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やってもやんなくてもいい事をずっとやらないと、紙で仕事することになる

コロナよりはるか前、私がとある企業で働いていた時、「これってわざわざ紙に印刷していろいろ書き込む必要あるんですか?」ということを上司に言ったことがある。

パソコンで作った伝票を、紙に印刷して間違いがないかチェックして、チェック済み的なサインをした紙を倉庫に数ヶ月保管して、半年か1年かして貯まり過ぎて必要なくなったら大掃除のときに捨てるというものである。

私の言い分としては、iPadなどで書き込めるようにして、そのままチェックして保存しておけばよくね?ということを言ったわけである。

まず時間の節約になるし、紙のムダも無くなる。取引先と伝票を訂正する手間など、オンラインベースで郵送する手間も無くなる。

紙を無くすことによる紙の処理の仕事も無くなる。紙を置く場所を確保する必要もなくなる。変えなければ永久にかかるであろうコストがゼロになり、従業員の給料に転嫁できる。変えるための技術もiPadか何かを買うくらいだし、フリーのアプリでいくらでもできそうなことである。

どう考えても紙をやめることによるメリットが大きい。だがしかし、当然ながら、「そんなお金ないし、停電とかパソコン使えない時は、紙のほうが安心するよね~」と上司(50代中盤)は言っていた。

は?という感じだったが、別に革命家のように絶対に現行の体制を崩すと意気込んでいたわけではないし、リアクションもまぁそりゃそうだな。という感じだった。

基本的にやってもやんなくてもいいことを人間はやらない。

そりゃそうだろう。ゴルフと酒とケンミンSHOWの話しかしない50代のおじさん社員にとって、今さら新しいデバイスの使い方などを覚えるのもしんどいだろうし、やってもやんなくても給料が変わらないのにやる必要がない。

ここで少し難しいのは、紙でやってる会社の取引先は、紙で仕事しているということである。

要するに道連れのように新しい技術を導入しようとするのを阻むわけである。よって、日本全体の仕事の生産性が落ち込むわけである。

これはどっかの田舎の中小企業の話と思うかもしれないが、都心の大企業でも余裕である話でもある。むしろ大企業が率先して遅れている感じもある。

最近は、田舎に移住する人が多かったり、一人で何でもできまっせ。みたいな人が増えたことで、田舎の方がオンラインでいろいろ活用する会社や農家や漁師さんなどが増えている。

何が違うのかというと、やはり”危機感”だと思う。

日本の会社において、上司がクビになることなど痴漢したかパワハラで部下を自殺に追い込んだか横領したか、それくらいである。それでもクビにならないところもある。

それは上司が仕事のやり方を決めているというわけではなく、昔からこれをやっていて、ずっとこれを続けてきたから、その方法しか上司は知らない。

いきなり新しい方法を提案されるのは上司の上司からで、上司の上司から命令が下されない限り変わることはない。現場レベルで変わることなどたかが知れている。

イライラして部下が上司の上司に1ステップ飛ばして相談するのは日本の会社だとタブーで、言っても何も理解を示さない直属の上司から「なんでまず俺に相談しないの?」的なことを言われる。

「いや、言ったんすけどね~」みたいにテキトーに誤魔化して事なきを得るしかない。

働きたくないというのもわかるし、バブルでテキトーに入社してから全く勉強せず能力がないというのもわかる。ただ、仕事をサボれるように簡単にしようと言っているのに、理解を示さないのが全く意味がわからない。

もちろん、もとから全然働いてないので、新しいことをやるのは働いていない人間からしたら負担になるのかもしれないが、そうなると正直なんのためにあなたは生きてるんですか?と問いたくなる。

同じ国で同じ言語を話しているのに、全く別の部族が会社に居座っているような感覚になる。それもどの会社にも必ずいるわけである。

おそらくコロナでバイトの多くはクビになったかもしれないが、上司は簡単にクビにならない。前もってオンライン化していたらテレワークが可能にもかかわらず、それを渋って尊い現場の命が失われるわけである。

もちろんバイトは単純作業のマニュアルで替えが効くと言われるだろうが、働かない上司より全然必要だし、まず何事も現場が一番重要なことは言うまでもない。

もし日本の会社が「この上司、役立たずだから違う人呼ぶわ。」と簡単にできたら、もっと新陳代謝が生まれて、働き方もどんどん変わってきたのかもしれない。

結局、上にいる人間がずっと上にいるので、下だけが絶望して新陳代謝が良くなり、「最近の若手はすぐやめるなー」と言われる始末である。

そもそもなぜ日本は、部下が上司を評価するシステムがないのか疑問である。それさえあれば、パワハラやセクハラの予防策になるし、もっと社内環境が良くなるはずである。

若手だからといって全員がやる気に満ち溢れているわけではないし、金を貰えればいいというのはもちろんだが、やっぱり上の世代とは違う気がする。

もちろん人によると言ってしまえばそうなのだが、俺らの同世代だったらあのタイプの人間が生まれるわけないよな。という人間がゴロゴロいる感じである。

私のゼミの先生はよかったし、他の親しくさせてもらっている人はいくら年齢が上でも何も問題ないのだが、おそらく無能な人間でも出世できるシステムを作ってしまったことが一番ヤバい状況なのかもしれない。

ベビーブーム世代だから、親の愛情を受けてないとか、他の人に譲ってたら自分の取り分が無くなるとか、体罰・差別なんか当たり前の教育で育ったとか、そういうテキトーな事を言うつもりはないが、やはり日本の経済成長がびっくりするくらい止まっているのは問題なので、早急にどこかで解決したい。

現に、テレワークを実施してくださいと言われても、ネットが繋がっていてもパソコンの数が足りないから全然出来ないとか、取引先の請求書が届いてハンコ押さないといけないからオフィスに行くしかないというようなこともある。

なんというか、急にコロナが広がって、急に準備しろと言われたら確かに難しい。それは別に上司の責任ではない。

ただ、何らかの前兆というか、なんか変えたほうが楽だなーというサインのようなものは数年前から出ていたはずである。

機械を導入しないで、バイトを雇ってテキトーに教えた方が楽で短期的には安上がりだから、それをずっと続けてしまうとか、機械が壊れたりして、何かをキッカケに新しい仕事の代替案が出た後も既存の働き方をずっと続けてしまうような、楽な方に流れるだけで、本来の仕事の目的を見失っている感はある。

後悔先に立たずと言うが、人間がいくら頑張っても過去には戻れない。本気を出したら多分、未来には行けるんだろうが、どうしても過去には行けない。

そう考えると、今この瞬間でやるべきことやっておかないと、未来への負担になるということである。そんなこと言われなくてもわかっているが、どういうわけか人間はこれができない。そして上司になる人間にその能力がないと、国は衰退するということが、成長を失った30年で学ぶべきことかもしれない。

もちろん、すべてデジタル化すればいいというわけじゃないし、昔の伝統産業など大好きなので、そういう分野はそれでいい。

ただ、取捨選択しているわけでもなく、保身による無知や愚かな判断で国や企業が衰退するのは、あまりにも残念なことだと思う。金を払って2~3日で使い方を覚えれば出来るものを10年20年やらないと、取り返しがつかなくなる。

おそらく人口バランスの悪い部分は、早期退職によって削られ始めている。ようやく目を覚ましたというか、そういうことが出来るような風潮になってきたのかもしれない。

もちろん失業というのは経済全体にマイナスではある。なので、削った後のフォローも日本全体で考えていくべきであると思う。





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