九鬼周造 『「いき」の構造 ―まんがで読破─』 イースト・プレス, 2012.
九鬼周造『「いき」の構造 ―まんがで読破─』イースト・プレス, 2012.
日本民族に独自の美意識をあらわす語「いき(粋)」とは
「運命によって〈諦め〉を得た〈媚態〉が〈意気地〉の自由に生きるのが〈いき〉である」
〈諦め〉とは
* 垢抜けしてあっさりしてる様のこと
* 世間の裏切りによって得られる仏教の「無常」の観念に近いもの
〈媚態〉とは
* 男女が互いを意識しムラムラしてる様
* 異性と自分との間における緊張状態のことで「いろごと」で「いきな話」とか「いきな事」と言うように媚態はいきの基礎となるもの
〈意気地〉とは
* 自己に対する制約
* 「武士は食わねど高楊枝」というような「武士道」によってもたらされる信念のようなもの
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いきの基礎は,男女が互いを意識しムラムラしてる様である.
外国人から,日本の文化が「変態」と切り離せないと思われていることと繋がりがあるかも知れません.
「まっ昼間からけんかたぁ ずいぶんといきじゃねぇか!!」
昼間からのけんかは粋である.
この美意識はわかりかねます.
江戸時代の江戸の,この感覚が,
令和時代の東京でも,半グレを容赦しているのかもしれません.
現代に「いき(粋)」の美意識は何をもたらすのでしょうか.
失っても良い意識なのでしょうか.
六面体を用いた幾何学的な「いき」の関係図から
「味」を見出せたり,
「さび」は三角柱で表現できます.
下記は岩波文庫版ですが,表紙にその関係図が描かれています.
無数に広がる人生から,
自己の人生を描いていく.
人生はこれのくりかえし. (cf. pp. 186-187)
本当にそうでしょうか?
著者の九鬼は,ハイデガーの愛弟子でした.
実存主義的な「投企」projet を説明しているのでしょうか.
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