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かのりんか|よるの帳
2021年2月24日 18:04
恋人はよく、わたしの食器を割る。 普段はしっかり者の彼が食器だけはいやに頻繁にぱりんぱりんと割るものだから、前世で食器に嫌な思い出でもあるのだろうかと思ったほどだ。 彼と共に暮らすようになって2年は過ぎたが、彼はこれまでに8つ以上食器を割った。 正直、8つを過ぎたあたりから数えるのをやめた。 夏を閉じ込めたみたいな水色のグラスも、薄くて繊細なピンクのカップも、丸くてかわいい小鉢も、やわ
2021年2月17日 19:24
久しぶりに帰省したら、なんだか祖母が少しこれまでと違って見えた。 端的に言うと、優しく丸く、どこか弱々しくなったような気がしたのだ。 それじゃあ今までの祖母のイメージはどんなだったかというと、 派手で明るく、いつもおしゃれで物怖じしない笑顔の多い人という印象だった。 昔から祖父母の家の居間には、壁に大きな写真が飾られてあった。 蔵王のお釜を背景に撮影された若かりし頃の祖父と祖母のそ
2021年2月10日 18:03
東京という街を思い浮かべる時、どんな印象があるだろうか。 地方出身のわたしが東京に住む前に持っていたイメージは「新しい・便利・冷たい・なんでもある」だった。 昔のドラマや漫画で「東京は冷たい街だ」なんてセリフをよく耳にしていたから、そんなイメージを持っていたのかもしれない。 しかしこのイメージはわたしが東京で暮らした3年間の中で大きく覆ることとなった。 今回はその話を、思い出を交えて掘
2021年2月3日 18:34
恋人は釣り人で、魚が大好きで、恐らく三日に一度は「寿司食いたい」と言っている。 わたしは恋人と会うまで、寿司というのは特別な日か、そうでなくても「今日は寿司だ!」という心持ちで食べるものだと思っていたので、これほどまでに高頻度にカジュアルに寿司を食べて生きている人を目の当たりにして驚いた。 しかし幸いなことに、わたしは食べることが大好きだった。魚も例外ではない。 とはいえ意外と変なところ