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デリダを読む

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デリダの著作及び関連の本を読んでいきます
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デリダを読んでいく④~ハイデガーvsデリダ『ハイデガー 存在の問いと歴史』(ジャックデリダ講義録)を読む

デリダを読んでいく④~ハイデガーvsデリダ『ハイデガー 存在の問いと歴史』(ジャックデリダ講義録)を読む

今回はデリダのハイデガー講義を読んだ。
1964~65年の全9回の講義録である。ハイデガーの『存在と時間』を中心に『形而上学入門』『ヒューマニズムについて』など中後期の著作も視野に入れつつ読解していく講義となっており、特にフッサールやヘーゲルとの共通点や差異などについては非常に細かく追求をしている。
講義の副題が「存在の問いと歴史」であるように、講義の後半では現存在(言わずと知れた『存在と時間』の

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デリダを読んでいく③~ルソーvsデリダ『グラマトロジーについて』

デリダを読んでいく③~ルソーvsデリダ『グラマトロジーについて』

ジャック・デリダとその関連本を読んでいく第三回は『グラマトロジーについて』である。
「グラマトロジー」とは文字学というような意味であるようだ。
デリダは、ソシュール、レヴィ・ストロース、ルソー等の読解を通じて西洋哲学に深く刻み込まれている「音声中心主義」を見つつ「現前の形而上学」について批判的に検討していく…訳だが、デリダらしく(?)その内部に深く潜り込んでいきその限界点を抉り出すような検討の仕方

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デリダを読んでいく②~フッサールvsデリダ『声と現象』

デリダを読んでいく②~フッサールvsデリダ『声と現象』

今回は『声と現象』である。
フッサールの『論理学研究』や『イデーン』の読解を通じてフッサール現象学の形而上学的原点を探るという内容であり、それ自体がとてもピンポイントで深い議論となっていると思われ、その全部をつまびらかに見ていくことはここではとてもできそうもないので、僕なりにポイントを絞っていくことにしたい。
そのポイントは、〈私〉に関わる部分である。

具体的には、第七章「根源の代補」において〈

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デリダを読んでいく①~『ジャック・デリダ「差延」を読む』を読んで「差延」を読んでみた

デリダを読んでいく①~『ジャック・デリダ「差延」を読む』を読んで「差延」を読んでみた

突然だがデリダについてはずーっと挑戦しようと思っていて、購入した本が積まれている事態となっていた。
なかなか挑戦の機会が得られなかったのだが、この度『ジャック・デリダ「差延」を読む』(森脇透青・西山雄二・宮崎裕助・ダリンテネフ・小川歩人共著)を読んだので、「差延」(『哲学の余白 上』所収)を読んでみることにした。僕にとってはそれでも難解な文章であることに変わりはないのだが、少しだけ分かったこともあ

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