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第三十三話 日常生活には薬物
高校に入り停学になったことで、より遊びに比重を置くようになっていった。そうなったのは、お互い様だと思うが友達のやまちゃんの存在が大きかった。私が停学で昼間が暇だというと学校を休んで私に家に遊びに来たり、学校が終わったケンジが迎えに来ると一緒に街に遊びに出かけほとんど毎日を一緒に過ごしているという感じになっていた。薬物はケンジの兄貴やその先輩を通じて買ったり、中学時代に知り合ったソッチ方面の人から買う事もあった。とにかく薬物が生活に一部になっていたのである。
薬物と一口に言っても、種類はたくさんあり、好みも人それぞれだった。高校に入って交友関係が広がってからは、シンナーはほとんどやらなくなっていた。薬物経験のない一般の人でも、覚醒剤・コカイン・MDMA・大麻等は耳にしたことがあると思う。薬物にも効果や持続時間など特色が別れている。もちろん金額も違う。日常でもそうだが、外で会話するときなどは特に隠語を使うことが多い。シンナー=アンパン、覚醒剤=エス・スピード・シャブ・冷たいの・金魚(覚醒剤を液体で溶いた物、金魚の形をした容器に入っていた)、コカイン=コーク・キャンディ・チャーリー、MDMA=エクスタシー・バツ・赤玉、大麻=葉っぱ・草・盆・チョコ(樹脂)注射器=ポップコーン等々、地域や年代によって呼び方は違うが、パっと挙げただけでもこれだけある。
やまちゃんといる時の会話を例に挙げると「盆3引いてくるか」訳すと「大麻を3g買ってこようか」となる。買う事を引くというのは、やはりそれも隠語なのだが、売人の事をプッシャーと呼ぶことが多い。売る側がプッシュ=押すに対して、買う側は逆に、引くとなるわけである。ただエスやチャーリーは、高校生にはなかなか手に入らないモノだった。1g買うと純度のあまりよくないモノでも3万円前後はするからだ。(当時と今とでは多少違うと思います)先輩の頼まれごとなどを手伝うと、現物支給のように少し分けてもらえることもあったが、それでは全然足りなかった。日常生活を送るには、金がかなり必要だったのである。
街へ出てカツアゲするだけでは足りなくなり、お化けのパーケン等を捌くようになる。お化けのパーケンとは実際にはないイベントのチケットを作り、それを売りつけるというひどい行為である。そうまでしてでもヤリたいと思ってしまう依存性が薬物の怖い所だ。やったことのない人にはわからないだろうが、あのキマッテいるときの気持ちよさは相当の物なのである。毛穴が全て開いて全身が冷たくなったような感覚があり、音は通常の何倍もクリアに聞こえ、疲れることはなく、眠くもならない。神経が研ぎ澄まされ自分は天才になったような錯覚に陥る。ここ数年でニュースなどにもなっているが、SEXの時に使うと気持ちよさは何倍にもなり、通常のSEXには戻れなくなってしまう。
私とやまちゃんは、葉っぱとチャーリー(コカイン)を好んでやった。葉っぱは幻覚作用はあるが基本的にはダウン系なので家で暇な時にやり、女の子と遊ぶ時や、ダンパ等のパーティーに行くときにはチャーリーを使った。チャーリーはシャブを軽くしたような感じで体にスッと入ってきて好きだった。映画などでカードで細かく刻んで線状にして鼻で吸い上げるシーンを見たことがある人もいると思うが、まさにアレである。ただそこまで行ってしまうともう引き返すことが非常に難しくなってしまう。廃人になる勢いで薬物に依存してしまうのだ。薬物は絶対にやってはいけなかった。
今回は薬物についての説明になってしまいました。私はもしあの頃に戻れるのならば絶対に薬物には手を出しません。そう思うくらい依存性が強く心身ともに害があります。現在ではMDMAやMDA等は個人で輸入する方法などもあるようで、若者受けするような色やデザインが施されていますが、絶対に手を出さないことをお勧めします。
次回は停学中から停学後についてのエピソードを書きたいと思います。
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次回に続く
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