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仕事効率を格段に上げる脳の使い方【時間管理ハック④】

前回の「生産性を高める集中力のコントロール方法【時間管理ハック③】」では、集中力を持続するための、脳の上手い使い方について解説しました。

集中力の持続は非常に難しく、もし集中力が持てないのであれば何もしないか、集中しなくて良い作業にあてればいいでしょう。

マルチタスクな状態では脳への負荷が甚大であり、とても集中は実現しません。

したがって、なにか「今やるべきこと」を一度決めたのであれば、とにかくそれだけに取り組むようにしましょう。

また「タスク自体について考えてしまう、プランニングしてしまうこと」も集中が分散され、実行の時間が減ってしまうだけであるため避けたいところです。

ぜひ「集中が途切れた時でもできる簡単なタスク」を持つようにしてみてください。

続いて、本記事では、時間管理のために必要な「ワーキングメモリ」の考え方について解説します。


※前回記事はこちらから



自己紹介

事業投資家の林周平(@HayaShu88)と申します。10社のグループ企業の経営と林経営塾を主催しています。

ワーキングメモリの活用の3つのポイント

いつも「忙しい・・・時間がない・・・」と、言っている方は、自分では効率よく仕事できている様に思っていても、実は効率よく仕事ができていない可能性があります。

その際に注目すべきが、ワーキングメモリの存在です。

ワーキングメモリとは、パソコンの「一時保存」みたいなことをするメモリだと捉えてください。

ハードディスクではありません。そこに一時的にデータを保存しといて、処理する「メモリ」です。

例えばパソコンでもメモリがいっぱいになると作業が遅くなるように、人間もワーキングメモリがいっぱいになると作業効率が一気に落ちます。

そのため、時間管理において、このワーキングメモリの容量をいかに開放してあげるか、を考えることが非常に重要です。

ワーキングメモリの開放で抑えておくべきポイントが次の3つです。

ポイント1:情報の行き来を少なくするために、その日のタスクをその日に終わらせる!

ワーキングメモリは、よくテーブルに例えられます。「一時的な作業台」です。

その作業台がでかければでかいだけ、いろんな書類が広げられるわけですから、作業効率が上がりますよね。

コーヒー屋さんの小さなテーブルだと広げられないから、書類を出すときには1回パソコン閉じたりして、書類出して……となってしまう。書類2つだったらもう片手で持ちながらPCと見比べて……となるけど、ある程度広い机だったら書類を2つ並べながら見比べられますよね。

したがって作業台がでかければでかいだけ良いです。ワーキングメモリも広さがあればあるだけ使い勝手が良くなります。

作業台が散らかってると、作業効率が下がります。

つまり、何かいろんなものが作業台にある状態では、ある意味心が乱れて、集中力が途切れてしまう。

一つの事に集中できないと、人はモヤモヤします。

逆に言えば、「どのようにワーキングメモリを活用してあげるか」が大事です。物が散らかったままではうまく物事が進みませんね。

さらに、またパソコンと同じように、メモリの中でやりとりしてるものを一旦保存することがあります。

皆さんも、PC作業時はフォルダとかに保存すると思います。その際には「どこのフォルダに」「なんていう名前で保存するか」を考えるでしょう。

このように、保存するときもちょっと時間がかかっています。さらにまた開くときもちょっと時間がかかっているはずです。

つまり、一度保存した情報をまた開くためにハードディスクにアクセスするときは、時間がかかるものなんです。これは人間に例えると長期記憶みたいなものです。

短期記憶と長期記憶の差みたいなもので、短期記憶はすぐ思い出せるけど、長期記憶は「あれってなんだっけ?」とか言いながら調べたり開いたりするため、めちゃくちゃ効率が下がるんですよね。

この「情報の行き来をなくす」ことがワーキングメモリ活用の上で大事です。

記憶の倉庫つまり長期記憶はハードディスクなんですが、結局「モノゴト」は、短期記憶=ワーキングメモリで処理するものです。

なので「その日のタスクはその日に終わらせる」という最も効率的な方法を、皆さんに実行してもらいたいと本当に僕は心の底から思っているんです。

「今日は10%やって、明日は30%、その次は30%……」となると、作業再開のたびに「あれなんだっけ?」と考えないといけません。

だから、その日のタスクは確かにその日に終わらせて、もうパソコンをバンと閉じて「はい終了!」と言って飲みに行こう、という感じにした方がすっきりするし、結局効率が高いんですよ。

なので上記の方法は強くおすすめしたいです。

方法2:脳を外部化する

独特な表現なので戸惑わせてしまうかも知れませんが、僕は「脳を外部化すべき」と思っています。

一番いいのは結局、ワーキングメモリ活用です。多くのタスクを覚えておいて、脳内で処理する方法が一番手っ取り早いんですが、「物事をいっぱい覚えておく」と、脳にすごい負荷がかかります。

なので、1回保存しちゃうんです。「書き出して」、「保存して」、「考えない」

つまり、ぱっと情報が入ったときにもうその場で処理しきって「おしまい!」にしてしまうか、保存するなら保存してしまい、ワーキングメモリから消す。「保存したからまた言って」と誰かに頼んでしまって自分の中からは消す。

情報を保存しているにも関わらず、ぐちゃぐちゃ考えていると先程あったようにモヤモヤしてしまいます。

1回保存したらもう、スパっと区切ってしまえば、前章の「保留」にできます。これはめっちゃ頭がすっきりするのでおすすめです。

この方法も決断できないと実現できないんです。「やらない」とか「考えない」とか決めてしまわないと。

もはや「保存」自体は目的じゃないので、丁寧に保存する必要はありません。

「いつか思い出せればいい」わけです。要は短期記憶としてまたワーキングメモリに載せる時が訪れればいいので、自分の記憶のフックが引っかかるようなメモを残しておけば十分。時間をかけなくていいんです。

方法3:パッとやったほうが早いことはその場でやる

短期記憶の活用、記憶の外部化が効率的なのであれば、「パッとやった方が早いこと」はその場でやった方がいいのではないでしょうか。

誤解のないようにしたいのですが、例えば「すぐにレスポンスするのが大事だ」という考えがあると思いますが、本章で言いたいことはそういうことではありません。

もちろんコミュニケーションにおけるレスはすぐした方がいいですが、ワーキングメモリの活用という観点で言うと、「集中力が途切れない間に処理しちゃった方が早いよ」ということです。

例えば今、時間管理の話を読んで「自分に落とし込もう」と思ったものの、今日はおしまい、明日も明々後日もしない、1週間後にようやく思い出したとします。

そこで時間管理をちょっと見直そうかなと思っても「あれなんて言ってたっけ」ともう1回この資料を開く……等がありえるのではないでしょうか。

「今すぐできること」をわざわざまた持ち帰ろうとするから、時間が2倍も3倍も余計にかかってしまうのです。だったらもう、集中力が残っているその場で覚えてるうちにすぐやった方がいいのではないでしょうか?

よく言われる「忘却曲線」では、寝ると人間は半分ぐらい忘れてしまうといった結果もあるとされています。

では、具体的にパッとやることとして片付けるべきタスクとはどのようなものでしょうか?

僕はその基準はなんとなく「1分以内に終わるちょっとしたこと」が該当すると思います。

後でやるためには「保存して思い出す」というコストが発生するので、鑑みるのであればその部分でしょう。

あとは各種ツールで「後でやるリスト」的なものに入れることで消化していく。

人によってはメモ帳アプリで管理したり紙、付箋でやってる人もいるでしょう。

カギは「『あとでやろう』と思うものを雑多に入れられる箱をつくり、集中力をキープする」ことでワーキングメモリを開放することです。

本当に、ワーキングメモリをいい感じに使うことが人生を幸福に過ごすことに直結するので、超おすすめです。

【応用篇】⼈のワーキングメモリを取らないように気をつけよう!

自社でよくある話なんですけど、僕は「俺のワーキングメモリを取るな!」とよく言うんです。

例えば、「やっといてね」と仕事の依頼をして、「はい了解です」と返されて終わってしまう。

「いつやります」とかもなければ、動いてる気配もない。すると、依頼したこっち側はずっといつやってくれるのか心配でモヤモヤするんです。

「了解です!!!」と威勢よく返してくれるため、すぐに取り掛かるのかなと思うんですが、そうではない。

こちらとしては、早くしてほしいから催促するのではなく、「どう考えてるのかをシェアしてほしい」わけです。

つまり、「ずっと心配している状態が続く」から上司のワーキングメモリがずっと取られたままになっちゃうんですよね。

この状態はワーキングメモリの多大な損失です。

このため、メンバーのワーキングメモリを報連相で開放してあげましょう。「タスクを頼まれたら、必ず期日を伝える」と徹底する。

例えば僕がオフィス移転の際、水道とか電気の手続きを部下にお願いしたことがありました。

「引っ越し手続きお願いします」と頼み、「わかりました」と言われるんだけど、報告がない。このため僕はずっと気になっていました。これが人のワーキングメモリを奪うことです。

だから「早くやれ」と言いたいのではなく、「1週間で終わらせます」とか、「1ヶ月でやりますよ」という報告を受けたい。そうすると、「1ヶ月は長すぎるから考え直してくれ」という会話が発生するし、「今からやります」と言われたら「別にそんな急いでないから数日後からでもいいんだよ」という会話が起こる。

だから、決断することが大事になります。決断こそがワーキングメモリを開放することであり、脳を外部化することなんです。

進捗状況についても同じです。

1回「やります」という決断の報告があったからといって、ずっと心配しなくなるわけではありませんよね。

「やっぱ忘れてるんじゃないかな?」とか、「滞ってないかな?」とか心配になるので、報連相もちょこちょこしてあげると、「安心してワーキングメモリを開放した状態で放置できる」わけです。

上記のようにしていくと、良いチームになっていくでしょう。

タスクを3つに分けて管理するのがおすすめ!

ワーキングメモリの開放のためには、タスクの分類することも重要です。

なぜなら、タスクによってかかる時間や、スムーズにできるタイミングが違う為です。

例えば、プレゼン資料や企画・デザインなどクリエイティブな仕事は、多くの時間と労力を使うので、それを夜の疲れたタイミングやで行うのは非常に不効率です。

このように、タスク一つひとつを効率的にこなし、ワーキングメモリの消費を少なくするためにも、タスクを「創造的タスク」「能動的タスク」「受動的タスク」の3種に分類して管理するのがおすすめです。

それぞれ、どのようなタスクなのかを見ていきましょう。

①創造的タスク

一番大事なのは「創造的なタスク」です。

創造的タスクは集中力が必要なので、一番難しいものです。

なので創造的タスクの優先度を一番高く考えて、2番目が能動的タスク、3番目が受動的タスクという形で、優先度づけをしてみます。

例えば、企画を作るとかプレゼンを作るとかデザインするとか、「やったことないんだけどどういうもんなんだろう?」みたいな「初めてやる業務」みたいに、ちょっと頭を使う業務が創造的タスクに該当します。

他にも、「いきなり変な注文されたけど、なんかよくわかんないし、ちょっと調べながら、いろんな事例を見ながら、みんなに聞きながら調べよう、考えよう」みたいな職務は結構な労力がかかるため、そういったタスクも創造性タスクです。

創造的タスクは、邪魔されない・集中が途切れない時間枠をしっかり確保することが大事ですね。ノってなかったらやらなければ良いんですよ。

ノッたときにまたやる、としたらいいかなと思います。朝の時間の活用なんかも向くと思います。

これは、考えながら進める頭脳労働なので疲れるんですよね。「脳のリソースを食う」ってことです。

②能動的タスク

創造的・能動的・受動的タスクと並べた時、左に行くほど重要で時間を使うべきタスクになります。

右に行くほど、割と手続きが決まっているタスクになります。手が勝手に動くので、それほど創造性は必要ないといえます。

例えばデザイナーさんの場合だったら、「バナーを作る」で考えます。大体なんか右の方とかに、もらってるテキストかキャッチコピーを配置して修正して……という程度だと、そこまで創造的ではないはずです。本当のクリエイティビティあふれるバナーだったら大変ですが。

皆さんも多分、真ん中「能動的」のタスクがほとんどだと思うんです。

業務の8割は真ん中のタスクだと思うので、実はそんなに集中力なくてもできてしまうはずです。

集中があるに越したことはないですけど、例えば「調査レポート」「制作レポート」とか、いわゆる日々の業務であれば、1回で終わるように分割して順次実行していきたい。

でも「3ヶ月のプロジェクトです」ってなったら、それはちょっと管理する粒度として大きすぎますよね。なので、1回で終わるぐらいの量に分割する。

その「1回」とは人によって尺度が異なります。1時間なのかもしれないし、「ホワイトカラーでデスクワークしてます」という方なら1回が「3時間~4時間」かもしれません。

尺度はご自分のワーキングスタイルに合わせてもらえたらと思いますが、大体、1回分は1日で終わるぐらいの量に分割していくと、あまり細かくもなりすぎない量となり、順次実行できるようになるはずです。

③受動的タスク

受動的タスクとは、いわゆる「メール返信」とか「SNSでいいねを押す」とかです。

めちゃくちゃ大変なクレームの返信メールとかじゃなくて、「了解する」程度。ほとんど頭を使わない、経理とか、集計とかレポーティング(しっかり調べて、お客さんに学びを提供するほどレベルが高いものではありません)などが他には該当します。

したがいまして、上記のような受動的タスクは集中力が切れたときに行うべきかなと思います。

前章にもあった「余剰」との兼ね合いがまさに「受動的タスクの実行どき」です。「今やらんでもいいんじゃないか」というタスクが受動的タスクです。「また集中がなくなったときにやればいいや」という感じに、意図的に受動的タスクを貯めておくのも良い手段かなと思います。

先にもありました、家に届いてる郵送物を順番に開けていく、などを「今日は集中しづらいな」と思った日にやればいいかなと。

受動的タスクの特徴として「クエリが外部から来る」というものがあります。「これってどうですか?」と聞かれて、それに対して答える行為って、人間にとって脳を使わなくていいので簡単なんです。

なので、「自ら『問い』を作っていくような創造的タスク」は、大変な頭脳労働になります。右側のタスクとは、言ってしまえば飲みながら、酔っ払っててもできるタスクです。

余談ですが、この前お酒飲んだ夜に将棋のゲームで遊ぼうとしたら、もう全然やる気にならなかったんです。

「なんであんなに昼間は楽しくやってたのに、全然やる気にならなかったんだろう?」と自己分析しました。

やっぱり素人なので将棋はめちゃくちゃ前のめりに考えてしまいます。プロはもしかすると自動操縦モードで指すかもしれませんが、僕程度だと熱出るぐらいものすごく頭を使うんです。だから「簡単にクリアできるタスク」にはならなかった。

ぜひ、皆さんそれぞれ自分に合わせて、業務を三つに切り分けて考えてみてください。

【応用篇】心配事があるときは一旦結論を書き出すことが重要!

応用編として「心配事があるとき」のことについてお話します。

例えば人生レベルで抱えねばならないようなことが起きてしまった時、どうしますか?

詐欺で何千万の被害に遭ってしまったとか、極端なとんでもないことです。

そういった時に、悩み続けると駄目なんです。考える、悩む、みんなに聞く、心配する、また考える、悩む……でも大体普通はこうなりますよね。

恋愛でも一緒です。親戚との関係とかでも同じです。仕事で怒られそう、失敗して怒られるんじゃないか、など……。

大事なのは「処理する=書き出す」ことです。

書き出しながら、存分に悩む。「やばい、どうしよう!」みたいになりながら、「一旦の結論」を書き出す。

アウトプットして文字として残すことが大事です。

すると、「でも、俺はこう考えるしかないよな」「こう来たらこうしよう」みたいなプランが少なからず見えるはずです。こういった対策を考えることをコンティンジェンシープランといいます。

一応結論が出ているので、最後には悩まなくなります。「脳の外部化」ができた状態です。

僕は悩んでる時間って、人生における無駄な時間だと思うんです。

1回悩むことも大事ですが、「悩み続ける」と何もいいことがないです。「処理」できるといいかなと。

上記は本章の序盤のお話と同じですよね。なので、脳の外部化・ワーキングメモリ開放について考える場合に、ぜひ意識してみてください。


※アップ次第随時リンクしていきます。

  • 時間に追われて忙しいビジネスマンのための時間管理ハック〜第5章「時間管理のコツ4:効率性」


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