コニシムツキ

コニシムツキのnoteです。 ブログはこちら https://sonota-hoge.com

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マガジン

  • 思弁逃避行

    たこ焼きとたこ焼き機はどちらが先か。ピザ屋のメニューにある「焼肉屋さんのチョレギサラダ」への疑問。アボカドが果物に分類されることへの不満… もし気になるものをすぐに検索してしまうような性格ならば、今すぐ本を閉じていただいたほうがいいかもしれない。 そんな回りくどい堂々巡りの思弁を綴る随筆と超短編小説を収録。

  • 騒がしい輪郭 トークイベント

    2019年の12/8から12/15に開催されたコニシムツキ個展「騒がしい輪郭」の会期中に行われたトークイベントの内容をテキスト化しまとめています。

  • コントたち

    発表するあてもなくただただ趣味で書かれたコントたちです。 どうぞよろしくお願いします。

最近の記事

ブログ『その他の項目』開設

色々とあって何も活動ができない状態が続いていました。 少しリハビリも兼ねて文章を書いていこうと思います。 そのために自分の場所が必要だと思い、ブログを立ち上げました。 ここではnoteにあげていた思弁逃避行を改訂し書き足したりしたものを、いわば完全版のような形でアップしています。 他にも触れてきた本や映画や音楽などについて。 そして使ってきた愛着のあるものなどについて書いていくと思います。 これからはこちらのページをぜひ見ていっていただけると嬉しいです。 ブログト

    • 散文の三 続けることについて

      幸せには真っ先に慣れていくのに、辛いことには一向に慣れることができないのは人間のシステムバグだと思う。 今年の頭に友人が亡くなり、そんな事を感じていたのに、半年ほど経った今、自分は驚くほどそれ以前と変わらない生活を過ごしていて、彼とは全く関係のないことではしゃいだり、落ち込んだり、もう何だか全部が嫌になったり、立ち直ったりしている。 一時期、私は彼と二人でルームシェアをしていた。 彼の引っ越しで空き部屋に持ち込まれたのは、衣類(恐ろしくダサいパーカーが何着も)と漫画(宇宙兄

      • 散文の二 好きなものについて

        美術が面白いと思って展示の企画の仕事をしている。 美術は時代と共に、さまざまな物事に影響を受け、どんどんと派生が増え、次々に物事の価値や認識がアップデートされていく。 もちろんそれは美術に限った話ではない。映画や文学、舞台、漫画、音楽なども他の多くの文化も同じだろう。それらはきっとスポーツと一緒で、エンターテイメントとしての側面もありながら、その文化が持つ文脈的な面白さや、各プレイヤーたちの特色を理解していく楽しさもある。歴史の中で築かれてきたそれぞれのルールのようなものを理

        • 散文の一 場所について

          本当にこの場所は必要とされているのだろうか。 最近ふとそんなことを考えてしまう。 私は京都で小さなアートスペースの運営をしながら、他の場所でも展示企画の仕事をしている。小さなスペースを維持するため、そして生活のために展示をまわって作家を知り、展示を企画して開催する。 今はそれらの全てが自分の目の前で一杯一杯になっている。 何のために何をしているのかどんどん見えずらくなっていくのだ。 前提としてこれは誰かに対する訴えでもなければ誰かを貶したいわけでも誰かに助けを乞うものでも

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        • 思弁逃避行
          25本
        • 騒がしい輪郭 トークイベント
          3本
        • コントたち
          6本

        記事

          知らぬ存ぜぬ道と人

           2020年、夏。  さて、我々は今、不用意に遠くへ行くことができない。  また、不用意に知らない人と出会うことができない。   しかし、この「遠くへ行くこと」「知らない人に出会うこと」という行為。  果たしてこれらは、この流行病の中で我々から奪われてしまったのだろうか。  「どこか遠くへ行きたい」  そう言う時、もしくはそう感じる時は決まって私に目的地はない。きっとどこでもいい。しかしそれには決定的な条件が一つだけある。それは”ここではない場所“ということだ。  例えば

          知らぬ存ぜぬ道と人

          思弁逃避行 24.幼馴染のエビフライ

           定食屋でメニューを眺めている時間が好きだ。  メニューから食べたいものをテキパキと決める。これは私の苦手なことベスト20には必ず入る。しかし、うまい定食屋ならばその悩んでいる時間も愛おしい。  そこで目に入ったのはエビフライ定食だ。  そういえばエビフライをここ数年食べていない。久しぶりに食べてみるのもいいかもしれない。普段自炊もするがなかなか揚げ物は作らない。加えると揚げ物を食べるならば、ついついトンカツや唐揚げを選んでしまいがちだ。頭の中でエビフライの香り、食感、味が

          思弁逃避行 24.幼馴染のエビフライ

          思弁逃避行 23.名前をつけてやれ、本気で考えてやれ

           名前をつけるということは、居場所を与えることに等しい。  誰かがまたそれを指して呼ぶことがある。それを他と区別して認識する必要がある。そういったときに名前は付けられる。認識したものに名前が付くことで、次の居場所に連れていくことができるのだ。  そんなことを考えながらスーパーをうろついていると、また嫌なものを見つけてしまった。  「フロランタンみたいなケーキ」  不安になる。  これはもはや商品名と呼んでいいのだろうか。「ブロッコリーみたいな野菜」という名でブロッコリー

          思弁逃避行 23.名前をつけてやれ、本気で考えてやれ

          思弁逃避行 22.今に限る

           「今限定!ディズニーパッケージ」と書かれたインスタント麺がそこにあった。  また恐ろしいものをみてしまった。それはスーパーのワゴンの中で悲しげに積まれていた。  今限定。今季限定ではない。今だけなのだそうだ。それはもう限定に限定されている。なぜなら"今"とは時間を指す言葉の中で最も短く具体的なものだからだ。言葉の上ので"今"は、それを耳にし意識したその瞬間、刹那の話になる。その"今"が、文字として印刷され、しかも限定されているというのだ。つまりこの印字されている"今"はそ

          思弁逃避行 22.今に限る

          騒がしい輪郭 トークゲスト 九月(芸人)

           この度、京都下鴨で私がオーナーを務めるオルタナティブスペースyugeにて、個展「騒がしい輪郭」を開催した。  会期は12/8(日)から12/15(日)となっていて、その中で四回にわたってそれぞれ違うゲストを呼んで私と共にトークイベントをさせてもらうことになっている。  それぞれのアーカイブをnoteに残しているので、トークイベントに参加できなかった方や、参加後に振り返りたい人は是非。 その他のトークイベントの記事はこちら↓  Vol.1 ゲスト 松原元(建築家)  Vol

          騒がしい輪郭 トークゲスト 九月(芸人)

          騒がしい輪郭 トークゲスト 米村優人(彫刻家)

           この度、京都下鴨で私がオーナーを務めるオルタナティブスペースyugeにて、個展「騒がしい輪郭」を開催した。  会期は12/8(日)から12/15(日)となっていて、その中で四回にわたってそれぞれ違うゲストを呼んで私と共にトークイベントをさせてもらうことになっている。  それぞれのアーカイブをnoteに残しているので、トークイベントに参加できなかった方や、参加後に振り返りたい人は見てやってください。 その他のトークイベントの記事はこちら↓  Vol.1 ゲスト 松原元(建築

          騒がしい輪郭 トークゲスト 米村優人(彫刻家)

          騒がしい輪郭 トークゲスト 松原元(建築家)

           この度、京都下鴨で私がオーナーを務めるオルタナティブスペースyugeにて、個展「騒がしい輪郭」を開催した。  会期は12/8(日)から12/15(日)となっていて、その中で四回にわたってそれぞれ違うゲストを呼んで私と共にトークイベントをさせてもらうことになっている。  それにあたってアーカイブの意味も込め、今回はその内容を書き起こしてnoteにまとめることにした。もし展示には来たけれどトークイベントに参加することができなかった方や、参加いただいた方で内容を振り返りたいなどと

          騒がしい輪郭 トークゲスト 松原元(建築家)

          思弁逃避行 21.期間無限定自意識

           人によっては魅力的にも聞こえ、また人によっては忌々しくもあるこの言葉。  期間限定!  この世には期間限定のものがある。言ってしまえばこの世のものはおおよそ全てが期間限定ではあるのだがそういう話ではない。ハンバーガーショップやお菓子業界での話だ。気を抜いていると、夏になれば爽やかなフレーバーが、冬になれば濃厚なフレーバーなどがレギュラーメンバーとは別で次々と登場してくるのだ。私はこういったものに手を出すのがどうも苦手だ。そう、私にとっては「期間限定」という帯は忌々しいも

          思弁逃避行 21.期間無限定自意識

          思弁逃避行 20.不二家社員はカントリーマアムを温めるか?

           夏頃の話だ。阿呆の同居人が期間限定フレーバーのカントリーマアムを買ってきた。甘夏チーズケーキ味だ。普通のを買ってこいよ普通のを。こいつめ。  私は期間限定フレーバーの商品を購入するのが苦手だ。そのため期間限定でのパッケージ変化にあまり目を凝らすことがない。しかしこの甘夏チーズケーキ味には見逃せないパッケージ変更があった。  個包装の「カントリーマアム」の文字の頭に「冷やし」とあるのだ。  カントリーマアムはパッケージの裏に「温めても美味しい!」と書いてあるのは皆も知って

          思弁逃避行 20.不二家社員はカントリーマアムを温めるか?

          思弁逃避行 19.バナナの汁

           バナナ果汁1%と書いてある。  汁。  私はバナナオレのパッケージを眺めながら首を傾げていた。果汁というものがなんなのかわからないのではない。「汁」という表現がどうにも引っかかるのだ。このモヤモヤの正体を掴むべく私は広辞苑を手に取る。  か-じゅう【果汁】果物をしぼったしる。ジュース。  なるほど。こういう時と、数センチの踏み台が欲しい時、広辞苑は本当に役に立つ。つまり広辞苑曰く果汁とは果実を絞って得られる汁。やはり私の疑問は間違ってはなかった。何故ならバナナを絞って

          思弁逃避行 19.バナナの汁

          思弁逃避行 18.ウナギはタレがうまいだけ

           「ウナギがうまいのではなく、ウナギのタレがうまいだけではないか」  そんな主張を目にしたことがある。みなも一度や二度考えたことがあるだろう。確かにウナギの味というものを思い出そうとすると例のタレの味が覆いかぶさり、その記憶の中からウナギの味のみを取り出すことが上手くできない。だとすれば、あのタレを付けさえすれば何だって我々が今まで「ウナギの美味さ」と信じていた感動を得られるのかといえばそれは違うような気もする。  例えばこんな主張をするものが現れたらどうだろうか。  「

          思弁逃避行 18.ウナギはタレがうまいだけ

          埃を払う

           喫茶店のドアを開けると彼はすでに座っていた。  その店はいまだにスペースインベーダーのテーブルゲームを机に使っている、京都で少し有名な老舗の純喫茶だった。彼(S君とする)はバンドをやっている同い年の青年で、先日知り合ったばかりだったがweezerの話で盛り上がり、こうして喫茶店でゆっくり話をしようと約束をしたのだ。  S君は私が5分遅れたにもかかわらずコーヒーも頼まずに待っていた。私が席に着くと鞄からCDを出し「これ、この前作ったEPだから是非聞いてみて」と渡してくれた。