かったり、デンマークのバーガーキングの店員はアメリカの店員の2倍以上もらっていたりなど、同じ仕事をしているのに給料は違うという例も挙げられています。

この記事を読んでくださるあなたは、給料は誰が何を基準に決めているのかと聞かれたら、明確に答えられそうですか?
多くの人は、自分の給料がなぜこの金額なのかを知らないままいます。

著者は、給料を構成する要素として権力、慣性、模倣、公平性の4つを挙げています。

・権力

給料に対して、上司と話し合ったことがある人はいますか?
少なくとも私の周りにはいません。
家族も友人も同僚も、みんな言われた金額を受け入れるか、転職するかしています。

このように、給与決定においては明らかな権力関係が強く影響しています。

・慣性


簡単にいうと、あなたの仕事に対して付与された給与が、いずれその仕事の当然の金額とみなされる傾向にある、ということです。

アメリカでは転職先の給料を決定する際、前職の給料を引き継ぐケースが多いそうです。
前職で20万円もらっていたということは、この人の価値は20万円なのだと判断されます。
それと同時に、その本人も「私の価値は20万円だ」と思うようになるのです。

・模倣

権力によって決まった給与が与えられることにより、慣性が働いてその給与が市場全体に広がる。
すると、同じ業界にある他の会社もそれを真似するようになります。
「他の法人の社会福祉士の給与が15万円なら、うちの法人もそうしよう」と、社会福祉士の給与水準が15万円前後になっていきます。

・公平性

多くの人にとって、支給される給与と自尊心は切り離せない関係にある。

給料はあなたの価値なのか

最後の要素として、公平性があります。
人と比べて自分が多くもらっているか否か、または同程度か。
それは自尊心に大きく影響します。

厄介なことに、減給だけでなく周囲の人の昇給もまた、自尊心に影響する要因になるのです。

数ヶ月前、最低賃金が上がりました。
それによってパートさんの給料が上がった時、私は素直に喜ぶことができませんでした。
なぜならパートさんの給料は上がるのに、正職員である私の給与には最低賃金が影響されなかったからです。(その後調整によって無事昇給しました。)

私の場合は嫉妬に近い感覚だったと思いますが、社会の中では嫉妬という言葉で片付けられないもどかしさを感じた人もいると思います。

自分が積んできた経験や年数、獲得してきたスキルなど、それらを持っていない人の給料が上がることによって自分の給与と同等になる。
すると、自分が積み上げてきたものには価値がないのだと思うのではないでしょうか。

◇人的資本モデルとは


多くの人は”実績に応じて給与を払うものだ”と考えているかもしれません。
しかしこのモデルは
「働く人が自分の価値も他の人の価値も理解した上で、最も高い給料を払ってくれる組織へ自由に移動できる」
市場の中で成り立つモデルです。

しかし現代はどうでしょうか。
隣の席で働いている同僚の給料を知っていますか?
私は今隣で同じ仕事をしていている人が、その人のどんなスキルによっていくらになっているのか、何も知りません。
また、業界にもよりますが、基本的には同じ系列の会社や同じ業界の中で転々とする人は、あまり良い印象がありません。
これがもしオープンで自由な市場の中であれば、同僚や先輩の給料を知っていても不思議ではありませんし
同じ業界の中でもっと給料をくれるところで働いていても何の不自然もありません。
つまり今の時代は、実績に応じて給料がもらえるスタイルの市場ではないと言うことです。

この本によると、多くの人が実績や職業が給料を決める、もしくは需要と供給の法則によって決まるとも考えられています。
雇用者が労働者の価値を一人一人考えるのは困難なため、学歴や経験、資格など、わかりやすく一般的な指標を利用して評価をしています。

ちなみにこの本では、人的資本には2種類あると書かれています。
1つ目は一般的人的資本。これは組織をまたいで利用できる技能や経験を持つ人のことです。
もう一つは企業特殊的人的資本。これは特定の場所だけで使える技能を持つ人のことです。
そして、後者の場合は十分な給料が払われない傾向にあります。
なぜなら、他のライバル企業に持っていかれる心配がないから。

あなたはどうですか?
企業特殊的人的資本に、なっていませんか?

◇その給料は何と比べて”低い”のか


私自身、何度も自分の給料が低いことを嘆いていました。
しかしどこと比べて何を基準に低いと思っているのか、それは明確ではありませんでした。
異動範囲が広い職員の方が同じ仕事をしていても給料が良いなんておかしい。
大卒の同い年の友人よりも低いなんて、同じ条件なのに妥当じゃない。
いつも近い立場にいる他の誰かの給料と比較して、自分の給料が不十分であると感じていたのだと気づきました。

では、私の働きは一体いくらの価値があるのでしょうか。
普段私は「この給料ならこれぐらいの働きが妥当だろう」「時給700円台のアルバイトならこれぐらいでいいだろう」という考えで働いていました。
つまり、もらう給料を基準に自分の働きを調整し、時に頑張ってみたり、時にはサボってみたりしていたのです。
ですが給料の本質は「自分が求める金額に値する働きをできるか」という視点で考えていく必要があったと感じました。

例えば、生活費・貯金・好きなことをする費用。
それらを踏まえて20万円欲しい人と30万円欲しい人がいたとします。
その2人が同じ職場で、隣の席で働いている時、そこにクオリティーの差があってもいいんじゃないかな、と思うんです。
他人との比較で自分の評価や給料を考えるのではなく、自分軸で考える。
自分がその仕事に対して求めている給料と比べて、実際にもらっている金額を考えるべきだと思います。

◇給料は私の価値なのか?


この本の冒頭にある、給料はあなたの価値なのか?と言う問い。
それに対する私の答えはノーです。

今もらっている給料があなたの価値ではありません。
私は、給料が価値を示すより、私たちが働きで自分の価値を給料に反映させていくものだと思います。
もちろん、今の日本社会は自分の働きぶりがまっすぐ評価されないこともあります。
隣の席のお局さんより自分の方が明らかに多い業務量をこなしていても、年齢が上だから、経験が長いからと言う理由だけで給料に差が出ているのが現状です。
ですが、本の中に出てきた組織をまたいで使える人的資本と、その会社の中でしか通用しない人的資本
そのどちらになるのかは、自分で選ぶことができます。

この記事を読んでくださっている皆様の中には、木下斉さんのファンがたくさんいらっしゃると思います。
木下さんは日ごろから、会社にとって良い人材ではなく社会にとって良い人材になる的なことを言っています。(確か言っていたような・・・)
今いる所だけで自分の価値を評価する必要はなく、価値を自ら高めていく中で広い市場に飛び出すことも可能なのです。

自分の価値は給料ではなく、自分の基準で考えたら良いのです。

では、また💐


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