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ニューヨークのアポロシアターへ

先日は今のニューヨーク、Black lives matter  のことについて触れていた。ちょうど、20年前と去年いったニューヨークのこと、noteに書いていた最中の出来事。それはずっと繰り返されてきたであろう出来事をみて、心が削がれ何とも言えない気持ちになり、少し手も止まっていた。

だけれども、みんなそこで生活をし、日々を送っている。立ち止まることなく前に進んでいるし、いつもの日常もある。そして素敵なこともたくさんある街だから、私も普通に書いていこう。
今日はニューヨークのアポロシアターに行った時のことを。

アポロシアターといえば、たくさんのスーパースターが生まれた場所でも有名だ。


夢をつかもうとアマチュアの歌手やダンサーが集まる「アマチュアナイト」。

私達のお目当ても、もちろんこの「アマチュアナイト」。
アマチュアの歌手やダンサー達が出演し、何週も勝ち残り、年間チャンピオンに選ばれれば全米放送のテレビに出れる切符がつかめるなんて、なんともアメリカンドリームの詰まったステージだ。

あのジェイムスブラウンや、ジャクソンファイブ、ステーヴィーワンダーにアレクサフランクリン、数えだしたらきりがないスーパースターたちが若かりしころに立った、ステージ。

20年前、完全にHIPHOPに恋焦がれ、黒人の人達のダンスに憧れを抱いて、ニューヨークに来ている私にとっても、アポロシアターのアマチュアナイトはまた憧れの場所。
もちろん、出演する側ではなかったけれど、そんなチャンスを夢みながら、同年代の人達が挑むステージは絶対に観たいものだった。

だから、記憶力が皆無に近い私でも、
アポロシアターのアマチュアナイトが水曜日にやっているということだけはなぜかずっと覚えていたし、マンハッタンの125ST,ハーレムに誇らしく輝き続けるアポロシアターのその看板を最初に観た時は、心が高鳴った。

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チケットもネットで予約をしたほうが確実に席はとれるが、前日や当日に買いに行けばネットの半額以下だったので、地元の人達は絶対にネット予約はしないから、席は当日でもあると信じ私達も当日の朝、買いに行った。

ブレ―ズにした髪を半分束ね、おしゃれをして向かう。いつもよりメイクは濃いめ、もれなくリップは濃い色のペンシルで縁取りをして。

アポロシアターにはいると、赤いカーペットが敷かれてあり、これまた赤色の壁に歴代のスターの写真の数々。

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ああ、この人達もここで歌ったんだな~としみじみ思う。
しかも、アポロシアターで働いているらしき人達は、ばっちり黒のスーツで決め込んでいて相当にかっこよく、その姿は今でも脳裏に焼き付いている。赤いカーペットに黒がこんなにも映えるのかと、全身真っ黒で着たらよかったな。なんてその当時は、速攻に影響をうけていた。

そして、会場に入ると、熱気がすごい。始まるまえからDJが熱い曲をかけて、会場を盛り上げている。MCがその合間に合いの手をいれて、一気に歓声がわいたりする。

はっきり言って、何を言っていたのかはわからないが、雰囲気的には、これからぶちあがるぜ!準備はできるかい?!的な感じのようで私達も完全にのっかって声をだす。

そして、スタートしたのだが、アマチュアナイトは思いっきりお客さんの反応で結果が決まるしくみ。

良かったら、みんなが声をあげて歓声がわき、立ち上がり手をたたく。
でも、あんまりだと感じた瞬間に親指を下にして、「BOOOOO!!!!!」だ。
そう、TVで良くみるアレ。
あまりにも反応がわかりやすすぎる。

もちろん時には意見がわかれることあったり、最初はBOOO!!!! なのだが、途中からめちゃくちゃ拍手をかっさらっていく人達もいた。 
本当にそれぞれの素直な反応がゆえに、ステージに立っている人も見ている私たちも熱くなる。ダンスグループが出てるときなんかは自分がそのステージにいるかのような感覚で、体をゆらしながら叫び出す!!!

誰が優勝したとか、何人出ていたかなんて具体的なものは何一つ残っていないけれど、とにかく興奮して、立ち上がり叫んで楽しんだ。終わる頃には割れんばかりの拍手と歓声をいつまでも友達と続けていた。アマチュアナイト最高!!いつか出れたらいいよな。また絶対来ようなと興奮しながら帰っていった。

だから、去年ニューヨークに行った時、友達に会いにいくというゆったりな旅行で目的は20年前と全く違ったけれど、アポロシアターだけはいこうと決めていた。どんな感情になるのだろうかと。

そして、想う。あの時感じた熱いものや感動は、同じようにどこかでチャンスがあるのならそれを掴みたい。その道で生きていきたいという思いで立っている人たちと、自分を重ねてみていたステージだったからなんだろうなと。いつか、ダンスで食べていけたら歌で食べていけたら良いなとその事だけを考えて突き進んでいた毎日。

もちろん、去年のアポロシアターも存分に楽しんでいたけれど、そこに立つ自分ではなく、応援している自分がいた。なんだか20年前の懐かしさを感じながら、これからの彼等彼女達がどんなチャンスに恵まれて、どんな姿になっていくのか楽しみにしている自分がいた。

そりゃ20年も経てば、考え方や感じ方、価値観も変わってくる。知らぬうちに大きく変わっていたんだなと改めて発見できた旅。もちろん、変わっていない部分もたくさんあって、それはそれで面白い。だから、大人になって(もうだいぶの大人の私だが)改めて、色んな国に行ってみたいと思った。これからはどんな風に、それぞれを国を楽しめるのだろうかと。

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