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子どもの教育に必要なのは「非認知能力」

「認知能力」

これは,IQに代表されるようなテストで測定することができるような知的な能力=学力のことです。

認知能力は,大切だと思われている方が多いことでしょう。

確かに大切です。

しかし,ご存知でしょうか。


「IQなどの認知能力は遺伝でほとんど決まってしまっている」


ということを。


「子どものIQは生まれた時点で70%ほどは決まっている」


ということは,既に現代の科学で明らかになっているのです。


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(出典:残酷な「遺伝の真実」あなたの努力はなぜ報われないのか 安藤 寿康

以下のリンクを参照)


慶應義塾大学教授である安藤 寿康さんも述べているように,遺伝の真実は,行動遺伝学で明らかになっています。


つまり,学力を伸ばそう!と頑張ることは,効果はないわけではないけれども,環境要因は30%程度しかなく,最重要ではないかもしれないということです。


ここに多くのリソースを割くことは悪いことではないのですが,とても良いものかどうかはわからないのです。


じゃあ,勉強しなくていいじゃん!!


というのは大間違いです。(理由は記事の最後の方に結論づけています)


認知能力以外に,勉強をすることでつく力もあるのです。


それが,これから,大きな変化が起こっていくであろう世の中で,現代の子どもたちがつけていくべき力。

「非認知能力」

です。


言葉は聞いたことがある方が多いかもしれません。

非認知能力は,測定することは難しいものです。

OECD(経済協力開発機構)では,非認知能力のことを「社会情動的スキル」と表現し,目標達成や他者との協働,情動の抑制といったものを表すと示されています。

お子さんがいらっしゃる方,あるいは,教育に携わっている方々は,知っておく必要がありますし,この力を育んでいくことが,これからの時代を生きる子どもたちにとって,大きな手助けになっていくでしょう。

この記事では,非認知能力の概要を書いていくことにします。



非認知能力とは

結論から述べると以下の9つの能力です。

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【自己認識(Self-Perceptions)】
自分に対する自信がある,やり抜く力がある
【意欲(Motivation)】
やる気がある,意欲的である
【忍耐力(Perseverance)】
忍耐強い,粘り強い,根気がある,気概がある
【自制心(Self-Control)】
意志力が強い,精神力が強い,自制心がある
【メタ認知ストラテジー(Metacognitive Strategies)】
理解度を把握する,自分の状況を把握する
【社会的適正(Social Competencies)】
リーダーシップがある,社会性がある
【回復力と対処能力(Resilience and coping)】
すぐに立ち直る,うまく対応する
【創造性(Creativity)】
創造性に富む,工夫する
【自己認識(Self-Perceptions)】
自分に対する自信がある,やり抜く力がある
【性格的な特性(BIG5)】
神経症的傾向,外交性,好奇心,協調性,誠実性


この9つは,現在の学習指導要領では,「学びに向かう人間性」として表されています。

知識・技能を習得し,それを思考し,判断し,表現していく過程で使うのがこの非認知能力なのです。


つまり,

非認知能力は,認知能力(結果)を育むプロセス(過程)で使う力

ということになります。


そのため,

「勉強しなくていいじゃん!」

の結論としては,

勉強をしてIQや学力を上げることを目的とするのではなく,勉強を通して,「結果を生むためのプロセス」を学ぶことが大切である

だから,勉強はした方がいいのです。


しかし,勉強はしなければならないのかというとそれは分かりません。


した方がいいのは間違いありませんが,それが前回の記事で述べたような,ただ「1192(イイクニ)作ろう鎌倉幕府」と丸暗記するような知識習得をする学習スタイルでは,全く意味がないということになるのですね。


勉強を通して,非認知能力の中にある「忍耐力」を培ったり,結果を出したときに「自己認識」が高まったりというように,勉強を使っていくことが最も重要なことだということです。


なので,学校での過ごし方も,これまでであれば「お利口さんに座って,先生の言うことをよく聞いていれば良い」という時代であったかもしれませんが,そんな時代はとうに終わっているということです。


これから必要になってくる力は,クリエイティブさと,時代が変化した時に仲間と協力して,粘り強く物事を解決していく力です。


そんな力がつくように,教育者や親御さんは子どもたちと関わっていくことが重要なのです。



最後に

伝え忘れていました。

非認知能力の中に,

【性格的な特性(BIG5)】
神経症的傾向,外交性,好奇心,協調性,誠実性

というものがあったと思います。

この「BIG5」というものは,現代の科学では,最も信憑性が高いとされる「パーソナリティ」を測る方法です。

実は,このBIG5も遺伝で50%は決まっているものです。

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これを測って,子どものパーソナリティを知った上で,教育を行っていくことは,大変効果的だと考えています。

なぜなら,50%は決まっているからです。変容する可能性もありますが,粗方の土台は決まっているのです。

それを知らないまま変な「型」にはめた教育をしてしまうと,子どもたちが可哀想です。

このBIG5の測り方は番外編で記事を書きたいと思います。


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