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不確実性から起こる組織の問題

株式会社ブレーンバディ執行役員CHROの永井です。
今回は「不確実性」をテーマに、組織開発について考えていきます。
スタートアップ企業は、非常に不確実性の高い状況下で企業経営をしています。そのため、組織内にも不確実性の高い要素が多く発生します。不確実性は、人を不安にさせるだけではなく不安から組織の問題を生みます。
今回は、スタートアップ企業の組織が、その不確実性とどう向き合うかみなさんと一緒に考えていければ嬉しいです。

組織に存在する不確実性とは

そもそも企業組織は、何かの目的を実現するために織り成されます。その目的は、多くの場合非常に抽象的です。例えば、「コーポレートミッション」がすごく具体的な企業はほとんどないと思います。つまり、抽象度の高い状態から具体的な状態に変化させることで、企業は目的を実現させます。言い換えると、不確実なものを確実なものへ変えていくことで、目的が実現されます。
また、組織には一定階層というものが存在します。階層の上流に行くほど抽象度の高い戦略や方針を描く人がいて、現場はより具体的な行動を実行します。その間で発生する不確実性は、働くヒトの思考にバグを作り色々なバグを発生させます。そのバグが組織開発において様々な問題を起こします。
例えば、どれだけ戦略が優れていていても、現場メンバーが不確実性の排除ができない状態で行動を起こすと、熱心に取り組むものの成果が出ないことが起こり得ます。そうすると、メンバーは上司や環境を批判したり、自分の能力が足りないと悩んだり苦しむことになります。
そのため、組織の目的を実現させるために、不確実性と向き合うことは非常に重要だと考えています。

不確実性の発生要因と種類

では、不確実性はどのような時に発生するのか考えていきます。本質的には、不確実性の発生源は以下2つです。

  • 未来=環境不確実性

  • 他人=通信不確実性(コミュニケーション不確実性)

さらに、通信不確実性は3種類に分解されます。
1)他者理解の不確実性:他人や事象を完全には理解できない。
2)伝達の不確実性:コミュニケーションが意図通り相手に伝わるとは限らない。
3)成果の不確実性:仮に意図通り理解されたとして、発信者の予想通りに行動するとは限らない
組織開発と向き合う上で、上記の不確実性の発生源を完全に無くすことは不可能だと思います。そのため、不確実性に向き合い少しでも減らしていくことで、組織は目的を達成していきます。
しかし、人間は無意識に”わからないもの”に向き合うことを避けてしまうという習性があります。ヒトは、わからなものと向き合うと不安を感じ、本能的に「逃避」か「攻撃」を選択し”わかっているもの”を本能的に優先させます。この不安を解消していかないと、ヒトは、他人(上司や同僚)や未来(会社の経営方針や自分の目標など)から逃避し、状況によっては攻撃をしてしまいます。それでは、組織として機能させ、会社の目的実現は難しいです。

不確実性を減らすために

こからは、不確実性を削減していくためにはどうしたら良いか考えていきます。今回は、他者との関わりから生まれる不確実性にフォーカスして考えていきます。
そもそも他者に対する不確実性は、以下の3種類が存在しています。

1)他者理解の不確実性:他人や事象を完全には理解できない
2)伝達の不確実性:コミュニケーションが意図通り相手に伝わるとは限らない
3)成果の不確実性:仮に意図通り理解されたとして、発信者の予想通りに行動するとは限らない
3つの不確実性から、組織に「情報の非対称性」と「限定合理性」が生まれます。

<情報の非対称性>
組織内には、多かれ少なかれ情報の非対称性が生まれています。知っている人知らない人、全部知っている人一部しか知らない人など、非対称性は様々です。例えば、創業メンバーと中途メンバーの間に起こる問題は、情報の非対称性から起こることがよくあります。その他にも、経営陣が現場現場の情報を把握してないことにより起こる問題も情報の非対称性と言えます。

<限定合理性>
人間は限定合理性を持っています。自分にとっての正解を勝手に作り出すため、不確実性の高い状態だと、それぞれが自分の正解に向かって勝手に動き出します。
他者との関わりの中での不確実性は、日常的に組織内で発生していると思います。この不確実性を減らす重要な要素が「コミュニケーション」です。

コミュニケーションは不確実性を削減する手段

他人に対する不確実性は、コミュニケーションによって減らしていくことができます。組織内でよく聞く「コミュニケーション不足」は、不確実性が高い状態で行動したことにより、情報の非対称性や限定合理性を生み、良くない結果が出ることが問題です。だからこそ、組織内のコミュニケーション能力を上げていくことで、コミュニケーションの不完全生を削減し、不確実性を減少させることが重要です。
コミュニケーションで不確実性を削減するために、情報の透明性も重要になります。ただ、よく言われる「できる限り多くの情報を開示する」だけでは、透明性が高い状態とは言えません。コミュニケーションの不確実性を削減することを目的とした時に求められる透明性は、意思決定と意思決定に関わる情報が、組織内に整合性を持って伝達されていることです。また、その情報は物理的にアクセスしやすく、わからない時に聞ける関係性が重要をつくることが重要です。

当社の不確実性を排除する取り組み

より具体的に不確実性を排除する対応策について考えていきます。今回は2つの当社事例をご紹介します。

<情報を循環させる風土醸成>
少し曖昧な取り組みかもしれませんが、組織マネジメントにおいて風土醸成は非常にインパクトがあります。当社でも不確実性を排除するために、カルチャーマネジメントを行なっています。
当社では、Valuesに「オープンで行こう」という項目があります。組織に情報を循環させるために、オープンコミュニケーションを重視しています。例えば、Slackコミュニケーションでも、(機密情報を除き)個人DMの利用を原則不可としています。

<経営・事業の進捗や方針を全社に共有>
当社では、毎月月末に行う締め会と四半期・半期・通期のキックオフを行なっています。これは、役員〜インターン生まで全てのメンバーが参加し、経営や事業の進捗を開示します。エンゲージメントなど不確実性排除以外の観点もありますが、代表・役員・事業部長から翌期間の方針とその背景を開示します。内容に対して、質問の時間や事後アンケートを用いてできる限り不確実性の排除に努めています。

組織との向き合い方

今回は、不確実性の怖さとどうしたら削減できるかについて考えてきました。ただ、不確実性を完全に排除することは不可能だと思います。ヒトには、コントロールできるものとできないものがあるため、人と人の間に発生する不確実性は必ずと言って良いほど発生します。そのバグは思考の中に発生し、行動や結果の問題として現れます。人・組織と向き合う自分は、不確実性を極力排除することと、バグが発生していることを一次情報として取りに行き続けること、そして発生したバグをリファクタリングできるようにしていきたいです。
また、自分自身が不確実性をより確実なものに近づけ、本質的な問題を見極め組織開発をし続けたいと考えています。


<参考文献>

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