見出し画像

【和風交響曲】凛として咲く花のごとく、生きたい【オリジナル曲】


『凛』

ねぇ 嘘だと言ってよ まだ 何も果たせてない
交わした約束の全てを “裏切り”に変えないで


素直になれない夜は いつも同じ夢を見た
うなされては決まって 後悔に囚われた
違うのは君がいて 僕の側にいてくれる
これからはもう少しだけ 人に触れようと思えた

剣を翳す右手と 君と繋ぐ左手
熱く燃ゆる願望こころ、奮え いざ羽ばたかん

凛と立つ君に焦がれて 蝶はその胸に停まる
誰にも見せない涙を 君だけが気付いてくれた
裏腹な悪態で 口を衝いて出た言葉
ほんとは、孤独は嫌なんだと 言える勇気が欲しかった


不穏が滲む夜に 懐かしい夢を見た
あか岐路きろ看取みとりて あおはい群先むらさき
目覚めた闇の中で 秒針だけが響く
君がいない、ただそれだけで この消えない不安は何?

“側にいて欲しい”じゃなく「側にいてあげたい」と
強く誓う決意こころが 今 ぎるのは何故?

凛と咲く花に焦がれて 蝶は軍火いくさびに停まる
誰より優しい笑顔を 守る楯になりたかった
「死ぬ瞬間ときは一緒だ」と 口を衝いて出た言葉
微笑みで応えた君が 愛しい…夢なら覚めないで


ときは流れるじゃなく 滔々とうとうと降り積もる
「時間は重みだ そう思う」輪廻の淵で

凛と咲く花に焦がれた あま運命みことは絶たれた
蝶の飛跡はを残し 永久を彷徨う極光
-来世つぎの僕は本当に 現世いまの僕と同じなの?-
壊れた世界の片隅で 違う空を見上げている


--------------------------------
作詞・作曲・作画:hide_ache
歌唱:黒崎朔夜 mix:PieTako
--------------------------------


楽曲解説

初出は2012年。
同人音楽即売会にてサークルと並行して立ち上げた
私のソロプロジェクトのデビュー作のリード曲となっています。

ちょっと完成版のこちらのオケが想定通りに行かなかったので
デモのボカロバージョン↓を自分ではよく聴いています。苦笑

近い感触としてはfripSideの『flower of bravery』を目指していて
トランスに仕上げたかった感じです。
ベースラインにその名残がありますね。

ただ私の嗜好的にジャンヌの『feel the wind』が混ざりました。
デモでギターが目立っているのはそのためです。
多重ストリングスもその影響。

完全に詩先で、歌詞ありきのメロディとなっており出来も満足。
……なんですが、実はこうなる前の段階があり
歌詞自体の第一稿があったりします。そちらもそのうち公開しますね。

イラストは数少ない自信作なので、ことあるごとに多用しています。
note立ち上げ初期から使用していますし。
もう10年も前の作品ですが。。


歌詞解説

【妖狐×僕SS】の凜々蝶視点で、
百鬼夜行に備え向かい散るまでの心境を歌った内容となっております。

ただもちろん自分の共感した部分を抽出しており
自分に置き換えて解釈することも可能です。

初めにネタバレをしますと、アニメでは描かれていないのですが
【妖狐×僕SS】単行本4巻にて主人公と"君"は命を落とします。

敵の策謀した百鬼夜行によりまず"君"が主人公をかばい死亡。
続いて善戦むなしく主人公含む味方チームが全滅。
その場面の回想から入ります。

ねぇ 嘘だと言ってよ まだ 何も果たせてない
交わした約束の全てを “裏切り”に変えないで

実はこの部分は、先述の"第一稿"から残っている部分。
歌詞を【いぬぼく】に書き換える前の
別の作品のキャラクターのセリフから流用しています。

君と出会いたくさんの約束を交わし描いた未来図。
まだそのすべてを叶えていないのに
運命に強制的に退場させられたことにより頓挫してしまったことを
約束の破綻 = 裏切り と称しました。

私も現時点で前職でやり残していることがたくさんあります。
それは一種の裏切り行為とも言えますね。
取り返せる日は来るのでしょうか。

素直になれない夜は いつも同じ夢を見た
魘されては決まって 後悔に囚われた

【いぬぼく】主人公には悪癖があります。
思ってもいないのに強がり悪態をついてしまうというもの。
そのたびに落ち込んでいるわけです。
作者はそれを"つんしゅん"(ツンとしてシュン↓とする)と名付けてました。

これは程度こそあれ、誰でも経験したことはあるのではないでしょうか。

違うのは君がいて 僕の側にいてくれる
これからはもう少しだけ 人に触れようと思えた

子供の頃はそんな自分がイヤで、孤独を選んでいたのに
今ではそんな自分に執着する"君"がいます
鬱陶しく思いながらも、心を開けるだけの関係性が築けた現在、
こういう自分を変えて
周囲とも打ち解けようという気概が芽生えていたのでした。

あなたの周りにも友人知人が居るはずです。
一人にはさせてくれない誰かがいることって、勇気ですよね

剣を翳す右手と 君と繋ぐ左手
熱く燃ゆる願望-こころ-奮え いざ羽ばたかん

アニメでは
単行本2巻分しか映像化されていないため描かれていないのですが
この作品はれっきとした妖怪バトル漫画です。
主人公も剣を取って戦うのですよ。なんせ彼女は"鬼"ですから。

凛と立つ君に焦がれて 蝶はその胸に停まる
誰にも見せない涙を 君だけが気付いてくれた
裏腹な悪態で 口を衝いて出た言葉
ほんとは、孤独は嫌なんだと 言える勇気が欲しかった

勇ましく戦地へ対峙する"君"が大切だと
主人公がその胸元に手を当ておでこを寄せているイメージ。
僕を常に見ている君だけが、僕の涙を見逃さない。

……ってことが嬉しいんだけどいつものクセで
「べ、べつに泣いてなんかないんだからね!」とは言うものの
本音はずっと昔からこの涙を預けられる存在が欲しかったのです

不穏が滲む夜に 懐かしい夢を見た
証し岐路に看取りて 仰ぐ背は群先

決戦前夜。
君が打ち明けてくれた過去に触発されて昔の記憶を夢に見ます。

証し岐路に看取りて 仰ぐ背は群先
過去のアヤマチをこの分かれ道に置いていき
はるか未来を見据えたら君の背中が先に見えた、的な意味合いです。
それが色鮮やかだったということで
赤 白 黄 緑 青 灰 紫 と、
色を読める字を当てた文字列
なのです。ここ自信作。笑

目覚めた闇の中で 秒針だけが響く
君がいない、ただそれだけで この消えない不安は何?

目を覚ましたら、いつも目の前にいるはずの"君"の姿がありません。
出会ってから一度もそんなことはなかったので殊更に不安が募ります。

“側にいて欲しい”じゃなく「側にいてあげたい」と
強く誓う決意-こころ-が 今 過ぎるのは何故?

昔は誰かに側にいてほしいと受け身だったのに対して
君と向き合い、同じ孤独を感じていたことを知って
今度は僕が君の側にいてあげたいと能動的になろうと決めました。

そう誓ったことを今思い出すのは、なんでだろう。
……嫌な予感がする。

凛と咲く花に焦がれて 蝶は軍火に停まる
誰より優しい笑顔を 守る楯になりたかった
「死ぬ瞬間は一緒だ」と 口を衝いて出た言葉
微笑みで応えた君が 愛しい…夢なら覚めないで

勇ましく戦地へ対峙する"君"がいるなら
たとえ火の中だとしても僕は君のそばに行くよ
君の笑顔を守りたい。

圧倒的な不利の中でも僕の行動は僕が決める。
だから死ぬときは一緒だ!
ようやく悪態ではなく本音をストレートに口にした刹那、
君が優しく微笑んだ。やっぱり君が好きだな。そう思った。
この気持ちが永遠に続けばいい

刻は流れるじゃなく 滔々と降り積もる
「時間は重みだ そう思う」輪廻の淵で

「時間は重みだ 僕はそう思う」というのが
この漫画のキャッチコピーのように繰り返し出てきます。
つまり流れていく形のないものではなく
積み重ねていくものだという私の解釈です。


凛と咲く花に焦がれた 天の運命は絶たれた
蝶の飛跡は粉を残し 永久を彷徨う極光

勇ましく戦地へ対峙する"君"とともに
僕の命も潰えました。
ただ、妖怪なのでこの命はまた別の世代で生まれ変わります。
永久に。

-来世の僕は本当に 現世の僕と同じなの?
壊れた世界の片隅で 違う空を見上げている

でも、生まれ変わった自分は
今こうして生きてきた自分と同じ人物だと言えるでしょうか。
人を形成するのは経験や記憶といった環境が大きいと思います。
性質が同じだけで、全く違う人生を歩むかも知れません。

僕たちはどう生きればいいのだろう。
命を賭して生きるための指針をどこに定めればいいのだろう

私達が抱える悩みと、同じですよね。


この曲のアンサーソングが『桜』で

敵側、さきほどからちょこちょこ出ている
「百鬼夜行」を起こしている側の視点がこの曲です↓



Afterword

そんなわけで、曲も歌詞もイラストも割と自信作なんですが
全く反響のない楽曲の自己解説でした
世知辛いですね。笑

いいんです。自分だけはこの曲を愛し続けよう。
求められないとしても
活動再開した暁には再録して頒布するからな!


次回の更新は4/28(木)です。
月イチ企画、大好きなアニソン作曲を一人紹介します。

よしなに。


最後まで長文お読みいただき誠にありがとうございました。 つっこみどころを残してあるはずなので 些細なことでもコメント残してくれると嬉しいです!