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小3で書いた少年時代の処女作を自分で考察してみた

平成17年度第3学年創作物語集「ゆめの中の話」の中に火花少年の創作物語のデビュー作が記されている。タイトルは「おかしをぬすみに」だ。

僕はこの作品から文章を書くことの楽しさを学んだと思う。そのことは以前この記事にも書いている。

まずはその作品を改めて文字に起こした。


おかしをぬすみに
昔昔、やき肉家の家にカマキリのカマボコと子分のキリキリがかわれていました。
けれどやき肉家はぜんぜんお世話をしなかったので、カマボコとキリキリはうらみました。
ある日、カマボコとキリキリは計画を考えていました。
「明日の朝の10時におかしをぬすもう」
「いい考えですね、カマボコ親分」
そしておかしをぬすむ日がきました。
おかしぬすみの出発です。
「さいしょはテーブルの上をさがしにいこう」
すると父のカルビがテーブルのイスにすわっていました。コーヒーを飲んでいました。
「このコーヒーうまいなぁ」とカルビが言っていました。
そしてテーブルの上に山もりのおかしがありました。
「よし、そっといくぞ」
なんとかテーブルに乗りました。
「なんだカマボコとキリキリじゃないか。じゃまをするな」
そしてカルビはカマボコとキリキリをつかんで投げとばしました。
「ひぇー助けて」

カマボコとキリキリは兄のホルモンの部屋までとんでいきました。
ホルモンのつくえの上に乗っていました。
目の前にはおかしがおいてありました。
「やったあいただき」
とカマボコとキリキリは思いました。
「ホルモン勉強しなさい」
「はあい」
ホルモンは急いで部屋にもどりました。
「ひぇー」
今度はボコボコにされて投げとばされました。
そして赤ちゃんのウインナーの頭の上に乗っていました。
「なんだ何もないじゃないか」
「よしウインナーに見つからないように行くぞ」
キリキリが転んでしまいました。
バタン!
ウインナーに気付かれてしまいました。
「バブーバブバブ」
「急げにげろ」
「バブーブー」
「やばい逃げろ」
ぶちゅ!
カマボコとキリキリはウインナーにつぶされて、またまた投げとばされました。
「ひぇーだれか助けてくれー」
こんどはキッチンのまな板の上に乗っていました。
「ここはどこだ」
「まな板の上だ」
「ほうちょうで切られるよー」
母のロースが料理をつくっていました。
「さあ、野さいを切りましょ」
「ひぇ」
「ひょ」
「ひゃ」
カマボコとキリキリはひっしでにげました。
目の前にはおかしがありました。
「やったあ」
「やりましたね親分」
「やっぱりおかしはおいしいな」
「もうこの家はこりごりだ」
「自然にもどろう」
こうしてカマボコとキリキリはサッパリしたとさ。


考察

タイトルの「おかしをぬすみに」と登場人物の名前が焼肉の部位からして、火花少年は食いしん坊だと思われる。お宝ではなくておかしを選んだのは間違いなく、食いしん坊だ。

タイトルが「カマボコとキリキリの大冒険」とかではなくて「おかしをぬすみに」というジブリ作品の「耳をすませば」的な響きをチョイスしたのは言葉の語呂を大事にしているのだろう。それは昔も今も変わらないようだ。

話の本筋をみていくと、大枠は復讐物語だ。

世話をしてくれない敵に対して、おかしぬすみという復讐に燃える、まさかのダークヒーロー物語だ。

大人になった今もバッドマンやmarvelなどのヒーロー映画が大好きで、正義については頭を悩ませるくらい考えているが、小学3年生の僕が、悪に悪で対抗して、サッパリしていることが、意外だった。でも物語の結論からして、支配こそがこの世で1番の悪かのような書き方だった。自由こそが全てかのような。

物語の構成的には、起承転結の転のところで並列して、敵を書いているように思える。僕はこの書き方は今もよくやる。同じ意味のことや、具体例を並列することで、物語の枠を分かりやすくしようとしているのだろうと思う。もしかしたら漫才やコントなどのお笑いから来ているのかもしれない。システムが構築されて、枠が決められると、考えやすい、そして相手も分かりやすいといった具合だろうか。ひょっとしたらそういったお笑い文化から刷り込まれているのかもしれない。

色々考察していると、僕はこの物語を書いていた当時のことを思い出した。出来上がった物語を朗読して、ゆうちゃんという女の子が笑っていたことが嬉しかったことを鮮明に覚えている。

間違いない。僕はウケようと思ってこの物語を書いている。笑わせるぞ!と意気込んでいたのである。でも今思うと、そんなに面白くない。いや全然面白くない。

サッパリしたのはカマボコとキリキリと小学三年生の僕だけだ。

いやでもゆうちゃんが笑ってくれたのならそれでいいのか。

ちゃんとサッパリできるよう、これから新たな物語を書いていきたい。





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