第四十話 売れる売人
自分が蒔いた種なのだが、短期間でいろいろなことが急激に変わった。本来組に所属すると事務所当番や雑用等をするのが普通なのだが、私は一応堅気の人間であり、そういったことはしなくてもいいと言われていた。ただひたすら薬を捌いて上の人に金を上納しなければならなかった。薬の売人を管理していたのは、私に助け船を出してくれたイグチさんではなく、その兄貴分になるⅠさんであった。『この人物はこの時から十数年後、全国ネットのニュース全てが報じた大事件を起こした犯人である。この事件はとてもセンシティ