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creative notes #1

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#写真の部屋

17459以下の頂上。

17459以下の頂上。

今できることって全然どうでもいいんです。

いつかできるようになればいいだけだから。でも、理想が低いとダメなんです。もう結論は言いましたから、忙しい人はここから先を読まなくて大丈夫です。天丼で言えば海老を食べたことになるので、かぼちゃなどは残してもいいです。

あるヨーロッパの国の入国審査の時、仕事は何かと聞かれたことがあります。Art Directorだと答えると「そうか。じゃあ、うちの国の美し

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ウンコと、ルブタン。 (無料記事)

ウンコと、ルブタン。 (無料記事)

写真に写っているモノの価値、という問題がある。

たとえば誰かがミック・ジャガーのポートレートを撮ったとしよう。その写真を見た人が、「スゴいですね」と言う。その「スゴい」という言葉は、ミック・ジャガーにかかっている。写真の良さについてではない。

無名のミュージシャンを撮った写真を見せられたときとは明らかに反応が違うはずだ。日本語に訳しにくい「recognition」という言葉がある。認識とでもい

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「ギャラなしでもやります」は、アウト。

「ギャラなしでもやります」は、アウト。

「ギャラをどうやって決めていますか」という質問があったので、参考になるどうかは知らないけど、「写真の部屋」の記事を無料で公開する。

俺が20代の頃。駆け出しのデザイナーだったある日、今まで仕事をしたことがないプロデューサーに会議室に呼び出された。名の知られたグローバル・ブランドの企業広告を作るにあたって日本からもアイデアを出して欲しいらしく、手伝えと言われた。

巨大なブランドの仕事だから、俺に

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色絵筆の数。

色絵筆の数。

知らない土地に行くと、いつも知らないことに出会う。

たとえるなら、自分が持っていた色鉛筆が増えるような。元々24色しかなかったが、少しずつ増えていく。その色を手に入れたことで描けるモノが多くなっていく。

最初に持っているのが12色の人がいたり、その中でも2色とか1色しか使っていない人がいる。自分はこれが好きだからそれでいいのだと言ったりするが、多様性への無自覚とはそういうことだ。大事なのは、ど

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ホンモノとニセモノ。

ホンモノとニセモノ。

今回のロケは天候があまりよくなくて、想定していた場所での撮影をあきらめなければいけない可能性もあった。最悪の場合を想定して別カットを撮っておき、天気予備日に賭ける。

翌日ほんの数十分だけ天気が好転し、なんとか思っていたカットを撮ることができた。こんなことを30年もやっているとだいたいのことには驚かなくなるし、神経は土管くらいに太くなる。

写真にはホンモノとニセモノが写る。スペイン村はスペインじ

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ザコのように死ぬ。

ザコのように死ぬ。

あるyoutubeのサイトで、毎日一時間勉強している。専門教育ではなく、若い頃にちゃんと理解せず通り過ぎたことの再勉強だ。

毎度同じことを書いて恐縮だけど、俺の周囲には勉強家が多い。というか学び続けないと死んでしまう職業の人が多いということか。

以前、「よくわからないカタカナのビル名が増えてきたので、休日には徒歩で最新の施設をチェックしている」とタクシードライバーが教えてくれて感心したことがあ

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誰にでも同じ5分。

誰にでも同じ5分。

希望を語っても5分。愚痴を言っても5分。さあ、あなたはどちらの人と一緒に「5分」を過ごしたいだろうか。

言うまでもなくこれは俺の勝手な考えで、だから自分のウォールに書いているんだけど、とても単純な「過去、現状、未来」の分析の仕方。

過去の失敗は変えられないモノとしての責任だけ正直に受け入れて、さっぱりと忘れる。未来にはそのような反省を繰り返さないように、さらに未来からの視座をもって臨む。

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いつも料理を比喩に使うんだけど。

いつも料理を比喩に使うんだけど。

食べることは命を維持することだから、やめることができない。それが基盤になって問答無用にすべてのことを決めている。だから比喩に使いやすい。

そこに「より美味しいモノ」を求めるとステージが一段上がる。寒いから服を着るのはカロリーを摂ることで、気に入ったデザインの服を着るのがファッションだ。

「衣食足りて礼節を知る」という言葉は、空腹だから、寒いから、という段階にいたら抽象性は生まれないことを表して

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レストランは存続する。

レストランは存続する。

宮廷画家のような写真家になりたいと、ずっと思っています。

スマホやデジカメで誰でも写真が撮れる良さは勿論あるんですが、圧倒的なプロの技術というのはどんな時でも存在します。

以前、誰でもデジカメを持つようになることに危機感はないですか、と聞かれたことがありますが、「いくら家庭で主婦が料理を作ろうとも、レストランは存続します」と答えました。

記念写真と肖像画は目的がまったく違うモノですから、その

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我が欲望と正論。

我が欲望と正論。

立川談慶師匠ともいつも話すけど「田舎者というのは生まれや住んでいる場所ではなく、他者がたくさんいる場所での振る舞い方がわからない人」だと思っている。

人が多い場所では、なぜ自分がそのスペースを占めているのか、他人はなぜそこにいるのかを認知できないといけない。人と肩がぶつかるほどの都会で生まれた人は、幼いときからその訓練ができているメリットはあるかもしれないけど。

どんな場面でも他人との距離感が

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幅跳びと三段跳びの違い。

幅跳びと三段跳びの違い。

30年くらい仕事をしているのに、いまだに「ああ、こうすればよかったのか」というトンマな発見がある。

会社にいた頃はアートディレクターをしていて、フリーになった頃はCMの演出をやっていた。それからまたデザインに戻り、なぜか写真の仕事を始めた。この三つは「時間の使い方」がまったく違っている。

アートディレクターはとにかくひとつの仕事の拘束時間が長い。まだ商品さえないうちから会議が始まり、実際の撮影

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サムライかな。

サムライかな。

ポーランド戦を興味深く観た。イタリアが出られないワールドカップに日本代表が出ていることに十分不思議さはあるから、すべては運が支配するシステムの中。

「潔い」とか「武士道」みたいなことを言い出すと、真夏にエースを投げ続けさせるのが感動だと言わんばかりの三沢高校時代の甲子園みたいになってしまう。

勝つこと、GLを突破することを義務づけられた急場しのぎの監督がとった作戦の結果としては完璧だったと感じ

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