見出し画像

記憶のメカニズムに基づいた「知識を定着させる」学習法~脳科学を活用した効果的学習法~

今回は、一度学んだことを知識として「定着させる」学習法をお伝えします。
受験勉強以外の場面、例えば会社でも人によって成長速度は大きく異なります。この要因の一つとして、「効率的な知識のストック」があります。つまり、膨大な情報の中からフローではなく、ストックの情報として知識を定着させることが非常に重要です。

特に、現在の教育業界では、定着させる学習法を徹底的に学び・習慣化させる場が少ないため、定着させる学習法を社会に出てから初めて学ぶ方も少なくないと認識しています。

社会人でも中高生でも、知識を定着させるという観点では、学習方法の根幹は同じです。だからこそ、中高生のうちに、社会に出てからも転用可能な学習方法を身に着けておくことが非常に重要です。

今回の記事では、我々の専門である中高生の学習法を例として書きますが、皆さんの環境と照らし合わせつつ読んで頂き、後輩育成ご自身の学習方法の参考にして頂きたいと思います。

早速ですが、我々が運営しているヘウレーカでは、復習の時期を

(1) 授業直後(Gmap-cのMeasureの領域)
(2) 授業2~4日後(復習ノート)
(3) 授業1週間後(定着確認テスト)
(4) 授業2~3ヶ月後(単元テスト)

としています。ここで、生徒の記憶力・学習リズムはそれぞれなので、日にちは多少幅を持たせています。このような期間に設定している理由については、事前知識として、脳の「記憶のメカニズム」を学ぶ必要がありますので、まずはこちらを説明させてください。

1週間後の復習では始めに覚えた時の労力の8割が必要

記憶のメカニズムに関する有名な実験結果として、エビングハウスの忘却曲線があります。忘却曲線とは、意味のない3つのアルファベットの羅列を被験者に記憶させ、時間が経過した後、再び覚えるまでの労力(時間や回数)を記録したものです。この実験の結果は、20分後の復習では始めの労力の4割、1時間後には6割、1週間後には8割が必要ということです。

この実験事実を活用して作成した、時間の経過と記憶の定着率との関係(忘却曲線)を表したイメージ図を以下に示します。
※図1:エビングハウスの実験のような意味のない文字列を記憶した際の忘却曲線。
※図2:塾の授業のような「意味記憶・エピソード記憶を活用した、非常に意味のある内容」に復習サイクルを加味した忘却曲線。

忘却曲線_note用修正後

図1を図2に変形するためのポイントは2つです。
(A) 記憶に残りやすい授業をすることで曲線を緩やかに(忘れにくく)する
(B) 記憶が抜け切る前に復習を実施(上図の赤線の方に持っていく)

(A) については、授業自体の工夫の方法であり、本記事の主題から少しそれてしまうので、簡潔に述べます。ヘウレーカでは、授業の内容が記憶に残りやすくなるために、エピソード記憶・意味記憶・手続き記憶を活用しています。

記憶のメカニズムに基づいた復習サイクル

次に(B)に移ります。この、「記憶が抜け切る前に復習」が本題です。
冒頭で、ヘウレーカで実施している復習時期の具体例を示しましたが、これが「記憶が抜け切る前に復習」するための時期・サイクルに相当します。下記と図2を照らし合わせてみてください。

(1) 授業直後(Gmap-cのMeasureの領域)
(2) 授業2~4日後(復習ノート)
(3) 授業1週間後(定着確認テスト)
(4) 授業2~3ヶ月後(単元テスト)

ヘウレーカの授業は各科目ごとに週に1回実施するため、学んでから1週間以内に復習を3回行い、記憶の大部分を「1週間で定着させる」ようにしており、結果を出す生徒は必ず実践しています。
逆に、結果が出ない生徒が疎かにしがちなポイントでもあります。なぜなら、1週間で記憶が形成されない状態が続くと、次第に授業の内容について行けなくっていくからです。

それでは、「1週間で定着させる」ために、我々の生徒が取り組んでいる復習法を具体的にお伝えしていきます。ご自身の環境と照らし合わせつつ読んで頂ければと思います。

(1) 授業直後
目的:授業で学んだことはその日のうちに頭に入れてから帰る。
具体的方法を以下に示します。
・ 授業直後にノートを見ずにその日学んだ事(公式や問題のポイントなど)の項目出しをする。
・ 各項目に対して、他人に説明するつもりで話す。
※ヘウレーカでは、生徒が各項目について講師に説明した後に、生徒が理解し切れているのか怪しい部分について、講師が再度質問を投げかけます。

(2) 授業2~4日後
目的:(3)で行うテストで100%の正答率を出すための復習。
具体的方法は以下の通りです。
・授業で間違えた問題を解きなおし、ポイント整理。
・忘れているところを覚え、他人に説明できる状態にする。
※ヘウレーカでは、この際の復習を、「復習ノート」に行います。「復習ノート」は、授業や宿題のノートとは別に作り、間違えた問題だけを解くためのノートになるようにしています。このノートは、受験生になった際に、非常に効果を発揮します。

(3) 授業1週間後
目的:2~3ヶ月経っても定着している状態にする事。
・ 授業で間違えた問題を何も見ずに演習。
※ヘウレーカでは、授業の冒頭30分で、定着確認テストとして実施。
※難関大・医学部に合格する生徒は、この時点でほぼ満点を取ります。

(4) 授業2~3ヶ月後
目的:記憶の定着度合いの確認と復習
・単元ごとに間違えた問題を抽出し、間違えた問題を演習。
・間違えた問題や内容は、その場で解きなおし、復習。
※ヘウレーカでは、「単元テスト」という形で、単元ごとにテスト形式で実施しています。
※難関大学・医学部に合格する生徒は、この時点で9割以上の得点率を出します。

復習時期とそのポイントに関して、以上になります。

中高生では、「1週間で定着させる」ことを一つのサイクルとしていました。社会人の方であっても、一週間をサイクルとして、金曜日に一週間で学んだことの定着度を確認するなど、一定の期間を設けてその期間内で復習をする仕組みを作り、ストックの知識を今まで以上に増やすための参考にして頂けると幸いです。

実際、周りのハイパフォーマーと呼ばれる方を見てみると、一度学んだ事をすぐに自分のものにして、別の場面でその知識を使いこなしている印象があります。このような、知識を使いこなせる人材になるためにも、まずは、一つでも多くの知識をインプットする習慣を身に着けたいところです。






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?