思弁逃避行

思弁逃避行 24.幼馴染のエビフライ

定食屋でメニューを眺めている時間が好きだ。
 メニューから食べたいものをテキパキと決める。これは私の苦手なことベスト20には必ず入る。しかし、うまい定食屋ならばその悩んでいる時間も愛おしい。

 そこで目に入ったのはエビフライ定食だ。
 そういえばエビフライをここ数年食べていない。久しぶりに食べてみるのもいいかもしれない。普段自炊もするがなかなか揚げ物は作らない。加えると揚げ物を食べるならば、つい

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思弁逃避行 23.名前をつけてやれ、本気で考えてやれ

名前をつけるということは、居場所を与えることに等しい。

 誰かがまたそれを指して呼ぶことがある。それを他と区別して認識する必要がある。そういったときに名前は付けられる。認識したものに名前が付くことで、次の居場所に連れていくことができるのだ。
 そんなことを考えながらスーパーをうろついていると、また嫌なものを見つけてしまった。

 「フロランタンみたいなケーキ」

 不安になる。
 これはもはや商

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思弁逃避行 22.今に限る

「今限定!ディズニーパッケージ」と書かれたインスタント麺がそこにあった。

 また恐ろしいものをみてしまった。それはスーパーのワゴンの中で悲しげに積まれていた。
 今限定。今季限定ではない。今だけなのだそうだ。それはもう限定に限定されている。なぜなら"今"とは時間を指す言葉の中で最も短く具体的なものだからだ。言葉の上ので"今"は、それを耳にし意識したその瞬間、刹那の話になる。その"今"が、文字とし

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思弁逃避行 21.期間無限定自意識

人によっては魅力的にも聞こえ、また人によっては忌々しくもあるこの言葉。

 期間限定!

 この世には期間限定のものがある。言ってしまえばこの世のものはおおよそ全てが期間限定ではあるのだがそういう話ではない。ハンバーガーショップやお菓子業界での話だ。気を抜いていると、夏になれば爽やかなフレーバーが、冬になれば濃厚なフレーバーなどがレギュラーメンバーとは別で次々と登場してくるのだ。私はこういったもの

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思弁逃避行 20.不二家社員はカントリーマアムを温めるか?

夏頃の話だ。阿呆の同居人が期間限定フレーバーのカントリーマアムを買ってきた。甘夏チーズケーキ味だ。普通のを買ってこいよ普通のを。こいつめ。

 私は期間限定フレーバーの商品を購入するのが苦手だ。そのため期間限定でのパッケージ変化にあまり目を凝らすことがない。しかしこの甘夏チーズケーキ味には見逃せないパッケージ変更があった。
 個包装の「カントリーマアム」の文字の頭に「冷やし」とあるのだ。

 カン

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思弁逃避行 19.バナナの汁

バナナ果汁1%と書いてある。

 汁。
 私はバナナオレのパッケージを眺めながら首を傾げていた。果汁というものがなんなのかわからないのではない。「汁」という表現がどうにも引っかかるのだ。このモヤモヤの正体を掴むべく私は広辞苑を手に取る。

 か-じゅう【果汁】果物をしぼったしる。ジュース。

 なるほど。こういう時と、数センチの踏み台が欲しい時、広辞苑は本当に役に立つ。つまり広辞苑曰く果汁とは果実

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思弁逃避行 18.ウナギはタレがうまいだけ

「ウナギがうまいのではなく、ウナギのタレがうまいだけではないか」

 そんな主張を目にしたことがある。みなも一度や二度考えたことがあるだろう。確かにウナギの味というものを思い出そうとすると例のタレの味が覆いかぶさり、その記憶の中からウナギの味のみを取り出すことが上手くできない。だとすれば、あのタレを付けさえすれば何だって我々が今まで「ウナギの美味さ」と信じていた感動を得られるのかといえばそれは違う

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思弁逃避行 17.チュロスを片手にポップコーンを観る

チュロスが食べたい。
 そう思っても中々気軽に手に取ることができない。それがチュロスだ。
 チュロスは映画館やテーマパークでお馴染みのお菓子で、スペインあたりで生まれた棒状の揚げドーナツのようなものだ。外はザクっと硬く、中は柔らかい。シナモンシュガーがこれでもかという程まぶしてあり、そのざりざりとした食感もまた良い。
 しかし悲しいことにチュロスを出来たてで取り扱っているのは、前述の通り映画館やテ

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思弁逃避行 16.スープ(卵入り)

焼肉屋のシメはやはり卵スープに限る。
 先日京都にある少し有名な焼肉店に行った。当然肉は美味く、腹も膨れて大満足。シメはもちろんお待ちかねの卵スープだ。焼肉の後の卵スープの美味さは実感としては焼肉より美味い。焼肉を食べれば食べるほど、後に控える卵スープの美味さが比例して上がっていくのだ。もしかすると焼肉は、卵スープのための前座、もしくはチャージ時間でしか無いのかもしれない。
 こういった美味さは他

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思弁逃避行  15.免罪符で包んで

この世には昔、「免罪符」というものがあった。
 この免罪符とは16世紀にカトリック教が発行していたもので、簡単に言えば「あなたの罪を許すよ券」である。
 例えば、つまみ食いをしちゃったよ〜という時。でも、免罪符があれば大丈夫!人を傷つける嘘をついちゃったよ〜という時。でも、免罪符があれば大丈夫!上司の奥さんをグーで殴っちゃったよ〜という時。でも、免罪符があれば大丈夫!とんでもない代物だ。許されるな

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