Tシャツ1枚では少し肌寒いある日、 僕はコーヒーチェーン店のレジの列に並んでいた。 僕の前には、4、5歳の男の子を連れた女性が並び、その前では、中年の男性がコーヒーを…
私には恒例の儀式があった。 2つのもので迷ったときには,それらを交互に右手の人差し指で指しながら, 「ど,ち,ら,に,し,よ,う,か,な。か,み,さ,ま,の,い,…
もうずっと前から,私は独りだった。 もうかれこれどれくらいだろう。思い当たらない。 以前,いつだったか,火災警報器の点検の業者がやってきて以来, 私以外にこの部屋…
ひつまぶし
2019年10月12日 01:38
Tシャツ1枚では少し肌寒いある日、僕はコーヒーチェーン店のレジの列に並んでいた。僕の前には、4、5歳の男の子を連れた女性が並び、その前では、中年の男性がコーヒーを注文している。 「うーん、アイスでいいよな」僕は、今日もまた夏を引きずって、アイスコーヒーを飲むことに決めた。そして、アイスコーヒーを買うためのクレジットカードを財布から取り出した。財布から目線を戻すと、前に並んでいた4
2019年10月10日 16:48
私には恒例の儀式があった。2つのもので迷ったときには,それらを交互に右手の人差し指で指しながら,「ど,ち,ら,に,し,よ,う,か,な。か,み,さ,ま,の,い,う,と,お,り!」と唱える。儀式をするのに特に理由なんてなかったし,神様の存在も信じていなかった。数少ない友人に指摘された時も,「なんとなくだよ。」と答えた。続けて,捻くれた友人がその文字数なら,最初に指をさした方が選ばれるんだと
2019年10月9日 17:23
もうずっと前から,私は独りだった。もうかれこれどれくらいだろう。思い当たらない。以前,いつだったか,火災警報器の点検の業者がやってきて以来,私以外にこの部屋に出入りする者はなかった。ただ,私は孤独に慣れていたし,コントロールすることができる気がしていた。というのも,私は,その研究室に一人しかいない博士後期課程の大学院生であった。博士前期課程の頃から独りであったし,孤独の中で学問に没