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夢を持つのに遠慮はいらない【代表世話人株式会社】

「経営者とお話してお金をいただく仕事をしている人」と聞いて、あなたはどんな人を思い浮かべますか?

生まれつき話すのが得意で、大好きな人なんだろうなと思いませんか?

しかしそこには信頼を得るための、たゆまぬ努力と工夫の積み重ねがあったのです。

今回は代表世話人株式会社 代表取締役の杉浦佳浩さまにご登壇いただき、キャリア教育プログラム 「Choose Your Life!お仕事図鑑」を実施しました!

Choose Your Life!お仕事図鑑とは、『知らないから、選べないをなくす』のコンセプトのもと、日本の産業や社会を支えてきた人たちの志や想いを若者たちに継承したいという想いでつくられた高校向けキャリア教育プログラムです。

様々な業界を代表する企業に登壇いただき、そこで働く人の仕事や生き方を伝え、若者たちがロールモデルと出会うきっかけを届けます。

この記事では高校生に働く情熱を伝えた本プログラムの一部をお届けいたします。担当はハッシャダイソーシャルの「森本」です。

経営者の話を聞く仕事

森本:本日は、杉浦さんをゲストとしてお招きしています。自己紹介を兼ねて、今どのようなことをしているのかを聞かせていただけますでしょうか。

杉浦:私は杉浦と申します。どうぞよろしくお願いいたします。私の仕事は、「経営者とたくさんお話をする仕事」です。年齢は60歳ですが、高校生の起業家と話すこともありますよ。もし世の中に「楽しく生きている60歳選手権」というものがあれば、多分3位以内には入るのかなと思っています。よろしくお願いします。

「杉浦佳浩 Official Website」から引用

森本:よろしくお願いします。杉浦さんは、人と人をつなげたり、その縁から新しい仕事を生み出すことを生業としています。

杉浦さんについては、こちらの24万回再生されたTikTok動画もぜひご覧ください。

本日は杉浦さんの人生におけるキャリアの選択や、選択の裏側にあった想いについて、皆さんに届けていきたいです。そして今まで知らなかった仕事や働き方を知って、これからのキャリアを考えるヒントになればすごく嬉しいです。では、「代表世話人株式会社」の概要について教えてください。

杉浦:経営者に会うことを生業にしている会社です。経営者は孤独です。たくさんの課題を抱えています。そのような経営者から、誰にも言えないような相談を受けます。具体的には以下のような相談です。

・会社を大きくしたい
・新規事業をつくりたい
・会社を売却したい
・会社を廃業したい

このような、社内の役員や部下にはまだ言いづらい内緒話、秘密の話を聞く会社です。

森本:人の話を聞くことを、生業としようと考えたきっかけは何ですか?

杉浦:証券会社で営業として働いていたときに、「こちらから仕事の話をしなくても、楽しくお客さんの話を聞いていたら、それが売上になっていく」というのを経験しました。

人の話を聞くことで、その人のことがわかります。家族のこともわかりますし、いろいろな情報が手に入ります。人には言いづらい話を聞くこともあります。それだけ信用されるということなのです。信用・信頼が積み上がれば、売り込みをしなくても、お客さんの課題に対し提案するだけで、ビジネスが加速していくのだと、身を持って経験したのがきっかけです。

森本:信用・信頼はどのようにすれば貯まるのでしょうか?

杉浦:例えば、森本さんが私に話してくれたことを、3年後も覚えていたらどうでしょうか。驚きませんか?

相手の話から重要なキーワードを確実に集めておいて「あの件、どうなりましたか?」と尋ねてみるのです。いかに相手を気にかけているか、大切に思っているかの意思表示の積み重ねが、信頼を得るのには必要です。それをせずに、自分の言いたいことを言っているだけでは、信用はまずありません。

信用は、目に見えない無形の資産です。決してお金では買えません。きちんとコミュニケーションを取ることで得られるものです。私も絶対にできているとは言えないので、日々心がけ、努力しています。

森本:コミュニケーションについて、すでにたくさん研鑽を重ねているかと思いますが、さらに積み上げていきたいというのはとても素晴らしいですね。

失敗して質問力を高める

森本:ここで高校生から質問が来ています。「コミュニケーション能力を上げたいのですが、いまいち人と話すのがあまり得意ではないです。どうすればいいですか。」というものです。杉浦さんのお考えをお聞かせください。

杉浦:実は私は、小学校・中学校・高校と人と話すのが大嫌いでした。大人数の前で話すのも大嫌いでしたね。今だから笑い話になるのですが、20代のときに30人くらいの前で講師をしなければならないことがあったのですが、会社を休みましたからね。一対一であれば何とか話せるかなという感じです。それくらい、人と話すのが苦手だったのです。

そんな私が皆さんに言えるのは「コミュニケーションが苦手でもいいよ」ということです。苦手だからこそ、クリアにしていくべき階段が見えてきます。もし「私は人前で話すのが得意です!」という人がいたら、その人は練習しないでしょう。苦手だと感じ、練習する人の方が、ずっと話すのが上手になると、私は考えます。

大切なのは「質問力」です。私は質問力を意識して鍛えました。質問力を磨くと、自分からどんどん喋らなくてすみます。喋ることが苦手だから、質問力を鍛えたのです。

経営者と話すときも「この人が喜ぶ質問は何だろう」というのを考え、質問を繰り返します。最初のうちは、「俺を馬鹿にしているのか」と怒られたこともたくさんありました。このような失敗も、経験値としてプラスに変えていったのです。

質問力を磨き、この人が何に関心を持っているのかというところに対して質問していくと「この人は自分のことを真剣に考えてくれているな」と思ってもらえます。そして信用力に結びついていくのです。

森本:コミュニケーションを高めるのには、質問力が大事なのですね。苦手だからこそ上手になろうとする、という点も勉強になりました。

『多くの経営者を惹きつける杉浦さんの「順調な船出」の秘訣とは』から引用

人に会うために海外に出かける

森本:大学時代はどのように過ごしましたか?

杉浦:バックパッカーになり、1人で海外に行っていました。とにかく世界中の人に会いたいという気持ちで、リュックサックを背負い、さまざまな国へ行ったのです。人間には良い人もいれば悪い人もいる、それは世界共通だなと学びましたね。

万里の長城、ジブラルタル海峡、砂漠、モンゴル、東南アジア、いろいろな場所に行きました。歴史的建造物もたくさん見ましたが、その国で出会った人の方が印象に残っています。

旅行先でたくさんの人に会ううちに、その土地の人に出会って、楽しい経験をするのが旅行の本質だと気づきました。それぞれの国でいろいろな人と対話できたことが、私の大きな財産になっています。

『多くの経営者を惹きつける杉浦さんの「順調な船出」の秘訣とは』から引用

ファーストキャリア

森本:杉浦さんがファーストキャリアに証券会社を選んだ理由をお聞かせください。

杉浦:私が就職活動した約40年前は、証券会社がどんどん海外に進出していこうとする時代でした。私は当時、海外旅行するくらいなので、海外で仕事したいという夢があったのです。それを叶えるために、準大手の証券会社に入社しました。

面接のとき、私は中国に駐在したいという希望を語りました。面接官の人は「行かせてあげるよ」と返事しました。ただ実際には海外に行く機会はありませんでした。いきなり鹿児島の配属になって「あれ、中国は?」という感じでしたね。

このままではずっと鹿児島勤務になると感じた私は、ある行動に出ました。アポイントなしで、いきなり北京支店に行ったのです。当時はスマホどころかパソコンもない時代です。電話も通じるかわからなかったので、直接北京の支店長のところに突撃して、会ってくれとお願いして「私は北京支店で勤務できますか?」と尋ねたのです。珍しい奴だなと言われました。

森本:確かに珍しいですね。

杉浦:そのときに「10年かかる」と言われ、10年もいられないと思い、証券会社を辞める決意をしたのです。

森本:その行動力はどこで培われたのでしょうか?

杉浦:やはり、海外にバックパッカーで行ったことが大きいですね。当時は今のようなネット社会ではないため、情報もほとんどありません。ネットで宿の予約もできない時代です。そのような中でヨーロッパなどを訪れたことで、行動力が身に付いたのだと考えています。


積み上げた信頼が起業につながる


森本:
杉浦さんはその後、世界的な自動制御機器メーカーのキーエンスに転職し、その次に損害保険会社で20年働いていますね。そこから起業に至った経緯を教えてください。

杉浦:実は私はもともと、起業するつもりはありませんでした。しかしある日、体調を崩して会社で倒れました。救急車で運ばれて、3週間くらい入院したのです。そのときに、うちの妻から「会社を辞めてほしい」と言われました。

どうしようと思ったときに、自分には社外に経営者の知り合いがたくさんいることに気付きました。いろいろな人にメッセージを送ったり電話したりして相談して言われたのが「独立したらいいじゃないか」ということでした。たくさんの人から応援すると言われ、会社を辞めることにしました。ですから、自分の意志で独立したというより、周りに勧められて独立したという経緯になります。

森本:既にいろいろな経営者との信用・信頼が貯まっていたからこそ、力になってくれる人がたくさんいたということですね。

杉浦:そうですね。ありがたいことです。

森本:普通は起業というと「やりたいことがあるから」というのが多いのですが、そうではなく、今まで積み上げた信頼が独立につながるというのは、面白いですね。

シンプルな質問ですが、どうしたら楽しく仕事できるのでしょうか?

杉浦:「楽しいから笑うのではなく、笑うから楽しい」というのが、ひとつの答えです。まずは笑ってみる、楽しくしてみるということが大切です。

例えば、ある大手の会社が倒産しました。そのとき「次の会社に行ける、楽しい」と考える社員と、「どうしてくれるんだ」と会社に文句を言い続けた人と、2通りにわかれたのです。森本さんに質問ですが、楽しい人生を歩んでいる人は、どちらだと思いますか?

森本:文句を言っていない方ですね。

杉浦:そうですよね。「倒産した」という事実は一つなのですが、その事実をどうとらえるかが大事です。

人生で起こる全てのことには意味があります。例えば、私も浪人経験があるのですが、第一志望の大学に落ちてしまったときに、落ち込むのか、「落ちたことにも意味はある。また1年間がんばろう」と思えるのか、事実は一つなのですが、とらえ方次第で人生が変わるのですね。ここに気づけるかどうかが、仕事を、そして人生を楽しめるかどうかの一番大きな分かれ目なのです。

「杉浦佳浩 Official Website」から引用

人生の選択基準は「成長できるかどうか」

森本:ここからは質問タイムです「将来の夢があるのですが、本当にその道でいいか悩んでいます」という質問です。どう思いますか?

杉浦:私は「夢を持つのに遠慮はいらない」という言葉が大好きです。夢を持つのは自由です。もしその夢が実現しなかったとしても、次の夢を楽しんで探せばよいと思います。その夢は叶わないと言ってくる人なんか、放っておけばよいのですよ。遠慮なく、夢に向かってやりたいことをやればいいのです。

森本:次は「自分の人生の選択、自分の気もちをどのように大切にしていますか?」というものです。

杉浦:「自分が成長できる選択かどうか」です。私は60を過ぎた現在も、常に成長していたい、野球で例えるとバッターボックスに立ち続けていたいと考えています。「もう南の島とかで楽をしたらいいじゃないか」と言われることもあります。しかし私は、いろいろな経営者に会い続けると決めています。自分の成長にプラスになる選択を、これからも続けていきたいです。

あとは山を登る自分をイメージします。スピード感で言うと、トンネルを使うのが一番早いです。しかしトンネルって、暗くて、排気ガスで臭くて、車がうるさいですよね。

トンネルだと500mで済むところを、山道だと3kmかかります。しかし山道だと、鳥が飛んできたり、夕日が見られたり、海が見られたり、おいしい空気を吸えたりするわけです。どちらが達成感を得られると思いますか?

私は「こちらの方が楽しいのではないか?」とあえて険しい道を選択するようにしています。山道は大変ですが、そこでしか見られない景色がたくさんあります。迷ったら、あえてしんどい方に行くのが良いのではないでしょうか。

森本:最後の質問です。「将来やりたいことがあるのですが、どれも現実味がなく、それで生活できる自信がありません。趣味として続けるのか、仕事としてチャレンジするか悩んでいます」という質問です。

杉浦:まずはやってみることです。私も50歳で起業したとき、経営者の知人たちからは応援してもらえましたが、それ以外の人たちからは「失敗する」と言われました。「そんなにうまくいくわけがない」「誰がお金を払ってくれるの?」と言われたのですね。しかし今年で創業して10年になりますが、ありがたいことに倒産せず、毎日楽しくやっています。

時代は、どんどん良くなっています。20年前には、スマートフォンなんてありませんでした。「不便になった」「生きづらくなった」という声もありますが、未来は明るいと思ったほうが、人生が楽しいです。意味づけの仕方、とらえ方で人生は変わります。ぜひ諦めないで、自分のやりたいことをやり続けてほしいです。

森本:ありがとうございます。最後に一言お願いします。

杉浦:今日は皆さんと幸せな時間を過ごせました。私は自分が皆さんと同じ高校生のとき、まさか自分が高校で授業をさせていただくなんて思いもしませんでした。しかしやり続けたら夢は叶うと確信しています。夢を持つのに遠慮はいりません。どんどん夢を持っていただいて、自分の人生に楽しく意味づけしていただけると嬉しいです。貴重な機会をありがとうございました。

編集後記

今回が、カシマ教育グループの生徒の皆さんに届ける2023年度最後のお仕事図鑑になりました。わたしたちが年間を通して伝えているのは、「自分の人生を自分で選ぶ」体験がとても大切だということです。

わたしも、人生は「誰に出会うかで変化する」と考えています。

ぜひ高校生の皆さんにとって、今回の出会いが「それでもなお、人生は選べる」と思えるきっかけにつながってほしいと感じます。

年間を通して、たくさんのお話を聞いていただき、ありがとうございました!来年度もたくさんの”生き方・働き方”との出会いをお届けします!!

ではまた!

高校生の声を抜粋📢

働き方だけではなく、働く上で得られるもの、得るために何をすればよいかなどの具体例を聞けてとても参考になりました。また、自分の好きなことを仕事にするのに対し不安を感じていたので、今回お話を聞いて自分の好きなことを仕事にする自信がつきました

将来の夢が今のままでいいのか悩むことがあったのですが、夢を持つのに遠慮はいらないという言葉を聞いて、夢を一つに縛らなくてもいいんだと気が楽になったので、色んな夢を持って楽しんで生きようと思えました。

初めて参加しました。
自分の将来に自信が持てなく考えることを避けていましたが、「旅をするように働く」という言葉を聞いて、将来について少しずつ考えてみようと思いました。ありがとうございました!

コミュニケーションをとるのがすごく苦手なので、社会に出た時にうまく人間関係を築いていけるかとか、自分にはどんな仕事があっているのか最初は分かりませんでした。でも、色々な人の人生について話を聞くことができてもっと視野を広げて世界を見て自分の人生を楽しみたいなと思いました。

「真実はひとつ。でも、捉え方や行動の仕方は複数ある」という考えが、私にはなかったから、とても心に響きました。

何かハプニングが起こった時、それに対してどのように自分が行動するかという、次の1歩が大切だと改めて感じたので、自分の人生を、自分だけのものにするために、楽しむために、自信を持ちたいと思いました。

また、迷った時はしんどい方へ行く、全てに意味がある、という言葉は、今の選択に自信が持てない自分にとって、本当に大事なものになりました。

わたしの将来の目標は人の役に立つ仕事をすることですが、それだけでも多くの職業があり進む道がたくさんあると思いました。わたし自身がやりがいを感じ、誰かの役に立てるようにこれからの勉学に励みたいと思います。

今から意識できることや改善できること、考えることが出来ることを沢山学べました。このような機会に中々参加してこなかったのですが、今後は積極的に参加していきたいと思いました。ありがとうございました。


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