見出し画像

【大切な人との記憶を記録するポートレート術とは?】

画像1

本格的に「人物」を撮影するようになって、1年以上の月日が経ちました。

今回の記事では、ポートレート企画の第3弾として、人物を撮る時に意識している事・心掛けている事をメインにお伝えして行ければと思います。

また、過去の記事もご覧頂きながら、作風の違いや変化もお楽しみ頂ければと思います。

ポートレート企画第1弾⤵︎

ポートレート企画第2弾⤵︎

どうぞ、最後までお付き合い下さい。

.

.

【 WeekEnd like Film. 】

今回の撮影ロケーションは、富山は春の恒例イベント「砺波チューリップフェア

画像2

画像3

GW期間中に開催されるこのイベントは、彩り豊かな沢山のチューリップが公園一帯に広がることで有名。

県内外からの観光客で賑わうこの時期は、砺波の街がチューリップの花々で彩られます。

また残念ながら、GWの時期を逃してしまった方や来年まで待ちきれない方は、チューリップ四季彩館を訪れてみてはいかがでしょうか?

こちらは、季節を問わず、富山のチューリップを堪能することが出来ますよ!

.

.

- ドキュメンタリー映像を切り撮るように -

さて、ポートレート写真を撮る時に最も意識していることがあって、それはモデルさんの「自然な表情」を切り撮ってあげること。

画像4

モデルさんの自然な表情を引き出す方法はいくつかあって、そのひとつが、

「ドキュメンタリー映像を撮影するカメラマンのように存在を消してしまう」

いわゆるドラマのような「演出」は避け、あくまでモデルさんの「自然な表情の素敵さ」をドキュメンタリー映像として収録するように、モニターで追っていきます。

私の大好きな番組:アナザースカイのような映像や空気感を、写真として変換するイメージと思って下されば幸いです。

出演者の大好きな海外の街で覗かせる、普段は見せない柔らかな表情。あの表情を普段の日常でも、「ドキュメンタリー性」として作品へ反映していきます。

機材の種類、撮影技術、デジタル・アナログ、ピンボケetc...、そんな細かい事は気にせずに「自然な表情」を切り撮ることが出来れば、ポートレート写真は格段にレベルアップすると思っています。

画像5

時に、「はっ」と心が動く瞬間を逃さずにシャッターを切る。表情チャンスを逃さない為にも、連写モードにしたりと、もちろん技術面でも工夫が必要ですよね。

画像6

撮影者とモデルさんが面と向かって撮影する時は、モデルさんが1番緊張してしまう時間ですよね。自分が撮られていると意識してしまうと、自然な表情が隠れてしまうものです。(パスポートや証明写真が上手く写らない問題などなど、、、)

画像7

画像8

そんな時は、カメラのチルト式液晶を活用しながら(中判カメラのウェストファインダーのような姿勢で)、撮影者がインタビュアーのようになって会話をしつつシャッターを押したりと、撮り慣れていない方でも「自然な表情」を引き出すことを心掛けます。

.

.

- 好きな写真家さんの色味や作風を参考に -

写真のみならず、芸術や音楽は、その人が持つ感性や価値観が反映されるものと思う反面、その人が見てきたものや感じてきたものが色濃く反映するものと思っています。

つまり、ある程度の写真やカメラの知識を得て、もっと上手くなりたいと思う方は、好きな写真家さんを見つけ、その写真家さんが表現する作風や色味を勉強することをおすすめします。

私の場合だと、フィルム写真の淡い色味や柔らかい雰囲気が好きなので、やはり市橋織江さんや濱田英明さんなどの作品は、すごく心に響きます。

.

今回ご紹介している今城純さんの作品も、市橋さんと似た淡く優しい色味の写真が持ち味で、特に女性を撮る時は参考にしている写真家さんだったりします。

画像9

画像10

画像11

今城純さんの写真集「earl grey」は、イギリスの田舎風景の写真を収録した作品で、風景の切り撮り方であったり、色味や配色のバランスが絶妙に整っている素晴らしい作品となっています。是非、チェックしてみて下さい⤵︎

- 写真の温度感と余白を大切に -

画像12

ポートレート写真の良し悪しは、計らずとも、モデルさんの容姿やファッションによって左右されてしまうのが現実ですよね。

写ってるモデルさんが良いのか、撮り手の技術が素晴らしいのか、そこの評価基準をちゃんと理解しておかないと、撮影者である自分の腕に錯覚してしまう危険性があります。

特に、SNSの「いいね」受けを狙った写真を撮り続けていると、同じような構図、同じようなポージング、同じようなボケ具合、同じような表情、同じようなシチュエーションetc...のポートレート写真を生産するだけの撮り手になってしまう可能性が潜んでいます、、、。

画像13

そんな撮り手にならない為にも、モデルさんの容姿やファッションの良し悪しに左右されない、写真の全体はもちろんのこと、写真には写り切らない心情描写までをも、見て下さる人に感じとってもらう事が重要です。

.

「写真には写り切らない心情描写」と言えば、写真家:奥山由之さんの写真集「Girl」に込められた想いは、ポートレート写真を撮る上で、みなさんにも知って頂きたいエピソードとなっています。

残念ながら写真集「Girl」は入手困難ですが(東京なら手に入るのかも)、先日発売されたSWICH Vol.37では、奥山さんの作品や写真に対する姿勢をより一層知ることが出来る価値ある一冊になっています。

写真の持つ余白性や、写る人との温度感までをも表現できるようになれば、ポートレート写真がひとつの「作品」になる日も近くなるでしょう。

画像14

画像15

画像16

.

.

- 写真は記録する媒体 -

写真の本質は、出会った瞬間の光景のみならず、その瞬間に感じた感情や五感(撮った時の香りや音)などをも記録する媒体だと思っています。

ポートレート写真で言えば、沢山の「いいね」をもらう為のツールでもなければ、恋人との時間を自慢したり見せびらかす為のツールでもありません。

なぜなら、写真の持つドキュメンタリー性(余白や温度感)から逸れ、演出された別物の媒体となってしまうからです。

画像17

ファインダーに写っているモデルさんが、美男美女であれば誰でもいい訳ではなく、大切な人との大切な時間を記録する為にシャッターボタンを押すのです。

だからこそ、私が写真家として人物を撮る時は、その人が1番輝いている瞬間を出来るだけ残していきたいと思っています。

最後まで読んで頂き、ありがとうございます。

END.

この記事が参加している募集

いつも応援いただきありがとうございます❗️