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【基本的生活習慣特集3-2】食事について

前回は食事に関わる基礎として哺乳の発達の目安をお話しました。

今回は離乳食期からの摂食機能の発達の目安についてお話します。

「成人嚥下(えんげ)」という言葉を聞いたことはありますでしょうか?

まずは嚥下とは?

食事を摂るときに食べ物を認識して咀嚼(そしゃく)し、飲み込みやすくして口腔から咽頭へと食物を送り込みます。
その後咽頭から食道、食道から胃へと食物を送り込む一連の行動を指します。

実は嚥下には
乳児嚥下成人嚥下という種に分かれ、疑似的に成人嚥下に見えるものを成人型嚥下という呼び方をする場合もあるようです。

では二つの違いはなんでしょうか?

まずは口腔~食道のイラストを!

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子どもは成長するにしたがって真ん丸だった輪郭が、目の下が伸びるように大きくなりあごが発達して喉頭がさがります。
内側の発達としてはイラスト右の咽頭腔が広がり、飲み込む機能を高めるからだ作りが出来ていきます。

実際に2つの嚥下の違いとは?

乳児       成人
※上から順に一連の流れになっています

口は開けたまま        → 口を閉じて  
口腔内の奥まで乳首を引き込む →  咀嚼と下の動きによって食魂を形成
舌を上下に動かして飲み込む  →  舌を上あごの裏につけて、歯を噛み_____  →  合わせて飲み込む

実はきちんと飲み込む際に上あご裏に舌を置いていない人が成人でもたくさんいるんですって!

では!やっと本題(笑)
摂食は乳児嚥下から成人嚥下を達成するまでの過程と思って読みましょう。
この発達は個人差が大きく出ます。
あくまで目安です。

<離乳食期からの摂食機能の発達の目安>


5か月

座位が安定し、スプーンに慣れた頃です。
離乳食が始まります。
舌や唇を使って飲み込むようになる。
タラタラからダラダラしたペースト状態の食事。
食事の集中5分程度。

6か月
スプーンを唇に当てると
口を閉じるようになる。
ダラダラからドロドロしたジャム状態の食事。

7か月
舌を上下に動かせるようになる。
こしたものを再形成、含め煮したものを舌で上あごに押しつぶしてつぶすことが出来る。
食感を感じ取るようになります。
豆腐くらいの硬さのとろみのある食事。

8か月
舌の先が少しずつ使えるようになり始める。
硬さを感じて口から出すことも増える。(硬い!という主張)

9か月
スプーンに乗った食材を上唇でとることが出来る。
スティック状のものは手に持って口に運ぶ。

10か月
歯ぐきを使ってすりつぶしたり押しつぶしたりするようになる。
舌を左右に動かせるようになる。
あごが左右に動いて噛む様子が見られる。

11か月
前歯が生え始める。
スプーンを持って食べるようになる。
上手(順手)持ちでスプーンを持つ。
詰め込みもまだ見られる。

1歳
前歯で噛み千切るようになる。
口しっかり閉じて飲み込む。
食材を掴む力加減が徐々に分かる。

1歳半
口入れる量を学習するようになる。
下手持ちでスプーンを持つ。
好き嫌いが出てくる。

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2歳
舌の動きが発達し食材を噛んで唾液と混ぜ、食塊を作るようになる。
繊維があるものも少しずつ取り入れられます。

2歳半
3指持ちでスプーンを持つ。

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3歳
器を持って食べる。
コップに取っ手が無くても使える。
食事の後の片付けを自分で行おうとする。


3歳半
食事の前の準備(手洗い・排泄)を理解し、自分で行う。
3指持ちが安定して箸を持って掴みやすいものを食べられるようになる。
スプーンと併用して食事をする。
「お腹がすいた」「のどが渇いた」という体感覚を理解し始める。

4歳
箸で抑えながら噛み千切りが出来るようになり、ほぼ箸のみで食べられるようになる。
肉、繊維質のものも噛み千切り・噛み砕きが出来るようになる。
まだ、話に夢中になって食事が進まないこともある。

5歳
会話をしながら食事を勧められるようになる。
陶器のお皿を使って食べられるようになる。

と年齢と月齢で区切られた形に見えますがグラデーションのような形で現れる姿です。

養育者・保育・指導員として
食べることに関しては「飲み込む」様子はよく観察しますが「噛む」様子は見落としがちです。
飲み込み上手になってしまっては発声の発達にも大きく影響します。

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また、好き嫌いへの矯正は味の問題とは別の学習で、食事への敬遠を引き起こします。
楽しい雰囲気を崩さないように配慮しましょう。
喋ってばっかりで食べないという姿は人との関わりをしっかりもとうとしてる証拠です。
逆に食にしか興味が無い子の方が発達的には不安です。
味覚は大人になってからも変わっていきますよ。

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箸を使って食べるためには日頃からたくさんの遊びの体験、生活の体験から積み重なる手指操作の緻密性がキーポイントとなります。
食事の場面だけで箸を持てるようにするのは逆に時間をかけてしまいます。
きちんと上手持ち→下手持ち→3指持ちと順に発達してきたところで始めるようにしましょう。
年齢が来たからと始めると癖がついてしまい安定した箸の持ち方ではなくなってしまいます。

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食べるためには噛む体力も必要です。
食事中に眠くなってしまう子、食事に対する集中が弱い子、様々な問題はその前の活動の充実さも大きく関係ありますし、身体の発達も大きく関係します。
体力の向上や睡眠・運動などの生活習慣も食事の場面に大きくかかわります。
家での様子をアセスメントしておくと見えるものもありますよ。

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お掃除係の実習を体験した保育士さん、きちんとした指導・教育を受けられずも頑張る支援者さん…など現場に困り感を持っている方へサポートすることで、子どもたちに還元されるものがあるのではと信じています。よろしくお願いします。