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第四十六話 大乱闘

何だかんだで5人で近場のナンパスポットのカラオケボックスに行くことになった。私とやまちゃんは慣れたもので、駐車場の女の子や、BOXの中にいる女の子だけのグループを物色していた。シマザキ先輩は車で待機。いい子を引っ掛けたら合流することになっている。コーイチさんとマサルさんは別でターゲットを見つけることになった。

遠くの方から『ガシャーン』というガラスの割れる音、何を言っているのかわからないほどの怒鳴り声、瞬間的に嫌な予感がした。もしかしたらと思いやまちゃんと走って音のしたほうに行ってみると、案の定コーイチさんとマサルさんが男がいる部屋に入り込んで喧嘩が始まっていたのだ。ルールを守らないと大変なことになるとくぎを刺しておいたのだが、あの二人はそんなことはお構いなしなのだ。もっと注意深く近くにいるべきだったと後悔しながら、喧嘩を何とか収めようとする。

喧嘩の相手を見て愕然とした。私が住んでる所から車で40分ほど行ったところにある街でかなり有名なチームの人たちだった。薬の売人の元締めから売春あっせんその他ありとあらゆることをやっているチームで、今でいえば『半グレ』といったとこであろう。ヤクザ相手でも関係ない暴力性で有名だったのだが、コーイチさんとマサルさんはそれを知らなかったらしい。離れた街だから仕方ないとはいえ、これは簡単に収まらないなと思っていた。こっちは5人に対して相手は10人近くの人数がいた。ただでさえ危ない奴らなのに人数も倍では勝ち目はないから逃げたほうがいいかなと考えていると、相手は私とやまちゃんの方にも向かってきたのだ。

BOXの外に出て大乱闘になり、店員もビビってしまって警察も呼べないといった感じだった。隣の部屋、その隣の部屋と窓ガラスを割りながら消火器を振り回し自分が今何をしているのかもわからないような状態になっていた。

顔から体から血が垂れ流れている。痛みは全く感じない。頭はパックリと割れている。手も足も動かなくなっている。このままだと死んでしまうな、と思っていた。「車廻してこい」コーイチさんが叫ぶ。シマザキ先輩が車に乗り込み車を廻してくる。私とやまちゃんとコーイチさんが乗り込む。マサルさんは相手に完全に囲まれてしまっている。Iさんとイグチさんに連絡しようという事になり公衆電話まで向かおうとする。『ボコン、ボコン』と車を殴る音が響く。「轢け!轢いちまえ!」私たちはシマザキ先輩に向かって言った。シマザキ先輩がアクセルを踏み込む。前にいた相手はボンネットに乗り上げ思い切り地面に叩きつけられる。どうにかこうにか乗り切ったが、マサルさんは拉致られてしまうだろう。

公衆電話につきコーイチさんがⅠさんに、私がイグチさんにそれぞれ電話を掛ける。数十分待ってイグチさんが若い衆を何人か連れてやってきた。カラオケボックスに戻ると警察が来ていた。相手はもういなかった。警察が来ていたので逃げたのだろう。私達もすぐにその場を離れた。ここまで酷くやられたのは初めてだったかもしれない。だが一番被害を受けたのはカラオケボックスだろう。マサルさんは3日後くらいに顔や全身が痣だらけの状態で帰ってきた。相手の車のトランクに乗せられ山まで連れていかれてぼこぼこにされた後そのまま放置されて、歩いて帰ってきたらしい。全身あちこち骨折もしていて大変な状態だったが生きていただけマシと言うよりなかった。

今回はナンパに行ったら喧嘩になってしまったエピソードでした。文章が下手なので上手く伝わらないかもしれませんが、本当にとんでもないような状況でした。大きな店全体が営業できなくなるような大きな喧嘩でした。弱い相手と喧嘩するのはよくない事だが、強すぎる相手と喧嘩してたら、身体がいくつあっても足りないと思わせられた出来事でした。

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