いっせ
滅多に本音を見せない彼女が泣いた。意識のない叔母さんに口腔ケアを病院に黙ってしたあと叔母さんはなくなったそうだ。彼女は看護師だった。「私のせいで肺炎を起こしたのかもしれない」彼女は小さな頃から叔母さんになついていて養女の話もあった。「叔母さんは喜んだに違いないよ!」私も泣いていた
「気をつけて歩こう、自身を守ろう」と毎日気を引き締める。電動スクーターやモペットがノーヘルで一方通行や信号を無視して前から後ろから右から左から30-40キロのスピードで突っ込んでくる。歩道も走ってくるので油断は出来ない。電動スーツケースを捕まえる前にこの人たちを注意して〜
朝はぼんやりとしてるのに夜になったらキラキラ輝く街に住んでいる。通りの風景は昼間とぜんぜん違う。まるで千と千尋の夕暮れ、よい子は早く帰らなきゃ!
通りがかりに「あれ?」と思ってバック歩きしてもう一度見た。「これは店なのかな、、?」ビルに1枚の小さなドア、店名も看板もない。扉のガラスからちらり覗いてみると美容室なのか、一人のお年を召した男性客と一人の美容師さんが散髪している様子。小さな小さな一対一美容室。今度行ってみようか。
アーケードはすてき。通り全部を高い屋根で覆っているタイプ、歩道だけを濡れないようにしたタイプ、デザインもいろいろある。さびれた感じもレトロな感じも私には懐かしい。生まれた町にもアーケードがあって、入ると少し暗い。アーケードの前面には名前が掲げてあり、まるで1つの人格のようだった。
小さな地区の登校班だけでの子ども祭りがあった。特別な何かはなく小遣い程度の予算があるだけ。イベントを子どもたちに任せてたら面白いことになったな〜。5、6年生の男子が扮装して鬼役になり、公園で他の子どもたちや幼児にバチャバチャ水風船でやられるの。追いかける子どもたちが喜んで喜んで。
三人娘にポジションは関係ないのか、一人がミソッカスみたいになるのは。友人は長女だ。次女はしっかり者の我が道を行くタイプ、三女は可愛らしい“すてきな奥さん”タイプ、そして彼女がいろいろ不運な目に遭う。長姉なのに先行き一番心配。。
小学生の頃は遊びの流行が結構激しく移り変わっていった。文房具屋さんに「今学校で何が流行ってるか教えて」と聞かれたことがあった。次に何が流行るのか、誰が流行らせてるのか、きっかけは何なのか、分からないけど楽しくてその時の子どもにぴったりなのが流行る。移り気で飽きっぽいからな。
未来はガチャガチャを開けてみるまで分からない。シュレディンガーの猫がマンガ『金剛寺さんは面倒臭い』に載っている。数パターンの未来が描かれていてなるほどと唸らせる。ロシア文豪の短編でもあったな。森の小屋で死にゆく母が赤子を残してもどうせ死んでしまうと諦めていたら思わぬ未来になった。
ショーツショーツショーツ。ステキなショーツがほしい。繁華街にあるロッカールームのせいかフェミニンな下着をつけた人が他の地域より多い。きれいで、気になる。そんな価値観は自分にはもう無いと思っていたがまだある物欲。どんなのがいいかあれこれ妄想するのが楽しい。下着はもちろん自分のため!
迷信。ずっとむかし、持病の喘息が快癒すると信じておばあちゃんは民間療法の“ナメクジを丸ごと生で飲む”ことをしたと母親が証言している。とても治りたかったんだね。。「私は今度生まれ変わったら、両目が見えてちゃんとにおいがかげる人になりたい」って言ってたね。今度会ったら友だちになろう。
サラサラッと描かれた上手い絵を私は褒めた。描き進めながらその人は、「簡単そうに描いてるように見えるまで、どれだけの時間をその人は重ねたかを想像しなければ」と言った。どの世界でも名人はこともなげに事を成す。
そもそも喪服を持っていないのでお葬式やお通夜で真っ黒を着たことがない。いらないと言うのに母から押しつけられた黒いエプロンも捨てた。常識とかどうでもいい。紺色とか地味めの普通の服装で大事な人とは最後に会いにゆく。息子とのお別れは黒い花の模様のグレーのスカートだったね。
仔犬に初めて首輪をつけた時「何をするの?」という抗議の反応をした。本能的に首輪はイヤなんだろう。馬でも鞍をつけられるようになるまで大変に違いない。タンゴの中にミロンガという二拍子のリズムがある。アルゼンチンに連れてこられたアフリカの民が足を鎖の重さで引きずる音だと先生から聞いた。
長男のバスケットボール練習のために次男を連れていろんな町へ行った。いなくなったあと、よく行った町の陶器屋さんが閉店するというので思い出にちょっと奮発して一脚の茶器を買った。可憐な花がひらひらと立体でついていて、ゆるやかな曲線、日本的な朱色をした優美な茶器だ。じっと見つめる。
人にお酒を強要したことが一度だけある。調子こいて日本酒を旨い旨いと呑んでいた時分で日本酒を知らない友人にその旨さを教えてやろうという困った考えからだった。友は「そこまで言うなら」と水で薄めて飲んだ。(それじゃ味が台無し、、)と私は思ったし友はだからといって日本酒好きにはなってない