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我はでくなり、つかわれて踊るなり。

ずっと締切や義務感に追われて作品をつくってきて苦しいと

アーティストの方から告白された。


当初は作品を作りだしていた原動力は「好き」だった。

作品に値段がつくようになって仕事になって

いつの頃からか「義務感」が「好き」にとって代わってしまっていた。


ミュージシャンがアルバムの締め切りがないと曲が生み出せないって言っているのを聞いたことがある。

少数派なんだろうけど、

ふだんから生み出した膨大な曲のストックがあって

そこからセレクトしてアルバムにしているって山下達郎さんが言っていたのを聞いたこともある。


だから締め切りがあること自体が問題なんじゃなくって

作品制作が楽しいのか

作品制作が苦しいのか

苦しい方が達成感が味わえるから好きって人も中にはいるかもしれない。


ただ、もし苦しさを望んでいないのなら。

人生が苦しくなっちゃって変化を望んでいるのなら。

義務感でやっていること、やらされていると感じることを

少しずつ止めてみるのがおすすめ。


人間も動物であり

動物はカラダから湧き起こる要求によって行動していくことが最も自然。

要求が湧きおこってくると

自分から自発的に動いていける。


だから自発的に動いていると疲れない。

義務感でやらされていると疲れてしまう。


会社に出勤する日の目覚めた時のカラダと

今日好きな人に告白するつもりのデートの日の目覚めのカラダ。

全然違うでしょ。

自発的に湧きおこってきたエネルギーの量が全然違っちゃってる。


年に一度取得できる休暇で海外旅行に出発する日の目覚めたときのカラダ。

ふだんの日常の目覚めのカラダと違っていない?

違っていると感じられたのなら

それは湧きおこってきたエネルギー量の違いを感じとっているわけ。


健康を論じる時に

食べ物に気をつけましょう。

運動をしましょう。

睡眠をとりましょう。

いろいろ言ってるんだけど

自発的に行動できているかを論じている人を見かけない。


今までの人生で接点があった方で自殺した方が10人近くいるけど

食べ物や睡眠や運動が直接原因でいのちを絶った人を知らない。

全員が会社や家族などに対する義務感によって

自発的に生きる時間を失って身動きが取れなくなって

こころを壊していのちを絶っている。


圧倒的に人間を不幸にしてしまうファクターが「義務感」なの。


作品制作が苦しいと告白されたアーティストの方に

次の言葉をお伝えしたら泣きだされてしまった。


彼に贈った言葉は

画家の中川一政さんの言葉。


わたしはでくである。

つかわれて踊るのだ。

わたしに何ひとつ出来ることはない。

わたしはただのでくである。


でくというのは木偶人形のでく。

中川さんは感動して噴出してきた欲求を「ムーヴマン」あるいは「腹の虫と言っていた。

頭でここはああして、ここはこうしてなどと考えていても

腹の虫が動き出すと

そんな考えは何の役にも立たないって。

作品が腹の虫そのものになってしまうって。


わたしを木偶として遣っているのは「腹の虫」であり「ムーヴマン」。

湧きおこっていた心の情動、衝動。


だから中川さんは90歳を越えても創作意欲を持っておられた。

感動した対象を描いているので義務感とは無縁。


涙を流された彼には中川さんの意図が伝わったようでした。

義務感を手放すためには

日々の生活の中で

やらされていた事を止める

違和感を感じながらやってきたことを止める

いきなり全部を止めることは難しいだろうから

まずは少しずつ、少しずつね。

自分のペースでリハビリをしてみてくださいね。



※TOP写真は真鶴町立中川一政美術館HPからお借りしました。





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