まーちゃんのこと。
箱根の「星の王子様ミュージアム」が閉館するそうだ。
そのニュースを読んで、真っ先に思い浮かんだ友達がいる。
まーちゃん。
まーちゃんは、星の王子様の
「本当に大切なものは目に見えないんだよ」
という言葉を大切にしている方だ。
まーちゃんとは、2年前オンラインサロンで出会った。
スピリチュアル系のオンラインサロンで、オーナーさんは有名なスピリチュアルカウンセラーだった。
そのオーナーさんの「霊視コーナー」で、まーちゃんの手をみて、
「手から光が出ている」
と言っていたのを覚えている。
その時はまだ知らない同士だったのだけど、サロン内の記事投稿でコメントし合うようになり、少しづつ仲良くなった。
まーちゃんはフランスに住んでいる。
ご主人様もフランス人だ。
日本に帰国中、コロナで出国が困難になった時期にあたってしまいしばらく働きながら滞在していた。
驚いたことに、まーちゃんとは、同じ区に住んでいた。
まーちゃんからサロンで「近所だね❗️」と言ってくれるたびに、実はヒヤヒヤしていた。
当時、わたしはサロンメンバーとはリアルで会わないようにしていた。
誘われてもなんとか逃げまくっていた。
SNSやネット上では「いい人」だけれど、実際に会うと印象ガタ落ちなタイプがいる。
自分はまさにこのタイプで、ザ、B型のダメな部分(繊細・自己中・だらしない)が最大限に結集したかのような人間性である。(B型の人、ごめんなさい)
過去にネットで知り合っても実際会ってフェードアウト。。。ということが幾つかあった。
自分のような禍々しき人間は、誰ともあうことはないだろう。。。
だったらネットという仮想空間で、清いままで留めておこう。。。
と思っていた。
しかし、サロンで仲良くなるたびに、まーちゃんの優しさを強く感じるようになった。(まーちゃんはA型である)
まーちゃんはけして自分のことをひけらかさない。
本当に奥ゆかしいのだ。
若いうちからイギリス、フランスに留学して現地で子供のナニーの仕事をしながら勉強していた。
ちょっと待って、イギリスとフランスに留学、というだけでもビックリなのに、単身でお仕事まで。。。
おいおい、それがどれだけ大変なことか。。。
英語とフランス語が出来るというだけでもスペックが高すぎる。
もしわたしがまーちゃんの立場なら、ベラベラと自己PRをウザいくらいにするに決まっている。日本人で3カ国語を解せるのは希少なのだ。
けれど、そういう事情はまず自分からは話さない奥ゆかしい方なのである。
表に出せばきっと注目されるであろうスペックの高さをひけらかさないので、まーちゃんが一体どういう人なのかサロンでも知らない人が多かったと思う。
メンバーとの交流でも、いつも聞き役だったり、人を応援する方に回るまーちゃんを、わたしはとても好きになってしまった。
ものすごく努力家なのに、その勲章を表に出さない。
グータラなのに、うまくハリボテをしてみせようとしている自分とは正反対の性質だと思った。
今でもまーちゃんについて知らないことが多いように思う。
わたしは、ワールドワイドに闊歩するようなフットワークの軽さを持ちつつも、古風で繊細な日本人の感覚を持っているまーちゃんの二面性を面白く感じていた。
まーちゃんは針仕事が好きで、刺繍を施してサロンメンバーにプレゼントするようになった。
オーナーさんの言葉は、ここに帰結するんだなと知った。
その刺繍も自分でアピールする記事は投稿せず、頂いたメンバーさんが感動して
記事をアップするといった具合で知ることができた。
まーちゃんの刺繍にはお約束があった。
施された動物や生き物、人間たちはときどき目を閉じている。
サン=テクジュペリの「星の王子様」のあの言葉を大切にしていると言った。
「本当に大切なものは目に見えないんだよ」
愛というものにやぶれ、そこから多くのことを昇華させて、砂漠での飛行休憩中に書き綴ったテクジュペリの結晶の言葉である。
まーちゃんが本当に大切にしていることは一体なんだろうか。
目を閉じた動物や生き物たちに、まーちゃんの答えがあるのだと思った。
まーちゃんがフランスに留学することになった。
オートクチュールの殿堂、シャネルの刺繍学校に通うという。
まーちゃんは見つけたのだ。
刺繍という、自分が心から情熱を注げるものに。
まーちゃんの翼が、静かに、大きく白く羽ばたく。
日本を出ると、今度いつ会えるのかわからない。。。
わたしは思い切ってまーちゃんと会うことにした。
わたしから誘ったように思う。
会うと、想像以上にすぐに空気が馴染む感覚を持った。
まーちゃんもアールヌーボーの時代や、サラ・ベルナールが好きで、宜保愛子が好きで🤣繊細で儚いものを大切にしている方だったので、ものすごく気が合った。
当時の衣装やお針子職人に強いシンパシーを感じているようだった。
スピリチュアルという視点でみると、まーちゃんがお針子職人やヨーロッパ文化に惹かれるのは、過去生でもそれにまつわる生活をしていたかもしれない。
この時にいただいたまーちゃんが作ってくれたカバン。
黄色の輪の中で駆ける青い馬のモチーフが愛らしい。
刺繍仕事はとても骨が折れるのに、会社に行きながらみんなに心を込めて贈っていた。
この馬子ちゃんのカバンを持つたび、まーちゃんを思い出した。
そのあと、まーちゃんはフランスに旅立った。
刺繍学校に通い、気が遠くなるような数多くの技巧を学び、課題に根気強く取り組んでいた。
課題作品をみせてもらったが、精巧な民族衣装の柄を全て刺繍で縫っているかのような息を呑むような見事なもので、膨大な時間と労力がかかった作品だった。
LINEでパリの街並みや公園、美術館、バカンス先での動画や写真を送ってくれるのも嬉しかった。
こちらからはザ、下町の北千住の神社の写真をおくったりした。
わたしはサロンを退会し、占いやらも辞めて、もとの静かな執筆生活に戻った。
それでもまーちゃんとは時々LINEをしたり、拙作を読んでくださったり、帰国中に会ったりと優しい繋がりは続いている。
こちらは課題の技術を習得後、わたしをイメージして縫ってくれた。
教会のイメージだそう。
私室の木彫りの不動明王像の後ろにいつもかけている。(何故か)
時代はどんどん流れて、古いものは失われてゆく。
今、テグジュペリの「星の王子様」を読んでいる人は少なくなっているかもしれない。
わたしも実は完読していない。
けれど、まーちゃんのお陰でテグジュペリのメッセージはもの作りとなって届いている。
その出会いと過去からの連鎖に震えるような喜びを感じる。
まーちゃん、
こちらからなかなか連絡できないでごめんね。
いつでもまーちゃんの幸せと、成功を祈っています。
まーちゃんが主役となって輝く人生を、いつまでも応援させてください。