人生を変えたバイト_エントランスとバー編

前回はホールの業務だけで一投稿書き終えてしまったので、今回はエントランスとバーの業務について、思い出しながら書きたいと思う。


まずは、エントランス。スタッフとセキュリティと店長で対応する。入場するタイミングで、まずセキュリティが身分証を確認する。その後持ち物チェック・ボディチェックに移る。持ち物チェックと男性へのボディチェックはセキュリティや男性スタッフがやってくれ、女性へのボディチェックは女性スタッフがした。

以前の記事で書いたが、週末は入れ替えがあるものの2,000人程の来場があったので、女性客だけで一夜に1,000人弱のボディチェックをする。30秒に1人捌くような感じだった。腕・お腹・ポケット周り・腰回り・脚・足首をチェックしていく。チェック箇所がとても多いと思ったかと思うが、理由がある。

これも前回の記事で一部書いたが、クラブなんて、悪いモノを持ち込む奴が満載なのだ。悪いモノの詳細は伏せるが、何となく想像して欲しい。しかもチェックできないような箇所に縫い付けたり、仕込んだりする奴もいるので、これだけチェックしても見落としたりするくらいだ。

持ち物チェックでも女性はポーチなどにそういったものを隠して、セキュリティに「これは何ですか?」と聞かれても、「生理用品〜〜んん!あと、痛み止め〜!!見ないでよぉ、変態(笑)」などと言って、セキュリティを困らせていた。痛み止めじゃないものだって、絶対あったと思う。

また余談だが、こんなに多くの人に密接に近づいてとてもスピーディにボディチェックをすると、数多くの人の臭いに酔って気持ち悪くなる事もこの業務をして初めて知った。

その後、チケットの券売機で入場券を購入してもらい、入場してもらう。もしくはゲストの場合は、ゲストリストをチェックして対応する。このゲストリストも、全員が全員そうではないけど”俺は!私は!ゲストだーーーー!”というとんでもなく偉そうな態度で来る奴がたまにいて、名前が入っていない場合とかは厄介だった。そこはセキュリティも一緒に宥めてくれたりした。その他は、店長の補佐業務や電話番など細かい仕事もあった。

また、ビル内の他のテナントへの配慮も含めて、エレベーター下の業務もあった。店に来るお客さんかどうか確認をしたり、その他のお客さんを乗せるエレベーターも止めない・入場制限の場合はエレベーター下から並ばせるなどの業務もあった。あとは、酔っ払いがたむろしまくるのを散らしたり、落としていくゴミ拾いなどもした。クラブというのは、どうしても怪訝な目で見られる事も多いし、そう見られても仕方ない場所なので、こういった周りへの配慮が大事だった。

ほぼ外のエレベーターホールでの業務だったので、極寒の日はベンチコートを着用して、店内と繋ぐインカムの装着もあったので、人生初めてのベンチコートとインカムは18歳だった。


次は、バー。バーに関しては、プレオープンの記事の際も少し書いたが、忙しい日には一晩で多くて6,000杯くらいは出ていた気がする。単純計算で、1分間に10杯強作る計算だ。新人の時にはそんな量作れもしなかったので、とにかくビール缶やZIMAの瓶を補充をする事と、グラス洗いを徹底した。洗っても洗ってもグラスが追いつかなかった。ゴミ箱も一瞬でいっぱいになるので、1時間に1度は90リットルくらいあるゴミ箱を取り替えないと間に合わなかった。バー横の1.5畳程の在庫エリアにゴミ袋を一旦溜めるのだが、営業が終わる頃には、在庫エリアの扉が開けられないくらいゴミ袋でパンパンになっていた。(6,000杯以上出ていたのかもしれない…)

少し暇な時間にドリンクを作る練習やお客さんへの接客をさせてもらったりしながら、徐々に慣れていった。忙しい時間にもヘルプで入ったりするようになるが、私は基本的に鈍くさかったし、酒が飲めなかったので「オススメ!」と言われて何となく作った時に、信じられないくらいゲロマズのカクテルを出してしまう事もあり、あまりバー専任になる事はなかった。

けれど、どんどんいなくなるバイトの件も踏まえて、残った人間は皆ある程度はバーを回せないといけなかった。暇な時間に、感覚でリキュールをグラスに出してメジャーカップに戻して練習する事で、リキュール30ml、45ml、15mlについてはメジャーカップを使わず感覚で出せるようになった。今考えても不思議な練習だが、メジャーカップを使う時間すらない忙しい時間の為の練習だった。

先に書いた1分間に10杯強のドリンクを出す、なんて事は不可能に近いと思うかもしれないが、可能にしなくてはならなかったのだ。ドリンクを求める大多数の手が引っ込むなんて事はないし、出せば出すほど売り上げになる。

プロい先輩は、一気に10個くらいドリンクを作っていた。メモなんてしてる暇ないので一気に記憶して、別のリキュールを両手に持って、何度か持ち替えてそれぞれ一気に入れた後(もちろんメジャーカップなし)、片手でソフトドリンクのガンサーバーを持って割っていきながら、もう片手でマドラーを持って続けてかき混ぜて行く。そして、生は基本片手に2つ・両手で4つグラスを持って入れる。最初に一気に8割くらいまで注いで、最後に泡をスコンスコンと一気に入れて、完成。ZIMAなどの瓶蓋も5本くらい一気に開けて出す。ここまでで多分1分半もかからない。

鈍くさい私ですら、3分半くらいでやっていたけれどそれでも遅いと言われた。普通の飲食店なら全く遅くないけど、オゾンでは遅くてメインでは立てなかった。それもあって今は、飲食店に行って飲み物が遅いと、手伝いたくなってしまう。

エントランスとバーはこんな感じ。

こんなに細かく大量の人数をボディチェックをする事や、こんなに急いで大量のドリンクを作る経験をする事は、普通の人生ではなかなかできないので、今となっては貴重な経験になったなと思う。

また、前回書いたホールは、何人かいたとしても散り散りになり基本個人での対応が多かったが、バーとエントランスは常に1人ぼっちではないので、それぞれ大変な事はあっても場の連帯感のようなものがあり、慣れない新人の頃は、業務の中では安心感もあった。

その他バーでの思い出や、エントランスでの恐怖の出来事もあったが、それはまた別の機会で話す事にして今回は業務内容についてのみ。

次はキッチンとVIPルームの事を話したいと思う。


ハタノ



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