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第三十四話 停学中

停学という処分をされると基本的に自宅にいなければならない。一日に2回程度、担任教官からの電話連絡が入る。家の買い物などで外出するのは良いのだが、遊びに行っては駄目という事なのだ。連絡が取れない日が多いと停学の日数が延びてしまうらしい。後は出身中学にも連絡が入るらしく、停学が決まった翌日には、三年生の時の担任が様子を見に来た。

○○何やってんだよ」と元担任が言う。「どうして中学まで連絡行くの?」と聞くと「素行不良の生徒の出身中学は、次年度からの枠が少し減っちゃうんだよ」と教えてくれた。あまり悪いと思ってはいなかったが、わざわざ来てくれたので、形だけ「迷惑かけてすいませんでした」と言っておいた。その言葉を聞くと「これからは気をつけろよ」と言って帰って行った。

停学になった夜、やまちゃんには電話をした。「停学になったんだけど」「はっ!何で?」「喧嘩っていうか・・一方的だったから・・・」「まぁ、しょうがねーんじゃね」そんな会話をしていた。「学校休める時は家に遊びに行くよ」とやまちゃんは言ってくれたので「頼むよ!昼間何してようかと思って、、、一人で草やっててもな~」と返しておいた。

次の日には学校が終わってから、やまちゃんが愛車の原チャリに乗って遊びに来た。「今日は何やってたの?」「しょうがねーから反省文書いてたよ」「ははっ!」こんな会話をして、「なんかある?なければ引いてこよーよ」とやまちゃんが言う。「草ならまだ少し残ってるけど?」「じゃぁそれでいいか」大麻の吸い方はいろいろある。私たちはジョイントと呼ばれる、ジョイントペーパー(雑貨店などで売っている)を使って草を紙巻きたばこの要領でクルッと巻いて吸っていた。草をやると自分の声が遅れてくるような感覚になり、それが面白くて笑うと、笑い声がまた遅れてきて、私は動きは凄くゆっくりになりながら、ずっと笑っているタイプだった。(個人差がかなりある)草を吸いながらアルコールも入れていく。アルコールは薬物全般相性がいい。特にチャーリーやシャブは少し酔いが回った後にキメると覚醒具合が半端じゃない。

停学じゃ彼女と会えねーじゃん」「夜、向こうの親にバレないように家に行ってるから大丈夫」「いーなー俺も女欲しいな」「作ろうと思えばすぐ出来るっしょ」「最近ナンパ行ってなくねー」「バレたらやばいからなー」「バレないでしょ!今度市内行ってナンパしよーぜやまちゃんは、本当に彼女を作ろうと思えばすぐ出来るくらいいい男なのに、遊んでいたほうが面白いという理由でなかなか作ろうとしなかった。

夕方からは外出解禁!学校からの連絡も18時を過ぎるとほぼないので、それからが私たちの時間だった。そのくらいの時間になると、ケンジが愛車のSRに乗ってやってくる。やまちゃんは自分の原付にまたがり、私はケンジの後ろに乗った。喧嘩して、飯食って、ナンパして、チャーリー吸って、踊って、飲んで、時間がいくらあっても足りないくらい楽しい時間だった。女にはみんな不自由はしていなかったが、私は、ほぼ毎日のように彼女には会いに行っていた。毎日同じような事の繰り返しだったがその当時はそれが良かった。自分たちを中心に世界が周っていると馬鹿な勘違いをしていた時期である。もう薬物なしではいられない状態になっていた。そんなことを繰り返していた停学中であった。

今回は停学中のパターン化された生活を書いてみました。前回も書きましたが、薬物の依存性は本当に恐ろしいです。依存するだけならまだしも、人の人格を変えてしまいます。全く別の人格になってしまい、結果大きな過ちを犯してしまう人を私はたくさんみてきました。次回は停学後の生活や学校での出来事を中心に書いてみたいと思います。

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次回に続く

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