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体罰とは?~福祉先進国スウェーデンから学ぶ親子関係~

現在自宅待機を要する多くの自治体では、家庭で過ごす時間が増えて育児相談やDV相談が増えているとラジオでも報道が出ていました。それだけではなく「コロナ離婚」というワードまで誕生し、夫婦間の問題も取り上げられています。家族といる時間が増えたことで改めて家庭を見つめ直す方も多いのではないでしょうか。


虐待のニュースが多く報道された2019年。
令和元年6月に児童福祉法等改正法が成立し、2月より児童虐待防止法の改定等が取り入れられましたが、やはり報道の中心となるのが「体罰」についてではないでしょうか。

体罰は手を挙げること、というのは世界共通の考えなのでしょうか?

私は親に叩かれたことがあります。
もちろん、良い気持ちはしませんでした。
しかしもっと私が嫌だったのは言葉で攻められること。
これは相手(親)は攻めているつもりはないのでしょうが、こちらとしては圧を強く感じてしまうものです。

スウェーデンにある親子法はご存知でしょうか?

自分も叩かれたから親もしっかり怒ったりしないと!と言う教員や福祉業界の方がいますが ぜひ、この法律を知って考え直してほしいです。

19世紀後半には夫による妻への暴力、20世紀前半に雇用主による被雇用者への暴力を禁止しました。

1920年にはまだ親がわが子を折檻する権利が法律によって全面的に認められていました。1949年に親子法が制定されました。これにより親による子どもへの暴力の禁止を命じました。1958年には学校における教師からの暴力を禁止しています。1978年、親子法が改定されスウェーデンでは子育ての手段として心理的暴力を含めた体罰を禁じました。

もちろん、行った際には刑を被るという意味です。禁じたということは元々は容認されていたということになります。

ではなぜ体罰を禁じたのでしょうか?

スウェーデン内の調査によると体罰を受けて教育されている家庭の児童が、誰かにいじめられたり、いじめたり割合が35%にのぼるというのがわかったのです。

また、身体症状を訴えている割合も高く 興奮や不安を感じる、不眠、食欲不振、頭痛等を週1回以上あるという子が体罰の無い家庭の子に比べて多くいることもわかりました。

ここで言う「体罰」という定義は1978年の親子法改定により「言葉で相手を傷つけること」も含まれます。
子どもを揺さぶる行為も含まれます。日本の体罰の考えとは少し違います。日本では激辛カレーを目にいれた教諭同士の時間に関しては「いじめ」という表現が使われていました。親子ではないため例える表現としてピックアップするのは違うのかもしれませんが、スウェーデンでは親子関係においてもそのようなことがあった場合は「体罰」という表現に含まれます。

この法律を定めた際には60%の家庭で体罰が見られていましたが、現在では3%まで低下しました。これに影響された他のヨーロッパ諸国も同様の親子法を取り入れているところが増えました。

現在は養子、体外受精、施設で育った子ども等、子どもの授かり方も育て方も多様化されているためそれに合わせて法律が制定されたり改定されています。親子法を通して親子関係だけでなく、教育、子どもの権利、福祉など多岐にわたった「人」との関わり方を考えています。

そんな中、聖職者から性的虐待を受けていたという報告が相次いておりドイツでは3600人超と報道されました。表面上での数字で3%だったのでは?と思わせる報道でもありました。また、本来人権問題などを広める側の聖職者が行ったとしてセンセーショナルに取り上げられました。

スウェーデンでは親子法を制定するだけでなく、腕力に頼らない教育・育児について話し合う場を設けようとラジオや広告を通じて広報キャンペーンを
現在も継続しています。
牛乳のパッケージ等の身近なものを利用してそれを行うそうです。

これを学校や施設のお手紙を通して心理教育を行うのはどうでしょうか?
実際に30年以上かけて実証されているデータもあるので信憑性が高いのが説得力につながります。

興味のある方は ぜひ、セーブサチルトレンスウェーデンの冊子から読むことをおすすめします。

子どもに対する暴力の ない社会をめざして

子どもへの目が届きにくい状態になっている現状です。教育・福祉の方から家庭に手を伸ばさないとヘルプはなかなか出てこないのが正直なところだと思います。まずはどんな権利を守るべきなのか、手を差し伸べる側が学び、手を差し伸べられる側にお伝えすることが当たり前になる様にと願います。

お掃除係の実習を体験した保育士さん、きちんとした指導・教育を受けられずも頑張る支援者さん…など現場に困り感を持っている方へサポートすることで、子どもたちに還元されるものがあるのではと信じています。よろしくお願いします。