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米国と日本、景気と賃金

いきなりですが、まずは米国の状況です。
FRBパウエル議長が利下げ縮小を発表しました。
早ければ12月、具体的には12/13~14の次回会合で利上げ幅を0.75%から0.5%に圧縮するシナリオです。
3月から始まった利上げ局面で始めての利上げ幅縮小となります。
目的はもちろんインフレを食い止めるためです。

この状況で、FRBは物価見通しに対して慎重な姿勢を崩していません。
それが証拠に、パウエル議長は、賃金上昇率を
『2%の物価目標と整合性が取れるレベルを大きく上回っている』
警鐘を鳴らしています。

普通、賃金上昇が実現すれば、良いこととされるのではないかと思いますが、現在の米国では歓迎されていません。
何故?
簡単に言うならば、賃金インフレになるからです。
インフレが賃金上昇を誘い、それによりインフレ率がさらに上昇するというスパイラル、それが賃金インフレです。

『モノの価格が下がっても、賃上げがサービス価格を押し上げればインフレ圧力は弱まらない」
物価が高止まればFRBはより長く利上げを続けざるを得ません。

人手不足が背景にあると言われ、米国の求人件数は失業者の1.7倍の水準で高止まりしています。
アトランタ連銀算出の賃金伸び率では、10月前年比6.4%と伸びが鈍化していますが、一時的とみられています。

一方、日本の賃上げについてです。

連合が、2023年春闘で5%程度の賃上げ要求を掲げると決めました。
基本給を底上げするベースアップ(ベア)の引き上げ幅が焦点になる、ということですが、ベアは持続的な賃上げにつながるかどうかのカギを握っています。

連合の芳野会長の言葉にあるように
『慢性デフレから脱却し、家計と企業が急性インフレに対応するためにはとにかく賃上げが必要』
ということが、日本のとるべき対応だということでしょう。

『一人ひとりの生産性を向上し、賃上げと安定した物価上昇の好循環をもたらす構造転換に踏み込まなければ、世界の先進国との賃金差は広がるばかりだ』

景気減速が予想される米国と、景気回復を目指す日本。
賃金上昇を懸念する米国と、賃金上昇を目指す日本。

『 』内引用、参照
2022/12/2 日本経済新聞 
2面  総合1 【賃金インフレ注視 米利上げ原則「12月にも」】
3面 総合2 【物価高が試す賃上げ】より
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