デカルトの方法序説
こんにちは。記念すべき初めてのnote初投稿となります。
堅苦しいタイトルになっておりますが、僕はデカルトについて話したいわけではありません。この話は僕がこの24年の人生の中で1番記憶に残っている授業の話です。
ある授業でM先生は先生が小学生の時に受けた授業の話をしてくれました。M先生はその授業を大人になって「あのとき先生は、僕らにデカルトを教えてくれたんだ。あれはデカルトだったんだ。」そう言っていました。そんなM先生による今でも忘れられない授業をとっても短い小説にしました。
それではショートショートショート小説
タイトル「デカルトの方法序説」です。
「さあ、問題だ、五角形の内角の和はいくつだ」
僕らは皆難しい問題に静まりかえった。
白鳥先生は全く整えることのない白髪の眉毛で、みんなの反応をこれは想定内だという顔をしたまま続けた。
「いいか、君たち、頭の中に野球のベースを思い浮かべろ」
「野球のベースは何角形だ」
僕はすぐに答えた。
「はい!五角形です!」
「そうだ、じゃあこの五角形のベースに線を引いて三角形を作ってみろ」
僕らは五角形を三角形に分けた。
「三角形はいくつできた」
「三つです」
「なら三角形の内角の和はいくつだ」
白鳥先生は分厚いレンズの眼鏡をくいっとあげてたたみかけた。
「180度です」
すでに習っていたことだったので答えるのは容易だった。
「ではもう一度聞く、五角形の内角の和はいくつだ」
10秒ほど考えた後、すぐに鳥肌が立った。それは分からないことが分かった瞬間だった。
「540度です」
「いいか君たち、難しい問題や、複雑な問題というのはな、簡単な問題の組み合わせなんだ」
「複雑なことは単純なことに分割して考えなさい」
「君たちにはどんな難題も解ける力があるんだ」
白鳥先生の声が教室中に響き、さわやかな五月の風が薫った。
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