見出し画像

digglueのカルチャー設計

はじめに

digglue代表の原 英之です。

私達が現在コミットしている「資源循環 × デジタル」の領域は、時間を掛けて事業を展開してく必要がある分野です。長期でコミットしていくにあたって、組織作りの核となるカルチャーは非常に重要な役割を果たすものとして、大事にしてきました。

というわけで、今日はカルチャーについて書いていきます。

組織設計から見るカルチャーの立ち位置

そもそもカルチャーの位置付けについて、組織の設計からどのような役割として考えてあるのか、という大前提を書いていきます。

digglueの存在意義は「テクノロジーで持続可能な世界を実装する」ためにあります。これがパーパスで、昨年秋に設定しました。

パーパスを頂点にしたピラミッド構造で、組織の考え方を捉えています。ここでは超ざっくりと、下記のように形になります。

  • パーパスを元に、目指していく未来像(世界観)を「ビジョン」

  • ビジョンを実現するために成すべきことを「ミッション」

  • ミッションを遂行するための「戦略」

  • 戦略を実現するための具体的な方法が「戦術」

  • それらを支える組織のコアになるものが「カルチャー」

あくまでわかりやすく立ち位置を考えたものですが、そもそも「パーパス=存在意義」なので、厳密に言うと図のようなピラミッド構造になっているのは少し違和感があるかもしれません。

この辺はいずれ整理していくものとして、現行はこんな感じになっています。

digglueのカルチャー

変化が早く不確実性が高い現代社会において、組織も人も常に進化し続けなければなりません。実際にdigglueのカルチャーは創業から何度も更新しています。

また内容を決めるプロセスに関与するのは、経営陣やボードメンバーだけではなく、新人を含めたメンバー全員が決定に関与できる余地があるべきです。

つい先日も社内合宿を行ってきたのですが、新たに追加すべき項目も議論に上っていました。そちらは記事の最後に少しだけ触れておきます。

digglue culture book

digglueのカルチャーは大きく分けると下記になります。

① 自律駆動 drive yourself
② 冒険心 adventure
③ 実装 implement

人間性 personality

それぞれにカルチャーを体現する行動3つが紐付いています。
また、仕事としてのアクションだけではなく、人間性も重視しています。

では、一つずつ見ていきます。

1:自律駆動

自律駆動の項目は主に行動の在り方(アクション)を示した内容になっており、「自律」というワードには下記2つの意味があります。

  • 「主体的に動く」という意味の自律
    (automation / initiative)に近い意味。

  • 「自らを律する」という意味の読んで字の如くの自律
    (Self-management)に近い意味。

一つ例を挙げると、22卒で入社した新卒メンバーのお話。

彼がインターン時(入社が決まっていた新卒)にdigglueの新卒採用向けのLINEアカウントが無いことを危惧し、自身でdigglueのLINE採用アカウントを開設。積極的に新卒とコミュニケーションを取り、面接プロセスに入る前にカジュアル面談で応募者の入社意思を高める活動をしていました。
また自身が利用していたエージェントの就活イベントに積極的に登壇し、23卒の優秀なメンバーを取ってくる。東大卒の超優秀な新卒をpwcかdigglueの2択まで持ってきたのは紛れもない彼自身の功績です。
誰に言われるでもなく、こういった活動を自主的に行っています。

他の例だと、新人チーム(新卒2名+23卒入社のインターン)が自分の頭で考えて内容を決め素早く作り上げたコンテンツとして、digglueの採用ページがあります。

もっと小さいタスクであれば、全体向けに連絡が来ているメール対応を拾い上げて返信を行っていたり、散らかった情報をまとめたり、外部のセミナーに出席して積極的に知識を取り入れたり。

もちろんこのカルチャーを体現しているのは、新卒ばかりではありません。メンバー全員がこの自律駆動を体現するエピソードを持っています。

なぜ自律駆動が重要なのか

「自らを律する」という点にも関連する項目についてお話します。

マネジャー1人が直接管理している部下の人数や、業務の領域を示す「Span of Control」という言葉があります。 一般的には1人の上司が直接管理できる人数は5~7人程度と言われており、それ以上になるとチームとして機能せず人間関係すら悪化します。Amazonの2ピザチームもこの辺から来ています。

規模が大きい組織になると、マネージメントは必要になりますが、そもそもは「組織・会社の中でも最低レベルを一定まで底上げする」という背景から行われていることが多く、そうした側面のマネージメントは極力減らしたいというのが本音です。

される側としても「あなたはパフォーマンスが低いから、上司が徹底管理して進捗を随時チェックします」と言われてもモチベーションは上がりませんよね。(そういう人も居るかもしれませんが・・・)

人はそれぞれ、パフォーマンスを発揮できる環境は異なります。
例えば、朝が得意な人もいれば、夜になって急にノリノリになって集中できる人、みんなとワイワイしながら仕事をするのが好きな人もいれば、一人でモクモクと作業をしたい人もいます。

それらを一人ひとりマネージメントしていくには非常に大きな労力がかかり、我々のような小さな組織では特に負荷が高いです。もしメンバー全員が主体性を持って動き、高いレベルの自己管理がなされていれば、マネージメントの負荷も下がります。

また、優秀な人間ほど管理される事を嫌がる傾向があるように思います。下手にマイクロマネジメントや徹底管理を行ってしまうと、負の側面である「出る杭を打つ」という副作用が顔をだしますが、出る杭になることが強みになる世の中において、この副作用は致命的です。

digglueは統制の取れた軍隊のような組織を目指すのではなく、欠点だらけでも尖った才能を持った人たちが自分たちの強みを発揮していける組織を目指します。

そういった組織を目指すにあたって最重要なのが「裁量」だと考えています。各メンバーに大きな裁量がなければ強みを発揮することが難しく、また裁量を持って行動したが故に急成長する人たちも大勢います。
「優秀だから裁量を与える」という側面もありますが「裁量を与えたからこそ優秀になった」という人も、大勢いると思っています。

しかし大きな裁量を与えるにも当然リスクがあります。信頼し裁量を与えて動いてもらっていたが、蓋を開けてみれば何もしてなかった、なんてことはザラにありますよね。

だからこそ「自律駆動」が必要なのです。自らを律し、主体性をもって動く。これは各メンバーに裁量を与えるための前提条件になります。

自らを律することができなければ、仕事が適当なレベルで終わってしまったり、ぼーっと時間だけが過ぎてしまって成果につながらなかったり。
指示を待っているだけで自分で判断して自ら行動を起こさない人は、そもそも大した成果を挙げるのが難しいでしょう。

”管理”はパフォーマンスの低いメンバーには必要かもしれませんが、同様のことを優秀なメンバーに行ってしまうと、強みが発揮できないばかりか、せっかくの才能を潰してしまいます。

韓信は大きな裁量を与えられたからこそ、天下無双の将軍として名を馳せたのです。

自らの認識を埋めに行く

これは比較的最近になって追加された項目です。
実はSmartHRさんのカルチャーからそのままパクってきました(笑)

というのも、主体的に行動するメンバーが増え、多数のプロジェクトが同時推進する中で、情報共有が一つの課題になってきたことが背景にあります。

自分が”あたりまえ”と考えていることも、他からみると案外理解できていないことはあります。
プロジェクトを推進する中で、いろんな人を巻き込む必要があるのですが、そもそもの前提や認識がズレていたが故に、後々に重大なすれ違いを生むことがあります。「え、これってこういう意図で動いてたの!?」みたいな事が発覚し、やり直しが発生してしまう。これはもったいない。

「自分のあたりまえ」は、必ずしも「他人にとって当たり前ではない」ということを意識することは非常に重要だと考え、カルチャーの項目に追加しました。

この認識のズレは「話す側だけでなく、受け取る側からも主体的に埋めていく」といったレベルで取り組む必要があると考えています。

余談:学習習慣

また、現在は当たり前すぎて項目に書いていない「学習習慣」というものもあります。実際に、digglueでは社内勉強会を平日の16:30から毎日実施しています。

ブロックチェーンやAIのようなテクノロジーの話題だけではなく、コーディング、業界構造、マーケット、デザイン思考、金融、経済学、数学など発表者自身が興味のあるコンテンツで発表しています。

内容は基本的にNotionでデータベース化されているので、入社する方はその膨大なコンテンツにアクセスできるようになっています。(量が多すぎて見れない、という声も上がっています)

2:冒険心

自律駆動は「行動(アクション)」にフォーカスした内容ですが、
冒険心は主に「考え方(マインド)」の在り方を書いています。

私なりの表現を使うと下記のような内容になります。

  • 好奇心を持って、幅広い分野に分野にアンテナを立てる

  • 変化することを当たり前と捉え、常に挑戦していく

  • 目的をはっきりさせ、みずからポジションを取って動く

digglueは創業から色んな事にチャレンジしてきました。
創業当初はブロックチェーンの社会実装コストを下げるために教育コンテンツを作ったり、企業の情報連携にフォーカスしてDXを推し進めたり。
今はサステナビリティ分野に注力する一環として「資源循環のデジタル化」を行っています。

これまでの変化は、明確な理由と流れがあってのことで(説明すると膨大な量になるので今回は省きますが)、実績を経た洞察からの意思決定です。
この変化は、カルチャーである「冒険心」の体現とも考えられます。

「冒険心」を個人レベルで見てみると、例えば、業務外の知識を積極的に取得していって、プロダクトの機能や社内の制度に実装していく、などが考えられます。トレースシステムのアルゴリズムに離散数学の応用を適用させてみよう、新規事業側での企画にミクロ経済の理論を当てはめて考えてみよう、全く違う業界での人事システムを取り入れてみよう、など。

もっと軽いものだと、出社時のランチに必ず毎回違ったレストランで食事をする、などは好奇心を発揮した結果として冒険心に該当するのではないでしょうか。

好奇心を発揮し、変化を楽しむマインドを持つこと、そして変化を起こす側で居ることが、冒険心の考え方として重要な要素です。

なぜ冒険心が重要なのか

よく「暗闇でジャンプする」などの表現としても使われますが、答えが明確には無いところに、結果として正解を作りに行くのが我々の仕事です。
暗闇の中に進むべき道を切り開く、そのために大小様々なリスクを取ってイノベーションを起こしていくことが肝心で、その実現に欠かせない要素が冒険心と考えています。

イノベーションとは「既にあるものを組み合わせて新しいものを創造すること」です。
組織やプロダクトを進化させていくには、目の前の事だけでは不十分で、外に目を向け多様なものを取り入れることがコツです。

我々は、その原動力になるのが好奇心だと考えています。好奇心から取り入れた情報を、自律駆動を以て会社に取り入れることで、進化し続ける組織になります。

常に進化を続ける、ということは常に変化するということでもあります。そして変化を起こす側の宿命として、必ず失敗がつきまといます。
digglueでは積極的な挑戦による失敗は、むしろウェルカムです。色んな物事に挑戦して、失敗を繰り返して、そこから学んで成長していくことが、組織の進化に繋がります。

これらをひっくるめて、変わり続ける環境を楽しめるかどうか、難しい課題にチャレンジすることにワクワクできるかどうか、この観点は採用時にも重要視するポイントになっています。

ポジションを取って動く

この項目については、少し補足が必要だと思います。

この「ポジションを取る」というのは、すなわち「自分が当事者意識と責任を持って動く」ということです。自律駆動で述べた「裁量」とセットになる考え方かもしれません。

また、もう少し広い領域での解釈も含みます。
プロジェクトにおいてポジションを取る、という例を考えてみると、
「目的を明確に定める」「プロジェクト全体の方向性を定める」などの考え方もポジションを取る上で必要です。

かくいう私自身もまだまだではありますが「業界でのポジションを取れるよう積極的に活動することを意識しよう」という意志もこの項目に入っています。

余談:クリティカルシンキング

以前は冒険心の中に「クリティカル シンキング」というものが含まれていました。クリティカル シンキングを簡単に言うと”批判することで多くの視点を獲得し、物事を多角的にみよう”という思考法です。
「物事を否定するために使う」というより「新しい視野を手に入れるために使う」が目的になります。

以前の冒険心の解釈では「当たり前とされているものごとに疑問をもち、本質的な課題に目を向けて、解決することをチャンスととらえて変えていく行動やマインドである」と言っていました。

これ自体は今も間違っていないと思います。
以前、数が多いとカルチャーが浸透しないと考え、項目数を減らしました。
その際に、文面として明記する事柄ではないと判断し、現在のカルチャーに記載されていないのが背景です。

しかしながら、意識しているかはさておき、クリティカル・シンキングを実行しているメンバーは数多くいます。

3:実装

自律駆動は「行動(アクション)」、
冒険心は「考え方(マインド)」として書きました。
そして本項目で述べる実装は「成果(アウトプット)」です。

様々なことにチャレンジし(冒険心)、主体的に行動し(自律駆動)、そしてプロフェッショナルとしてアウトプット(実装)にこだわる。これらが三位一体として機能するのがdigglueのカルチャーの本質です。

最後の実装は、下記のような項目で明記されています。

  • 即仮設・即プロトタイピング

  • 「やる」だけではなく「やりきる」

  • 相手の期待を超える

この3つを超簡単に言い換えると「スピードと質で顧客の期待を超える成果を出し続ける」ということです。

もう少し補足すると、下記のように解釈出来ます。

  • 考えるだけでなく、素早くアウトプットとして形にする。
    誰の目にも見えるように形を作ることで、スピーディにコミュニケーションや意思決定を促すことが出来ます。

  • 「適当に作ればいいんでしょ」ではなくしっかりと「私はやりきった!」と言えるくらい質にこだわる。
    手抜きは見抜かれます。

  • 相手の期待に沿うレベルではまだまだ不十分。
    期待を超えるレベルを狙って初めて価値が出せます。

弊社のコンサル資料などは上記を徹底してこだわっており、だからこそ、我々のように規模が小さい会社が、大手企業との信頼関係を築けていると考えています。

私がメンバーに何か依頼をする際にも「あぁ、コレですね。すでに完了しています」と先回りされ、中身を見てみたら期待していた以上のものが仕上がっている、といった経験が何度もあります。

この実装力というのはdigglueの大きな強みだと自負しております。

実装という言葉について

もう一つ、上記で説明したようなカルチャーとしての「実装」だけでなく、この言葉はパーパスにも登場します。

パーパス:テクノロジーで持続可能な世界を実装する

パーパスに関しては解釈の余白があって良いと考えています。
私にとって、この実装は主に「社会実装」を意味します。
社会実装とは「社会の多くの人が利用する」状態、つまりイノベーター理論でいうキャズムを超えた段階まで普及した状態と捉えています。

冒頭にも述べたとおり、現在は資源循環のデジタル化に注力しており、マーケット自体は静脈産業というスタートアップが入りにくいポジションでの社会実装を目指しています。

我々は当初、ブロックチェーンというテクノロジーを実装することに拘りを持って動いていました。しかしながら様々な実績を経て日本の社会実装に足りなかったのは、テクノロジーのイノベーションではなく、社会の変え方のイノベーションだと現在は考えています。

テクノロジーはあくまで手段。社会の課題やニーズを把握しながら、テクノロジーではなく社会を変える動きをしていく企業として、社会実装を行っていくのが我々です。

結果的に後付にはなってしまいますが「実装」という言葉は、上記の意味合いも含まれる形になります。

+人間性

上記で述べた「自律駆動・冒険心・実装」は、我々が社会において、仕事をする上で「そう在りたい」という想いから言語化されたものです。

そして、それらを支えるのはあくまで「人」で、その中核を体現するのが「人間性」というのが重要なポイントです。

いくら能力が高くても、不正をしたり、不義をはたらくようであれば、社会的な信頼は得られません。それは顧客からの信頼もそうですし、我々働くメンバーからの信頼もそうです。

しかしながら、人間性といっても様々な側面があります。その中でも我々が最も重要視するのが「誠実さ」です。その人が誠実かどうかは、採用時に最も重要視している要素になります。

能力だけでは足りない、顧客に正しい価値を最大限に届けるには、誠実な思いと行動が求められると考えています。

顧客に社会に対して成果を出す、世の中に対して不誠実な態度は取らない。
これらはカルチャー3要素を支える上での根本になります。

また、現在人間性について、いろいろな項目が書かれていますが、ここに関してはまだまだ議論の余地があります。進化する組織を作ってく上で、この項目に関しても常にブラッシュアップしていく予定です。

最後に

以上が、digglueのカルチャー全容になります。
何度の述べていますが、カルチャーはメンバー全員によってブラッシュアップされていく存在です。

例えばつい先日、新しい項目として「Healthy Conflict(健全な対立)」という議題が上がってきました。

クリティカル・シンキング(批判的思考)とつながるところはありますが、「新人だろうが誰だろうが、社内の誰に対しても萎縮したり忖度すること無く、健全に反対意見を述べられる環境」がより強い組織を作っていく上で必要、という意見が出ています。

もちろん「健全な」というものが枕詞として付きますので、人格や見た目などの否定は大きな間違いとして認識すべきです。しかし、常に正しい人間はこの世に存在しないので、意思決定を下す人間に対しても、健全な反対意見を出せるようにすることは、組織にとって重要な要素になります。
全ての批判を意思決定に取り入れるわけではありませんが、議論を繰り返えすことによって、意思決定の質は確実に上がります。

私自身も完全に同意で、次は「具体的にどうやってその環境を作っていくか」が課題になります。その上で、定期的に全員が振り返る機会のある「カルチャー」にこの項目を追加していくのは有効だと考えています。

少し長くなってしまいましたが、digglueのカルチャーがどのようなものか、参考になれば幸いです。

こういったカルチャーの元、常に新しいメンバーを募集しています。私に直接メッセージくれても構いませんし、TwitterなどのDMも大歓迎です。

Twitter:  https://twitter.com/harahidey

少しでもdigglueに興味を持ってくださった方、是非下記のページも覗いて見てください。

https://jobs-digglue.notion.site/digglue-eb93681970444ec4bc6c4ee62768ac55


この記事が参加している募集

最近の学び

多様性を考える

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?