初めから別れの日まで彼女はノイズキャンセリングのヘッドホンをつけていた。自分を音から守るためのものだと周りはよく理解していた。色の氾濫も苦手で主張の激しい看板がある町ではうつ向いて歩いていた。色味の少ないヨーロッパの片田舎とか住みたいだろうな。忘れ得ぬ人。