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#小説
アーリー・アフタヌーン・ウィズ・ブルー・ブルー・スカイ番外編「ロード・トゥ・ゼンコー・テンプル」
刻は応永24年(1417年)、葉に赤みの差してきた肌寒い秋の昼下がり。
シナノ・ランドの聖地、ゼンコー・テンプルの境内には横たわる無数の人々があった。
彼らに共通するのは牛の蹄による踏み跡である。
ある者は背に受けのたうち回り、ある者は腹に受け声も出せず。
突如参道に出現した一匹の仔牛は、次々と参拝客を押し倒し、引き倒し、踏み潰して本堂へと進行を開始したのだ。
山門を超え中門に至り、
アーリー・アフタヌーン・ウィズ・ブルー・ブルー・スカイ
ゴトゴト
初夏の青空にゆっくりと雲が流れていく昼下がり。
ランチを終えて木陰で寝息を立てていた農夫たちはその物音で目を覚ました。
農園を横切る未舗装の道路。
「なんだありゃあ…」
農夫たちは目を疑った。
その視線の先、一頭の仔牛が市場に向かって体を揺らしながら歩いていた。
直立二足歩行。そう、直立二足歩行でだ。
ゴトゴト
仔牛は己の2倍ほどもある荷馬車を担いでいる。そう、荷馬車だ。
こ