江戸時代の作物の栄養素
江戸時代の作物の栄養素
化成肥料が無かった江戸時代、土壌を汚すことなく自然の産物で栄養成分を補っていた。
最もポピュラーな物として『海水』と『海藻』が上げられる。
生命の源 『海』
そこには生命活動に欠かせない全ての栄養素が詰まっている。
それを当時の農人は経験則で知り、作物に良い塩梅で活用していた。
畑と海の関係を江戸農書から・・ご参考に
●ナスが青枯れするようなときは、塩汁や海水などをかけるとよい。
(続物粉)
●寒中に海水をくみとってムギ畑の肥料にするとよい。
満潮のときにくんで桶に入れ、これに風呂の残り湯を混ぜる。
これを下肥に混ぜて使うとムギの細根が十分に広がる。
(百姓伝記)
●ムギの肥料には水肥の中に海水を二割ばかり入れるとよく、すべての肥料は食べものの塩味程度に塩分を加えたほうがよい。
(農業巧者江御問下ケ並に御答書)
●ナシ栽培用の下肥、いわし肥、にしん肥の肥料などをつくるときは、塩を加える。(梨栄造育秘艦)
●ミカンの木の根元に海水をかけるとよい。
ミカンの根に下肥を施し、五月のころには枯れたイネの苗を置き、寒中には海水をかける。
(百姓伝記)
●潮の干満のある入江に生える海藻は土地をふくよかにする。(百姓伝記)
●ウネ間にカジメを敷き、ムギの種子を播いて埋め戻すとムギがむらなく生える。(老農類語)
●サツマイモをつくる土地がやせていたら、海岸に打ち上げられた海藻を冬のうちに拾っておいて腐熟させ、それを根元にひとつまみずつ置いて植えればイモがよくできる。(砂畠菜伝記)
●山間の畑に植えたサツマイモには磯の付近に生えている海藻をとってきて、乾燥してウネ間に入れると効く。
(農業巧者江御問下ケ並に御答書)
●ミカンの木の根のまわりに海藻を多く敷いて広げ、春のなかごろ少し蕾のつく時分にいわしの腐らせたものなどを水で薄めて木の上からふりかけたり、小便をかけたりするといい。
(農業全書)
●オオムギにはカジメがよく効く。上々畑では四駄(五四〇kg)くらいとする。(老農類語)
●海藻はすべての作物に効く。よく干して雨に当たらないように貯えておき、作物に施すとよい。(農稼録)
江戸の百姓は自然と共生し、自然物でのみ、農作物を育てていた。
環境を汚すことなく、生態系を破壊すること無く、けっして土のチカラを奪わない。
江戸農書には大地を再生し環境を浄化する知恵がたくさん詰まっている。
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