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銘菓「かきあめ」の歴史掘り起こす 昭和時代の高級贈答品か 蔵から半世紀前の化粧箱

 カキ殻を模した形状で大正時代に生み出され、石巻市で長年愛される「かきあめ」。昭和期に使われていた化粧箱が発見され、当時を懐かしむ声が広がっている。震災で一旦途絶えた「かきあめ」はコーヒー販売の(株)いしかわ(石川光晴社長)=石巻市北村=が商標を譲り受けて平成30年に復活、販売。半世紀以上前の化粧箱に石川さんも「石巻の歴史を感じる貴重な資料」と語り、これを生かした新しいパッケージの開発に取り組む考えだ。

 かきあめは、大正時代に市内の「福田屋製菓店」で福田淳七さんが開発した菓子。カキを煮詰めたエキスを使うことで独特な味を生み、長年地域で愛されてきた。昭和50年代に(株)喜栄=同市不動町=が引き継いだが、震災で製造工場が被災。4年前に引き継いだいしかわが三代目となる。

八角形が特徴的な化粧箱を持つ姉歯さん(左)、石川さん

 昭和期の化粧箱は八角形をしており、いしかわのパッケージデザインを請け負う(有)データビジネス=東松島市矢本=社長の姉歯一紀さんが矢本にある実家の蔵から見つけた。姉歯さんは福田さんと親戚関係にあるという。

 「蔵を整理していたら偶然出てきたので驚いた」と姉歯さん。「かきあめ本舗福田屋謹製」の文字が書かれた初代かきあめの箱であり、複数ある中で保管状態が良いのは4箱だった。厚手の紙で文字の印刷も質が高く、石川さんは「高級な贈答品として使われていたのでは」と推測した。

 SNSで化粧箱の画像を公開すると、多くの市民から「懐かしいね」とのコメントが付いた。中には「大きなかきあめを木づちで割ってみんなで食べたこともある」と、今の製品とは異なる昔のかきあめにまつわる情報も続々寄せられた。

 「このデザインを生かし、かきあめとコーヒーのドリップパックをセットにした商品も面白いのでは」と石川さん。姉歯さんの実家には、かきあめ用の缶容器もあったが、震災の津波でさびついて壊れ、今は記憶の中でしかない。「もし誰か持っている人がいれば実物を再び見てみたい」と大正時代から続くかきあめの歴史に思いをはせた。【渡邊裕紀】





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