十代目坂東三津五郎追悼文 2015年2月21日歿
二月二十一日の夕方、新聞社から電話があり訃報を知ってから、しばらく呆然として何も手がつかなかった。こんな日が来るとは思わなかった。翌日になって青山のご自宅に弔問に伺い、最後のお別れをした。稽古場の舞台に横たわった三津五郎さんは、穏やかな顔で眠っているようだった。これからは、空の向こうで、好きな酒も煙草も存分に楽しめますね。話しかけたら、胸が詰まった。
三津五郎さんから話を伺い、聞書きの本を二冊、岩波書店から出版したことがある。『坂東三津五郎 歌舞伎の愉しみ』(平成二十年