あの日のあなたに〝ありがとう〟 かめ七呉服店 米倉夫妻
ボランティアとの縁に感謝
東日本大震災から丸10年となった。石巻市の中心市街地に堤防が整備され、内海橋も掛け替えられた。震災直後から多くのボランティアが訪れた中央二丁目には12階建ての再開発ビル「デュオヒルズ石巻マークス」が令和元年に完成。商業施設となる1階に全国のボランティアと多くの縁を持った「かめ七呉服店」が店を構える。【石森洋史】
創業155年を迎える同店は、このビルが建つ敷地に旧店舗を構えていたが、ビル建設に伴い新装した。店内の内装は震災をきっかけに、石巻を訪れた人々のつながりで設計され、旧店舗に何度も出入りした人たちが担当した。
呉服店は社長の米倉純一さん(71)、妻の絹枝さん(71)が営んでおり、穏やかな2人の人柄にひかれ、ボランティアが集う憩いの場となった。今も近所の人たちが集まるが、旧店舗は床上2メートルの津波が入り、一次は廃業も考えたという。純一さんは「今年はボランティアの皆さんへお礼を伝える年にしたい」と語る。
応援のメッセージが書かれたダルマを手にする米倉純一社長とかめタオルを手にする絹枝さん
純一さんが印象に残っている支援は京都府から小型重機と燃料を持ち込んで店の畳を運び出してくれた人。海外から来たボランティアが店のダルマに応援メッセージを書いてくれたこともある。絹枝さんは当初、人のために無償で手助けする人々を不思議な存在に感じたが、世話になるにつれて頼もしく親しい存在に変わった。
支援のお礼で3階にあって無事だった「かめタオル」をボランティアに手渡した。平成23年4月に秋田屋庭園=同市立町=で花見をした際、かめタオルを頭に巻くボランティアの姿があり、純一さんにとって全国とのつながりを強く感じる思い出に刻まれた。
閉じようとしていた店だったが、ボランティアとの関わりで気持ちに変化が生じ、再建を決意。平成28年には創業150周年を迎えた。純一さんは「大勢の方に助けてもらった。名前を全て覚えていなくて、本当に申し訳ない。今も関わってくれたり、気にしてくれたりするのがありがたい」と話す。
絹枝さんは「震災直後は余裕がなく、お礼ができずにいた。最初に来てくれた人たちには、かめタオルを配れていなかったので連絡をもらえれば届けたい」と語り、10年前の支援に感謝を込めていた。
石巻日日新聞が募った全国のボランティアへの感謝のメッセージを紹介する。
東日本大震災から10年
ボランティアへのメッセージ
▼ドロかきも手伝ってもらわないとできなかった。建物と建物の間に入ったタイヤを女性のボランティアが出してくれました。ありがとうございました。
}▼ボランティアにはじめてお世話になりました。店内を片付けながら、元気な男性2人、女性3人のボランティアに助けてもらった。皆の温かさをいただいた、最後まで応援するという言葉ももらった。
▼絵を書いてもらったり、書道で励ましてもらった。親戚も被災してなかなか助け合えなかった中で、助けてもらってありがたかった。
▼震災から1週間ほど、停電していて、県外から来てくれた電気屋さんが、ブレーカーの様子を見てくれた。大勢のボランティアが来てくれて助かりました。
▼美術大学の学生が町の壁に絵を描いて明るくしてくれました。
▼全国から集まってくれた学生やボランティアが、避難所の運営を手伝ってくれたのは、本当にありがたかった。
▼市役所に派遣職員として応援にきてくれた方に助けてもらいました。関西方面から来てくれた自衛隊の力には、心が踊るほどのたくましさを感じました。
▼私は家を流されて、仮設住宅に入った時、着物、草履、みんな貸してもらい、楽しい盆踊りができました。本当にうれしかったです。
▼湊で自衛隊の方に家族4人をヘリコプターに救助してもらい、ボランティアの方にも助けていただき、ありがとうございました。
▼涌谷の眼科の先生にもお世話になりました。今でも忘れられず、家族での話題にあがります。ありがとうございました。
▼のぞみ野に来る前、自宅の泥かきや片付けてもらって本当に助かりました。おかげさまで、こんなキレイな復興住宅に入れて感謝しています。ありがとう。
▼ライフライン全滅の日々を友人の安否確認に歩いて行動しましたが、午前8時半、北陸電力の作業員の方から「電気通じました」と外から声をかけてもらい、室内に15日の夜、灯った照明の明るさは忘れられません。
▼ボランティアの方々、復興に尽力して下さった大勢の方々、本当にありがとうございました。
▼海の近くに住んでいました。今は復興住宅に住んでいます。津波の後、ネックレスが見つかったとのことで、警察から連絡があり取りに行きました。誰ともわからない方が届けてくれたこと、どんない嬉しかったことか。本当にありがとうございます。
▼東京の人だと思うのですが会いたいと思っても名前を忘れ、いつも仮設に居た時に訪問してくれて声がけしてくれたのが忘れられません。20代の女性です。蛇田中央団地にいました。
▼私は病気療養中だったので、それを支えてくれた家族に「ありがとう」と言いたいです。本当にありがとう。
▼あの時、ボランティアの方たちの働きは本当に本当にありがたかったです。何の恩返しも出来ずにおりますが、お暇を見て、コロナが落ち着いたら一度いらしてください。お待ちしています。
▼渡波小学校でやってもらった夏祭り、楽しかった。子どもたちにくっついておみこし(手作りでした)も、久々のみんなのそろった笑顔でした。ありがとうございました。
▼あれから10年たちました。いろいろ全国からのボランティアさんに励まされました。本当にありがとうございました。
▼ヘドロまみれの家の中から必要のものを掘り出してくれてありがとう。
▼避難所に来て、お風呂を用意してくれてありがとう。
▼炊き出しで、心のこもったおいしいおにぎりを作ってくれてありがとう。
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