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研究者としてうまくやっていくには

研究の世界は、知的探求の場であると同時に、人間関係のジャングルでもあります。論文の質や研究の独創性はもちろん大切ですが、それらを正当に評価してもらうには、人々との巧みなコミュニケーションが不可欠です。今回は、研究者としてキャリアを築く上で役立つ、様々な場面でのコツをお話しします。

まず、プレゼンテーションの場面。聴衆を魅了するには、内容もさることながら、非言語コミュニケーションも重要です。「胸が開く」姿勢で聴衆に向かうと、彼らを受け入れているという暗黙のサインになり、印象がぐっと良くなります。質問への対応も印象を左右します。ベテランからの難しい質問には、「ご指摘ありがとうございます。その点は我々も気にしていますが、まだ検討中です」と誠実に答えましょう。逆に、若手研究者には教育的な質問をすると、あなたの懐の深さが伝わります。

論文投稿時の査読者とのやり取りも、研究者人生を左右します。査読者からの指摘を一つでも無視すると、不快感を与え、論文受理の可能性は低くなります。むしろ、批判を活用しましょう。例えば、「結論が正しくない」という指摘に対しては、「ご指摘のA以外にもB、Cの要素を多角的に検討し、結論を導きました」と反論します。これで、あなたの研究の奥深さと誠実さをアピールできます。

研究室運営や学生指導も、研究者の重要な仕事です。助教やポスドクが大学院生を厳しく指導し、PIが優しく中和する。この役割分担で研究室はうまく回ります。また、学生の研究を評価する際、成果よりも「答えの見えない課題に取り組んだ経験」を重視しましょう。企業の人事担当者も、そんな学生を高く評価しているのです。

忘れてはいけないのが、人間関係のメンテナンス。忘年会では、ビールを学生に注いでもらうのではなく、あなたから進んで注ぐ。そんな小さな気遣いが、研究室の雰囲気を良くします。

対外的な活動も研究者の大事な仕事です。高校へのアウトリーチでは、入試情報より、あなたの個人的な体験を語りましょう。「高校生の頃、どんな気持ちで大学を目指し、今の専門を選んだのか」「研究者の仕事がいかに楽しいか」。そんな話は、生徒や保護者の心に深く響くはずです。

学会や研究集会での人脈作りも忘れずにしましょう。入ろうとしている学科の教授陣を事前に調べ、「分野が近いので、こんな共同研究ができそう」と提案する。これで、あなたの積極性と適応力をアピールできます。

最後に、教授の重要な役割について。自分の研究に没頭するのは勿論ですが、それ以上に大切なのは、自分の専門分野全体を一般市民や他分野の専門家にも分かりやすく説明すること。これが、あなたの学問の社会的な地位を高め、次世代の研究者を引き付けることにつながるのです。

研究者の道は、知的挑戦と人間関係のバランスを取る旅。この記事のヒントを参考に、学術的な成果と人々との絆を両立させ、充実したキャリアを築いてください。

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