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膝関節 第9回 《屈曲拘縮》

本日は、膝の屈曲拘縮についてお話させていただきます。

TKAの術後など、臨床ではかなり頻繁にみられる《屈曲拘縮》ですが、その弊害は、Knee inより強いと私は考えています。

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私自身は、クリニックに来られる患者さんで、Knee inと膝屈曲拘縮がどちらも認められた場合は、迷わず屈曲拘縮の治療を優先します。

なぜなら完全伸展できない状態で歩行するということは、下記のように様々な痛みに繋がるからです。

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筋肉に負荷がかかり筋性の疼痛が生じやすくなることはもちろん、膝蓋化脂肪体の硬化も起きやすい状態になります。

そして、長い期間、屈曲位で歩き続けることで、ROMが改善しても、屈曲位で歩行することが癖づく危険もでてきます。

実際の臨床でも、完全伸展を獲得しても、歩行時での内側広筋のモーターコントロールが低下しており、無意識下では屈曲位で歩行してしまう患者さんがおられます。

軽度の屈曲拘縮でも、弊害は必ず生じてきます。私は、軽度の伸展制限でも見逃さないように注意し、早急に完全伸展ができるように意識しています。

ではここからは、屈曲拘縮の評価と治療についてお話します。

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患者さんは背臥位になってもらいます。検者は膝関節をまたいで、大腿部と下腿部を下へ押して伸展ストレスをかけ、患者さんに症状を問い、制限因子の仮説を立てます。

膝蓋化脂肪体のリリースについては第3回で述べていますので参照してください。

後面に制限があるとわかれば、細かく圧痛所見をとり、更に場所を絞っていきます。

私の経験上、後面の制限因子で多いのは、

・半膜様筋と腓腹筋内側頭周囲の癒着

・大腿二頭筋と腓腹筋外側頭周囲の癒着

・関節包性の制限

です。

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関節包性拘縮の場合、改善は難しいので、杖の使用やオーバーワークにならないよう指導。また筋痛や膝蓋化脂肪体痛になっても、自己でマッサージできるよう指導し、

屈曲拘縮とうまく付き合っていく方法を患者さんと一緒に考えていくことが大事だと思っています。

理学療法は魔法ではありません。すべてが治せるわけではないと思いますし、治療効果がないものに、患者さんの時間やお金、また社会保障費などの税金を投入するのは、ばかげていますし、誰も幸せにならないと思っています。

大事なことは、理学療法の適応範囲をしっかり把握し、評価できることです。

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。

私自身、まだまだ未熟者でありますので、このnoteの内容でご指摘があれば、コメントいただければと思います。

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