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教室のアリ 第11話 「4月22日」〈アイスクリームと温暖化と運動会〉

 オレはアリだ。長年、教室の隅にいる。クラスは5年2組。
きのう(日曜日)は旅行だったね。野球を観たあと、オレはダイキくんの家に帰ってお肉やじゃがいも、玉ねぎ、ピーマンを板の上で焼いて食べるダイキくんとママ、パパの姿を観察した。あの食べ物は給食には出てこない。けむりは出ていた。美味しそうだった。

〈再び、5年2組へ〉
 
そしてきょうはダイキくんの家から登校する。臭さは無くなったけど食べ物も無くなったランドセルに忍びこみ5年2組へ向かった。1限は社会だった(気のせいかもだけど、このクラスは社会が多い)。「アイスクリーム会社の人は…」、先生が突然、オレの大好物の名前を言うからびっくりした。だからこの授業は真面目に聞くことにした。先生「アイスクリーム会社の人はあるデータを元に生産量を決めています。どんなデータでしょうか?」。グリーンの服の女の子「人の数!人口!」。先生「それもあるかもしれませんが、違います。」ブルーの長袖の男の子、「砂糖をどれだけゲットできるか!」。先生「違います。」ダイキくん「勘!」。先生「勘で作ったら会社が潰れます。」「でも、そのデータを使う前は『勘』だったそうですよ。」「なので、半分正解!」。ダイキ「やったー!給食は増えますか?」。みんなは爆笑した。そのあともみんなで意見を出したけど正解は出なかった。先生「答えは、気象情報です。天気予報ですね。」「気温が25℃をこえるとアイスクリームが売れるというデータを元に生産します」。「先生が大好きなビールも売れはじめます」。あ、ビールか…公園で空き缶の中身をなめていたら、苦くてまずかった汁だ。そのあとフラフラして真っ直ぐ歩けなかった。マジで「苦い思い出」、なんちって。

〈アリ的地球温暖化〉
 
前にも言ったけど、最近暑いよな。オレたちの巣(昔の話だけど…)も少しずつ深くなっているし、子どもたちも半袖になるのが早いし…だから、みんなで頭に紐を巻いて、やたら走ったり、騒いだり、親も騒いだりする日も早くなったのか?黒板には「『運動会』まであと33日」って書いてある。(今年は国語の授業をちゃんと受けているので読めるようになった)なんで暑いんだろ?先生の話を長年聞いていると「人間が悪い」ってことらしい。地面を掘ると燃える水や黒い石が出てきて、それを燃やしていろいろ作ったり、車を走らせたりすると、空気のバランスが変になって、暑くなっるてことのようだ。オレへの影響はあんまり無いけど、実はあるのかもしれない。つまり人間は自分たちで自分たちの生活をピンチにしているってことか??先生も、ダイキくんも、ダイキくんのママもパパもわかっているけどどうしようもないと…そう言えばオレが若い頃、爺さんアリたちは「食べものの味が変わって、最近は甘い」ってよく話してたなぁ。色も鮮やかでピンクとかブルーとかのお菓子も増えたんだって。これはもしかして全部繋がっているのだろうか?5年生の授業ではわかることと、わからないことがある。6年生の授業に行ってみようかとも思う。いや、その前に「運動会」、あ、「遠足」もあるけど…オレは忙しくなってきたのかもしれない。

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