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小説【月並な話】

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-本が好きなあなたへ。少し毒のある物語を- 140字以内の掌編作品たち。 『読みたい』はこちらで!
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#物語

🌛月並な話 vol.19 【祷り】

🌛月並な話 vol.19 【祷り】

祷り
黄色い絨毯はイチョウの葉だった。
山々が秋で染まる頃、私は踊る。死者の為に。
戦で死んだ者、病に倒れた者、身寄りのない死者の鎮魂の為に、夜通し舞い続ける。
山の神をこの身に宿して。
死者の無念に寄り添うように。
残された者の悲しみを拭うように。
朝焼けが全てを包み込むまで
私は祈り続けるのだ。

🌛月並な話 vol.18 【告白】

🌛月並な話 vol.18 【告白】

告白
「恭子さん。僕は君のことが・・・」
・・・何してる。ちゃんと言え。
告白する為だけに俺は、筏で大海原を渡り、素手で3000mの山を登り、鰐のいる川を全裸で泳ぎきり、毒蜘蛛の潜むジャングルを進むこと2週間。
もう小1時間、君を待たせている。
「恭子さん、す・・・す・・・寿司だと何がスキ?」