【劇評345】法廷劇に巻き起こる風。野田秀樹作・演出『正三角関係』。
『正三角関係』には、何が賭け金となっているのだろう。
ずいぶん以前、夢の遊眠社解散のときに、野田秀樹の仕事を概観して、「速度の演劇」と題した長い文章を書いた。今回の舞台は、まさしく役者と演出とスタッフワークの圧倒的な速度を賭け金として、日本の近現代史のとても大切な結節点にフォーカスしている。
舞台写真にあるように、色とりどりのテープ、球、蜘蛛の糸などが、大きな役割を果たしている。
年齢を重ねるに従って、日本の藝は枯淡の境地にたどりつくと思われているが、野田秀樹はどうやら