見出し画像

第三十五話 高校生活

学校へは朝、まず駅まで向かい電車に乗って30分程度かけて、駅を降りてから自転車で20分程度かかる結構な距離の学校だった。ただ、ケンジと仲良くなってからはケンジが愛車のSRで迎えに来てくれたので非常に助かっていた。もちろんお礼にタバコやコーヒー等を買ってあげていたが。

実家の小学校で一緒だったタツヤはスティード、イノウエ君はエリミネーター等、アメリカン系のバイクを好む者、ジュンちゃんタカノのように族車系を好む者と色々ではあったが、仲間内ではほとんどがバイクに乗っていた。私も自分のバイクが欲しいという思いがあったが、買って貰うのは祖母に迷惑をかけてしまうし、パクった物を乗っていてもし捕まったらなどと、薬物使用者とは思えないようなまともな考えで、バイクには乗っていなかった。免許を持っていようがいまいが、好きな奴はバイク通学をして普通に校内の駐輪場に止めていた。それでOKな、なかなか緩い学校だったのだ。

学校では授業にはあまり出ていなかったが、学生ホールという場所でテレビを見て過ごしていることが多かった。休み時間になると、その学生ホールの裏にみんなが集まってくる。喫煙所のような場所になっていたのだ。最初の頃は先輩たちに睨まれたりもしたが、特に揉めることもなく、次第に打ち解けていった。昼休みには学食や購買を利用する奴らが多かったが、私にはお弁当を作って来てくれる可愛い彼女がいたので、その点でも皆から羨ましがられていた。

あとは、学校生活やそれ以外の日常でも、シマザキという先輩の存在も大きかった。シマザキ先輩は留年を二回していて私の四つ上の19歳で車も持っていた。入学早々に暴れた私の話を聞いて、興味を持ったようで、停学明け早々に私のところまできて車で遊びに連れて行ってくれた。何故かやまちゃんも一緒だったが。。。シマザキ先輩も薬物依存者でその面でも気が合った。女好きな点もであるが・・・・・

私は授業を受けるのもそこそこに遊びに行ってしまうことが多くなった。シマザキ先輩が誘いに来るからだった。授業を抜け出し、シマザキ先輩の車で街をフラフラと走り回る。三時を過ぎると学校へは戻らずにやまちゃんの事を迎えに行き、車の中でチャーリーをキメながら夜までは作戦会議の時間だった。夜になるとナンパに出かけた。薬物さえ持っていればナンパの成功確率はほぼ100%だった。当時の私たちが住んでいた街にはナンパスポットがいくつもあり、どこに行ってその日はどんな子を狙うか、だれが一番いい子を持っていくかなどの作戦が必要だったのだ。

そのためには薬を買う金が要る、かといってバイトをしたら遊ぶ時間が無くなってしまう、お化けのパーケンやカツアゲ、おやじ狩りで一か月数十万の金が入ってきたが、ほぼ全部、薬を買う事で消えていった。工事現場などでシンナー盗んでそれを売ったりもしていた。それが後々、大きな問題になるのだが、その話はあとでしようと思う。中学生の頃は喧嘩の強さが全てだと思っていたが、考えが変わってきた。周りからも一目置かれ、自分自身が楽しく過ごすためには『金』が必要なのだ。しかも、カツアゲやお化けのパーケンのように不確定なものではなく、計算できる収入が必要だった。

今回は学校での様子と、その時期に考えていたこと等を書いてみました。薬物によって得られる快感とそのために犯罪行為を繰り返していく典型的なパターンにハマりつつありました。この後は内容的にも段々ディープな部分を掘り下げていく感じになっていくのでご理解ください。次回は高校生活編の最終話(早い)になります。

スキやコメントを頂けると毎日更新の励みになります。

次回もよろしくお願いします。

次回に続く

よろしければサポートをお願いします。いただいたサポートは、noteの有料記事の購入やクリエイタとしての活動費などに使わせていただきます